ハズレの聖女様って大変です
「なろうラジオ大賞2」の応募用に書いた作品です。
『聖女様とは、何も正解しない事。聖女様の選んだものの逆を行くと必ず失敗しない世界』で、ずっと聖女様に選ばれ続けている聖女様のお話です。
この国の聖女の決め方は変わっている。
国中の15歳の少女全員と今在位中の聖女に簡単なマークシートを受けてもらう。
マークシートは10択。
10個のうちから間違いを探す。
一つの問題に対して、選択肢は10。
そのうち9個は当たり。
1個はハズレ。
100問の問題を解いてもらう。
しかも、問題は「王室の飼い猫10匹の名前は?」とか「東の村で育てていない植物は?」など。
2択の問題もある。
「今晩晴れるか?」や「コインは表か裏か?」など。
それを全て外した者が聖女になる。
全て外すということは、聖女の予言は全部外れるということ。
聖女の言う事を聞かなければ幸せになれる!
この国の聖女って残念な職業…。
そんな聖女に10年連続選ばれているラーナは別名を『ハズレの娘』と呼ばれている大聖女だ。
10年聖女をしていると婚期は逃すし、いい人は皆既婚者。本当にハズレの人生。
そのハズレの娘が今年、1問正解してしまい、聖女職を退任することになった。
その退任日。退任の式典が行われていた庭園で、ラーナは運悪く寝ていた猫の尻尾を踏んづけてしまった。
驚いた猫はラーナに飛びかかり、ラーナは転んでその拍子に大切にしていたイヤリングの片方を無くしてしまった。
「お母様の形見なのに…」
参加者全員でイヤリングを探したけど見つからず。しかも雨が降り出して、泥だらけになってしまった。
「ラーナらしい最後だね」
皆でハズレの娘を見送ったが、ラーナのイヤリングはカラスが持っていった。
そのカラスは世界に名を轟かせる隣国の魔法使いのペットだった。
高価そうなイヤリングを持ち帰ったカラスを見た魔法使いは、持主を魔法で探し出し、ラーナに会いにきた。
魔法使いは大変美しい容姿をしているがその容姿のせいで人間不信になり、人に会わない生活をしていたが何故かこの時は持ち主を探してラーナの元に来た。
その時ラーナはイヤリングを探すために、もう一度、庭園に来て池に落ちてしまい、池の泥濘にはまって動けずにいた。
「もしやあなたはこのイヤリングの持ち主ですか?」
「はい!私のです」
泥濘に嵌まって動けない泥だらけのラーナと、美しい魔法使いは向かい合った瞬間…。
…それが運命の恋だった。
それからしばらくして
ラーナが隣国に嫁ぐ事になり、隣国では10年大聖女だったラーナが嫁いでくれる事を祝福して大パレードがあった。
幻の美しい魔法使いを射止めたラーナは『アタリの元大聖女』と呼ばれるようになった。