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計画案と古代魔法




執務室で今書き上げた計画案を読み返していた。

全て計画は、王宮の奥深くにあった【開かずの扉】に隠された本の知識だった。


9歳の時に正式に第2夫人になったアザルによって(しつけ)だと言われて【開かずの扉】に閉じ込められた。


父も無情に【開かずの扉】への監禁を許した。

何もする事もなく過ごす中で、壁を触っているとカチッと音がした。

壁が動き本が一杯に隠されていた。それは様々なジャンルの本で手に取って読んで知識の糧とした。

1日中そこで本を読みふける。今では、なつかしい記憶だ。



定刻にナルタが入ってきた。計ったような正確さだ。

5枚の計画案を差し出した。


「計画案だが、読んで欲しい」


「分かりました。読ませてもらいます・・・1枚目の案は、・・・何故するのですか」


「平民に戦いの術を教えておきたい。スリング(投石紐)の(ひも)の中央に石を置き、振り回しながら片方の紐を放すと石が凄いスピードで飛んでゆき、相手を傷つけるのが簡単にできる」


「それは手で投げるのと違うのですか」


「全然違う・・・速く何倍も長距離を飛ぶし、ただ慣れないと変な方向へ飛ぶな。その為の年1回のスリング競技の大会を開催したい。ついでに槍と弓矢も同時にやる」


「他の競技もですか」


「槍投げはアトラトル(投槍器)を使ってやる」


「アトラトルは一体何ですか」


「棒の先のくぼみに、槍の後部を引っ掛けて投げると遠くの的によく当たる物だ。各村や街で代表2名を選抜して旅費は領で支払う。トップ3人には褒美(ほうび)として金貨を与える。1位金貨10枚・2位金貨5枚・3位金貨3枚。この入賞者は、来年からは参加資格はない」


「それなりの金額になりますね」


「盗賊対策だと思って欲しい。海賊の件で、他領の悪意が痛いほど分かった。今度は陸から来るかもしれない。知らせを受けてから兵が行っても、遅いと思わないか・・・スリングの武器は石だ。何処でも落ちているから使いたい放題だ。遠距離から大量に石や槍が降ってきたら盗賊も逃げるだろう」


「よく分かりました、次の鑑定の件は」


「この指輪を付けて、触ると鑑定ができる。それを使って領内の未鑑定者を鑑定して欲しい、もちろん無料で」


「鑑定師から苦情が来ませんか」


「鑑定師達には私から仕事を頼むからいいだろう。ただその指輪はレアスキルやレア魔法が鑑定出来ない。2つ持ちは鑑定できるから鑑定水晶よりいい鑑定魔具なのはたしかだ。それとハズレが見つかったら連れて来てくれ。それで思い出したのだが、私の鑑定の儀式でもハズレだとでていたかもしれない。ハズレと発表すると王宮なら鑑定持ちに再鑑定させられる可能性があった。それを避ける為に鑑定と発表したのかも知れないな~。ナルタはどう思う」


「それは考えられる事です、教団も劣化版だと知っているのでしょう。もしかして何がでても鑑定で発表するつもりだったのでは・・・だから薬で眠らされたのでしょう」


「そうか、そうかもしれない・・・」



ナルタは書類をめくり。


「それとですね、次のスライム養殖の件は」


「今後スライムの使用が増えていくだろう。その為の対策だ」


「下水道の改修となってますが・・・そしてスライムを棲みつかせるのですか・・・」


「そうだ、それにスライムは有機物や無機物も好物らしい。スライムの好む環境を作り増やしていく。そしてスライムが勝手に下水処理をしてくれるのだ。そう考えると役にたつ生き物だと思わないか・・・それに汚い海は見たくない」


「次のスライムの活用は」


「スライム皮は物理・魔法攻撃無効の優れ物だから使いようがある。考えられるのが鎧か盾だが他にも用途はいくらでもある。液体も使いようがあるだろう。原液だと固まりやすいから水で薄めても使える。それらを使った特産品でも考えて欲しい」


「分かりました、それでは最後の学校の件は」


「大航海ができる帆船がある今、貿易や知らない国との交渉をする為に小規模でもいい。学校が必要で教育者と生徒募集をおこないたい。それと同じく魔法学校の設立も考えてくれ。身分問わず受入れる学校にしたい。2つともローランド辺境伯領に必要だと考えている」


「よく分かりました。責任者はわたしが決めてもよろしいですか」


「そうだな、頼むよ」




しばらくして薬研究所の所長がやって来た。


「何か御用でしたか」


「悪いね急な呼び出しで私の所までこさせて、しかし悪い話でも無いんだよ」


「領主様の呼び出しでしたらすぐに参ります」


「研究の方はどうかな」


「歯車で回転の問題は解決したのですが、分離が上手くいきません」


「その事で呼んだ。これだスライムの皮だ。この皮には、目には見えない小さな穴が複数あるんだ。これをひっくり返して、スライム袋に薬草液を入れるとこのように薬効成分がゆっくりと染み出てくる」


「なるほど、これを薬の液を入れ回転する訳ですね・・・早速試してみます。ありがとう御座います」


彼は急いで部屋をでていった。

今度こそ問題が解決できると思っての行動だろう。顔に晴れ晴れとした表情が見えた。


これで薬も生産されてローランド辺境伯領の、特産品として販売もできそうだ。




私は10枚の設計図と本を持って研究室に移動。

今からやるのは本に書かれた古代魔法国の魔法陣の研究だ。


この本は【開かずの扉】から持出した物で、私が追放された時に私物として荷物に入っていた。

その当時は読めなかった文字が、今では読めてしまう鑑定スキルⅩのおかげで・・・


その内容は驚く事が書かれていた。

魔法陣に書かれる文字で外気から魔力を集められ事実。

そして魔法を発動させられる事ができる。強大な魔法から便利な魔法まで様々だ


魔法に制限が無いのだ。火魔法なら火しか使えないのに対して文字で色々な魔法が使える。

この魔法陣を作り出した人は、私と同じ魔法Ⅹの持ち主でシモンと名乗っていた。


だからなのか親近感を覚える。それでは研究を始めよう。



銅板の上に1枚目の設計図を見ながら魔法陣を刻んでいく。


モンスターの森で見つけたタタケ草で作ったルーン液を、刻んだ(あと)に流し込む。

そして全魔法を少しずつ浴びせて魔法陣に全魔法が染み込ませれば完成。

特に魔法陣の火のルーンが淡く光っている。


できあがった魔法陣に少量の魔力を指先から流すと、ロウソクの炎のように炎が現れる。

ポツポツポツと炎の数が増える。

その8つの炎は、魔道コンロと言う魔道具らしい。

その上に鍋を載せて調理するらしい。


こんな便利な物を作れる古代魔法国は、何故(なぜ)無くなったのか・・・

魔法国が支配する土地で魔力枯渇(こかつ)が突然に起きたのだ

今となっては、ハッキリした原因は分からないままだ。

一説には、外気の魔力を使い過ぎたのが原因だと言われている。

それが原因で魔法が思うように使えない魔法国は、終焉(しゅうえん)を迎えたのだ。


奴隷のように(しいた)げられた蛮族。

その復讐心に燃える蛮族によって攻め込まれて滅亡した。

そんな歴史書のように書かれた本。


その歴史書を読んで知った事に、外気の魔力に頼らない魔石を利用しようと思う。

これも古代魔法国が終わりかけた時期の発明らしい。

そして強力な魔法発動を開発途中で滅んだ。


魔石とは、モンスターの心臓部に寄り()うようについた石が魔石であった。

魔石にはモンスターの強さに比例して魔力がたまっているらしい。

その事は余り知られていない事実だ。


そして今の我が国では、なんの役にも立たない物として捨てられている。

その魔力を使って魔法陣を起動させれば、色々な魔道具が作れるだろう。



2枚目の設計図を見ながらロウソク台のような物を作った。

魔法陣を台に刻んでゆく。中々な出来栄えだぞ。


そしてルーン液を流して全魔法を浴びせてようやく出来た。

光のルーンが淡く光っている。


台の上に魔石を載せると魔石が光りだした。

ロウソクの炎より明るい。名前を【魔道照明】として使っていこう。


しかしこの【魔道照明】は、私以外作れないのが難点だ。

わたしなら全魔法を浴びせるのは簡単だからいいが、魔法陣を刻むのは職人にさせよう。


すぐに始めようと立ち上がり、設計図と【魔道照明】を持ってナルタを探しに行こう。




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[良い点] 領内興し [一言] 読み始め&読み進め中です。 面白ー
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