0095:ボッター商会襲撃完了
執務室の扉を開けた瞬間に目の前にナイフが飛んできたが、アイリーンが盾で防ぐ。部屋の中を見ると中央にボッターがいて、その周りを6人の雇われ冒険者みたいのがいる。部屋は執務室というわりには広く、おそらく30畳くらいはある。
『ご主人様、ボッターの左右にいる2人に気を付けて下さい。只者ではない雰囲気を感じます。恐らくは暗殺を生業にしている者達かと思われます。』
「なるほど、残りの4人はどう? そんなに強そうには見えないけど。」
『そうですね。残りの4人は大したことはないです。恐らく数合わせの雑魚ですね。』
アイリーンと小声で会話をしているとボッターが大声を張り上げた。
『アラン! 貴様は父である儂に楯突こうというのか? この恩知らずが!』
『父上、私は何度も言ったはずです。今のままではボッター商会はすぐにでも破綻します。その事は父上も分かっているはずです。だから、私は父上に逆らいます!』
『アラン! 貴様は~! おい! お前達、もう構わん。あの賊もアランごと斬り殺せ!!』
おぉ、やっぱり老害はキレるのが早いな。これは大人しく引退するようには思えないな。
「俺とジャンヌがあの2人を倒すから残りはアイリーン達で頼む。」
ボッターの左右にいる2人はまだ動かず、まずは残りの4人が襲ってきた。アイリーンとエリーが盾を持ち、4人の前に立ちはだかる。
『ち、邪魔くせぇな。』
『おらぁ、どけぇ!』
男達は剣を振りかざしてくるがアイリーンとエリーの盾で防がれる。その隙をマリーナが槍の石突き部分で腹を、サーラは弓矢で足を撃ち男達の動きを止めていく。
『ぐぅぅ。』『くそがぁ。』
レジーナはアランの護衛に付いているため、戦闘には参加していない。参加したそうだな、尻尾がピクピクしている。
最初の4人はアイリーン達で圧勝だった。ボッターの左右にいる冒険者2人も想定外だったらしく焦りがみえる。
『くそ、全く役に立たない連中だな!』
『全くだ。金をケチるからだ。』
『う、うるさい! その代わりにお前達には結構な金を払っているんだ。ちゃんと勝てるんだろうな?』
『俺達2人だけで、あいつら全員を相手にするには結構骨の折れる作業になるな。追加報酬を貰うぞ?』
『あぁ、分かった。あいつら1人につき、大金貨1枚出そう!』
『おぉ、マジか。あいつら7人いるから残り1人は早い者勝ちか?』
『いや、アランもいるから8人いるだろ? ボッターの旦那、いいんだろう?』
『あぁ、構わん!』
『『よっしゃあ。』』
こいつら、頭は大丈夫なんだろうか?7対2で勝てるつもりなんだろうか? そもそも1対1で戦ってくれると思っているのかな?
「じゃあ、全員でいくか。」
『あ? ちょっと待てよ? それは卑怯だろ?』
『おいおい、普通は1対1だろ?』
こいつらは、やっぱり馬鹿だな。俺達は正義の味方では無いことを教えてやろう。
「お前達、頭は大丈夫か? なんで、わざわざ1対1で戦う必要があるんだ? こっちは襲撃しに来ているんだよ?」
ということで、全員で襲いかかることにした。2人組の冒険者が最後まで卑怯者とか騒いでいたが、あっという間にボコボコにして拘束した。
「さて、あとはボッターだけだね。」
『ありがとう、レイさん。あとは僕がやるね。さぁ、父上。父上の護衛はもういませんよ。どうしますか?』
『くそ、大金を払ったのに、こんなにも役立たずばっかりだったとはな。』
確かに役立たずだったな。人を見る目は無かったな。
『父上、父上のやり方に問題があったから、この程度の護衛しか集められなかったとかは考えられませんか?』
『………』
『父上のやり方を続けていれば、そのうちボッター商会は潰れてしまうでしょう。それは父上も理解していますよね?』
『………』
『どうでしょうか? そろそろ引退をしては?』
『………断ると言ったら、どうする?』
『………その時には、父上のお命を頂く所存です。』
『………その目は本気のようだな?』
『はい。決めたら迷わずに行動しろ。行動に情を挟むな。が、父上から教わったことです。』
『………そうだったな。分かった。儂は引退することにしよう・・・』
ボッターは、あっさりと引退すると言った。老害っぽく、駄々を捏ねると想定していたので、ちょっと想定外だった。
屋敷の入口のほうも片付いたようで、味方の冒険者達がやって来た。何人か切り傷を負っているが大きな負傷者はいないようだ。俺とサーラで回復をしてやった。
『凄いね。あんた達、2人も回復スキル持ちがいるなんて。とりあえず、ありがとね。』
女性冒険者からお礼を言われた。アイリーン達の顔を見たが怒っていない。暫定的とはいえ、仲間を回復するのは当然のことだが、ちょっと気にしてしまった。
この動きを察したのか、女性冒険者が俺にそっと尋ねてきた。
『ねぇ、ひょっとしたら君って、あの娘達に頭が上がらないのかな?』
「え、そ、そんなことは無いですよ。多分だけど・・・」
このお姉さん冒険者は凄い洞察力だ。あのちょっとした仕草だけでそこまで分かるものなのか。
『あはは、そういうことにしておくよ。』
「はい。そういうことにしておいて下さい・・・」
これは良くないな。俺のパーティーリーダーとしての威厳をどこかで示す必要があるな。
………
………
パーティーリーダーとしての威厳を示す日なんて来るのかな・・・
その後もお姉さん冒険者達と会話したところ、この襲撃が終わったら、そのままアランに雇われる冒険者達が数人いた。アランに惚れているのかな?
ボッターとボッターに雇われていた冒険者達が何処かに運ばれた後、アランが話し始めた。
『皆さんのお陰で、死者もなくボッター商会の代替わりが出来ました。本日から僕がボッター商会の会長になります。今後は冒険者に頼られる商会にすることを約束します。』
冒険者達から拍手が。
『今回、助けて頂いた皆様には後日、ちゃんとしたお礼をしますので、商会の方に立ち寄って下さい。よろしくお願いします。』
その後、アランと少しだけ話をしてボッター屋敷を出た。アランからは専属契約の打診があったが丁重に断った。冒険者を辞める気なんて全然無い。その辺りはアランもダメ元での打診だったらしく笑顔で諦めてくれた。
後日、お礼を貰えるということなので期待しておこう。
「お礼に何が貰えるのかな?」
『とはいっても、武器商会ですからね。普通に考えたら武器や防具じゃないですかね? ご主人様。』
それじゃあ、夢も希望も無いよね。まぁ、見返りが欲しくてアランの手伝いをしたわけじゃないけどね。ボッターに仕返しするのが目的だったので、目的を達成したので気分は爽快だ。
馬車広場に戻ってきたところで空が明るくなってきた。とりあえず、さっさと風呂に入り、すぐにベッドに入り全員寝てしまった。
起きたら昼過ぎだった。まぁ仕方無いけどね。まだ眠いが起きて、朝食兼昼食を済ませてボッター商会に向かうことにした。
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