新たな人材
エルフの森に同行した兵士から、思いがけない報告を聞いた。
「領主さま、薬草はありませんがエルフの森で採集した草なら。アサン村で同じような草をみました」
「本当か、それならアサン村でも取引しよう。しかし取り過ぎは駄目だ。3本~5本は残すように」
「何故ですか」
「次に取りに行っても何もないと困る。それとも、村で栽培するのも悪くない。雑草みたいに育っていたのだから、栽培も難しくないかも・・・どうだダルタ」
「そうですね・・・アサン村へ行って村長に話してみます」
ようやくドワーフの里へ帰って来た。
金属満載の荷馬車が待機中だ。
「領主さま、お約束通りにアサン村までの道を私なりにつくりました」
成る程、斜面を急な坂道にするのではなく、ゆるやかな坂道を交互に配置したのか・・・中々な考えだ。
「まだまだ土魔法の荒さは残るが荷馬車も通れたのだ。でかしたミッチェル、帰ったら褒美を与えよう」
「ありがとうございます」
薬を飲んだ3人は、順調に回復して元気にしているそうだ。
何度もドワーフにお礼を言われながらアサン村へ戻った。
又も村長が出迎えてくれた。
そんな村長の後ろを通る女性たちが気になった。
「あれは、何だね」
「あれですか・・・川へ洗濯をしに行ってる者たちです」
川で服を洗ってるのか・・・ここへ来るまで知らなかった。
そんな私は洗濯に興味がわいた。
「見てみたい。案内を頼む」
村長は不思議そうな顔をしながら「はい、こちらです」
案内された川までの道は細いが整備されて、川の手前には広場があった。
あっちこっちで平たい岩を使って、洗濯をしながらやいのやいのと話している。
そんな川をなにげに見ていた。
何となく鑑定をしていた。
「あれは砂金と砂鉄だ!」
すると上流の山に金山があるのか・・・近い将来発掘計画を立てないといけない。
ドワーフのくず鉄の捨て場で偶然にも磁石を見つけた。
その磁石で川底をさらった。磁石には砂鉄がびっしり付いていた。
川底にキラキラ光る砂金はくっつかない。
本物の金だ。
砂鉄を再度鑑定すると、固く軽い金属がふくまれていた。
熱しただけでは、取り出せないが魔法なら取り出せる。
これは今後の武器作りに使えるぞ。私はこれをもっと欲しいと思った。
「村長、この黒い砂は砂鉄でいい武器が作れそうだ。それに金色に光る粒は金だ」
「光るのが金ですか」
「この磁石を貸し与えるから、この砂鉄を集めて置くように。金は砂より重いから皿みたいな器で回しながら余分な砂を捨ててゆくと金が残る。その金と砂鉄を買取ろう。分かったか」
「分かりました」
今回の遠出は、得る物が多かった。
領内をくまなく探索すれば、得る物がもっと増えそうだ。
そんな思いを募らせて、ローランド城へ戻る事にした。
もちろん帰る前に、アサン村の村人を鑑定。
特別なスキル持ちや魔法持ちはいなかったが、村人達は喜んでいた。
簡単な生活魔法持ちが3人ほどいたからだ。
小さな明かりや、小さな炎、そしてそよ風程度の風。
それでも生活には、便利な魔法なのだ。
ローランド城へ戻ると、叔父上に挨拶に向かった。
叔父上はすっかり元気になっていた。
「叔父上、今戻ってきました」
「それでドワーフはどうであった」
「良かったです。今後もよい関係が続くでしょう。そして今回の目的の金属が手に入りました。これです」
「これなのか、軽くて固そうだな」
「それはオリハルコンと言います。古代魔法国の伝説の武器が作れます」
「古代魔法国の伝説の武器とな昔話で聞いた事があるが、これで作れるのか」
「はい、私が作ります」
「良く分かった。期待してるぞ」
執務室に戻るとナルタが居た。
「ダルが戻って来ております。数名のハズレを連れて」
「そうか、すぐ会いたい」
ナルタは呼び鈴を鳴らした。
隣に控えていたのだろう。ダルが5人を連れて入ってきた。
「領主様、命令に従って連れてまいりました」
「おお、よく戻って来た」
「この者達がハズレと鑑定された者達です」
「分かった1人ずつ鑑定しよう。まず君からだ」
名:タタル
歳:18
HP20
MP500
スキル
魔法
亜空間魔法:亜空間に物を入れたり出したりできる
鑑定結果をタタルに言って聞かせる。
泣き崩れ顔を両手で包み込み肩がふるえていた。
それを見ていた残りの4人も眼に涙を溜めていた。
この人達の苦労は知らないが、指差す人達の悪気のない悪意は分かっていた。
「ダルよ、タタルをダルの部下として支えてやってくれ」
「はい」
次の女性を鑑定する。
名:サラー
歳:30
HP15
MP500
スキル
魔法
光魔法:回復魔法の上位魔法、10分以内で5割の確率で死者復活ができる
サラーも泣き崩れた。
「ナルタ、サラーを農耕神ルラの教会に預けるように」
「かしこまりました」
次の者を鑑定。
名:ダタン
歳:33
HP15
MP500
スキル
剣聖:剣を極めた者、剣士の上位スキル
魔法
雷魔法:雷を操れる
ダタンは踏ん張って立っている。
「ナルタ、ダタンを隊長として鍛えるように」
「は、分かりました」
次は片腕を失くした少年だ。
「サリー、この者に光魔法を掛けるのだ。この者の為にも自分自身を信じて」
サリーは少年の肩に手をかざし眼を閉じた。
手が光った。その光が少年の失くした肩に当たり輝いた。
少年の片腕は徐々に再生してゆき元に戻っていた。新しい腕をさする少年は、呆気にとわれる。
まだ何が起こったのかも理解していなかった。
私は、その少年を鑑定した。
名:サン
歳:16
HP100
MP200
スキル
統治家:軍運用から政治運用に長けた者、政治・軍略の上位スキル
魔法
火魔法:火を操れる、火球を発射できる
「サンよ、私の下で修行だ字は読めるか」
「はい、読めます」
「明日から、城の書庫で全部読むように」
「全部ですか」
「そうだ全部だ。ナルタ手配を頼むぞ」
「かしこまりました」
次の少女は熱い目線でにらんでいる。物凄い期待のこもった目で・・・
鑑定をする。
名:ママリン
歳:16
HP15
MP500
スキル
鑑定X:通常の鑑定の上位スキル
魔法
火魔法:火を操れる、火球を発射できる
「ママリンは領内をまわり民の鑑定を頼む。これは重要な役目だ、分かるな」
「はい、分かりました」
「ナルタ護衛の手配も頼む」
「分かりました」
新たな人材を手に入れて、明日への希望がふくらむ。
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