0085:夜襲直前です
古城の4階で屋上への階段を探すと階段は無かったが、登り梯子を見つけた。梯子が腐って無いか心配したが、意外としっかりしていた。天井は吹き抜けになっている。
「さてと、誰から登る?」
『『そりゃあ、男からでしょ?』』
そりゃあ、そうですよね。
「分かったよ。じゃあ、先に登るよ。」
ゆっくりと梯子を登っていく。恐る恐る吹き抜けから顔を出して周りを見渡す。気配はここから離れたところからする。
アイリーン達も梯子を登って来た。城の屋上だね。謎の気配は屋上にある別棟からする。
『主様、あそこから鳥の臭いと腐った肉の臭いがする。』
「え、鳥? それに腐った肉? なんか嫌だなぁ。」
等と話をしていると、上の方から、バサッバサッという音がする。物陰に隠れて上を見上げると女の顔を持った巨大な鳥が3匹、胸を露にして飛んで来た。しかも意外に胸が大きく、少なくともマリーナより立派な胸をしている。絶対に口にしてはいけないことだが。
『ご主人様、あれはハーピーですね。単独ではランクDモンスターですが、大抵は群れており、群れの場合はランクCモンスター扱いになります。』
『旦那様、女の顔と胸を持っていますけど、モンスターですからね? 分かってますよね?』
マリーナがじっと俺を見て言ってきた。
「わ、分かってるよ、そんなことくらい。」
マリーナは俺の考えていたことを分かったのかな? まさかな・・・
『レイさん、ハーピーは人肉を好みますので、商隊が襲われているのはハーピーが原因だと思いますよ。』
「さて、ハーピーを倒すのは良いけど、どうしようか? あの別棟がハーピーの巣なんだよね?」
『レイさん。やはり、私とレイさんの魔法で、あの別棟を魔法攻撃しましょうか?』
「そうなんだけど、出来れば最初の攻撃で大半のハーピーを片付けたいよね。でないと、何処かに逃げちゃいそうだよね。」
『レイくん、火魔法が得意なんだよね? なら爆発魔法みたいなことは出来ないの?』
「爆発系かぁ、試したことは無いなぁ。」
爆発系魔法かぁ、なんか浪漫を感じるな。今度、練習してみるかな。
「ハーピーって夜行性じゃないよね? 昼間に攻撃すると結構逃げられそうだけど、夜なら結構いけるんじゃないかな?」
鳥目という言葉があるくらいだから夜目が利かないことを期待したい。
『そうですね、ご主人様。なら夜まで、ここで待機ですね。』
「そうか、そうなるね。じゃあ待機するために馬車を出す?」
『いえ、止めておきましょう。何かあった場合、対応が大変になりそうですし。』
という事で、出すのはテントと寝袋だけとなった。何かあって棄てることになってもテントと寝袋ならそれほど痛手にならないという理由だ。
夜までの見張りの順番は、前回の見張り順を繰り返すということで決まった。昼食を食べてから見張り開始となる。
昼食までの間、時間があるため少し会話をした。
「ところで、ハーピーって何で女性の顔をしているんだろう?」
『一説には、食べた女性の顔を持った雛がそのまま成長するというものがありますよ、レイさん。逆にハーピーは女性を食べないと卵を産まないと言われています。本当かどうかは分かりませんけど。』
前世の神話では、神様の使いとか、女神様の娘とか、色々な設定があった記憶があるが、こっちの世界では普通のモンスターと違いは無いようだ。下手に殺して、神様の使いを殺したとか言われることは無さそうだ。
「そういえば、さっきの3匹は全部、顔が違っていたね。」
『そうなんですよ、レイさん。ハーピー達のそれぞれ顔が違うから、さっきの説も間違いとは言われないんですよ。』
まぁ、確認するためにはハーピーを生け捕りにして、女性を食べさせれば分かるかも知れないが、さすがにそこまでやる人はいないか。仮にやったら間違いなく狂人扱いにされるだろうな。
『ご主人様、ちなみにゴブリンの顔もそれぞれ違うそうですよ。』
「え、マジで? 違いなんて全然分からないけど? というか本当に違いがあるのか?」
『分かる人には分かるそうですよ。』
凄いな、違いが分かる男(?)か。羨ましくは無いが、何となく格好良いと思えてくるな。ほんの少しだけだけど。
「そろそろ、昼食の時間かな? 昼食を食べて夜襲の準備をするか。」
結構どうでも良い話で時間が経過し、昼食の時間になったようだ。まぁ準備するといっても、昼食を食べて順番に見張りをするだけだが。
時折、ハーピーの鳴き声と思われる、『クェェ』、『キィィ』という甲高い声が聞こえてくるため、寝にくいと思っていたが、レジーナやサーラやエリーは爆睡している。
「これも冒険者に必要な技術だな。学んでいかないといけないな。」
ちなみに、アイリーンとマリーナは見張り中だ。俺も早く仮眠しないと。
………
………
『レイくん、見張りの順番だよ。』
『主様、そろそろ起きて。』
「あ~、もう夕方かぁ。う~ん、眠いねぇ。」
レジーナとエリーに起こされ、見張りを交代した。サーラは既に起きていたようだった。
「サーラはもう起きていたんだね。」
『私も起きたのはさっきですよ。やっぱり冒険者を辞めて受付嬢の期間が少し長かったから、まだ身体が戻りきっていないかな。』
「へぇ、サーラが冒険者のときは、こんな夜襲とかは普通にあったの?」
『そうですねぇ、夜襲だけじゃなくて夜間に行動することもありましたよ。急ぎの討伐依頼とかだと1日中移動して、討伐直前に仮眠するとかですね。』
「………凄いハードだね。それって・・・」
『まぁ、そんなに頻繁にあるわけじゃ無いですけどね。』
サーラの冒険者時代の話を色々と聞いた。まるで軍隊のような生活を送っていたのでは? と思えるようなエピソードが満載だった。
「そろそろ、全員を起こしても良い時間かな?」
『そうですね、もう全員起こしても大丈夫だと思いますよ。』
みんなを起こすためにテントの中に入ると寝相の悪い面々が。
「みんな、そろそろ起きてよ~。」
う~ん、起きないなぁ。寝ているメンバーの胸を揉んでみた。とりあえず、全員起きたが当然怒られた。
『『もう少し、まともな起こし方が出来ないんですか?』』
「いや、普通の起こし方じゃ面白くないよね、と思ってね。」
『『あなたは馬鹿ですか? 普通に起こせば良いんですよ。』』
失礼な。起こしても起きないほうが悪いはず。と思っても言えないが。
太陽も沈み、周囲は完全に暗くなった。アイテムボックスから夕食を取り出して夕食を食べる。ハーピーのほうは完全に寝ているように思える。
夕食を食べながら作戦会議をするがあまり議論にならずに作戦が決まった。俺とサーラが魔法で先制攻撃をして、その後にアイリーン、マリーナ、レジーナ、エリーがハーピーの巣に突撃することになった。当然、俺は魔法を放った後は前衛に合流するが。
夕食も食べ終わり夜襲に向かった。梯子を登り屋上に出た。別棟を確認するが、気配はちゃんとある。やはり巣なんだろうな。
「よし、攻撃の準備をするよ。」
『『はい。いつでも大丈夫ですよ。』』
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