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0071:見張り中の暇潰し


オークの巣へ向かう馬車の中にいる。5人部屋のはずなんだが狭く感じる。というか明らかに狭いよな。


「なんか、この馬車って狭いよね?」


『そりゃあ、私達の馬車と比べたら狭いですよね。でも仕方が無いですよ、レイさん。』


「それはそうなんだけどねぇ。」


1度贅沢を覚えてしまうと、そこから中々抜け出せないというやつかな。夕方まで馬車に揺られて、やっと夕食の休憩時間になった。身体を伸ばしに馬車の外に出ると夕食の配給が行われていた。まぁ干し肉だけどね。


『あら、あなた達は配給を貰いに行かないの? 早く行かないと無くなっちゃうかも知れないわよ?』


と声をかけてきたのは例の女性リーダーだった。元々、俺達は配給を貰うつもりは無いけど、さすがに配給が無くなることは無いだろう。


「俺達は自分たちの食事を準備してきたから大丈夫だよ。」


『へぇ、どんな食事を準備してきたの?』


「俺のアイテムボックスに色々と入っているからね。普通の食堂の食事とか、屋台の串肉とかがね。」


『え、冒険者なのにアイテムボックスを持っているの? 珍しいわね。』


「そうなの? アイテムボックス自体はそれほど珍しいスキルじゃないって聞いているけど?」


『そうね。アイテムボックス自体はそこまでレアスキルというわけじゃないけど、アイテムボックスを持っている人は商人とかになる人が多いって聞いているわよ。』


「へぇ、そうなんですか。まぁ、荷物持ちとしては便利だから分かる気がする。実際に荷物持ちだしね。」


『ぷっ、そうなの? でも、あなたがパーティーのリーダーなんでしょ?』


「そうだけど、リーダーと荷物持ちは別物だよ。」


と会話をしていると、夕食の配給場所から声がする。


『お~い、エリー。まだ終わんないの~?』


『あ、しまった。仲間を待たせたままにしちゃった。じゃあ、私達は配給を貰ってくるね。』


あの女性リーダーはエリーというのか。エリーが彼女の仲間のもとに向かった後、アイリーン達が近くに寄って来た。


『旦那様~、まさかハーレムメンバーとして、さっきの女性を狙ってる?』


「まさか、そんなことは無いよ。ただ普通に会話してただけだよ。」


『まぁ、ちゃんとパーティー強化になるなら、特段反対はしませんよ? ご主人様。』


「だから、違うって・・・って、いいのか?」


すぐにパーティーメンバーを増やす予定は無いのだが、増やすことに問題は無さそうだ。少し身体を伸ばし後、再び馬車の部屋に戻り、夕食にした。


『やっぱり、レイさんのアイテムボックスは便利ですよねぇ。討伐戦に向かっているはずなのに普通の食事が出来るんですから。』


まぁ確かに、便利そうなので取得したスキルだったが、想定以上に役に立っている。転生者には必須のスキルだよね。


夕食後、見張りの順番が回ってくるまで仮眠を取ることにした。ベッドに横になるとすぐに寝てしまった。まぁ、寝れるときにすぐに寝れるのは冒険者として必要な能力らしい。


………

………


コンコン、コンコン


扉をノックする音がする。


『お~い、見張りの交代の時間だ。』


「あ~、分かった。今起きるよ。」


アイリーン達を起こして見張りに行く準備をする。準備といってもアイテムボックスから全員の武器を出すだけだが。防具は来たまま仮眠を取っていた。


扉を開けて、見張りをしていた冒険者達に状況を確認したが、特に問題は発生していないとのことだ。


「分かったよ。じゃあ、見張りの交代だね。」


『あぁ、後はよろしくな。』


見張りをしていた冒険者達は眠そうにして、自分たちの部屋に戻っていった。


「さて、こっちも見張りをしようか。」


とりあえず、馬車の外に出ると他の馬車に乗っていた冒険者達も見張りをしている。単純計算すると馬車が15台だから15組のパーティーが見張りをしていることになる。


「こんなに見張りの数って必要なのかな?」


『まぁ、普通に考えると、こんなに見張りの数は必要無いですね、ご主人様。』


『レイさん、確かに見張りの数は過剰ですけど、冒険者同士が揉めないためには、各馬車から見張りを出すのは仕方無いと思いますよ。』


確かに全員が公平に見張りをするんなら不満は出ないだろうな。そして、さすがに見張りの数多いためか襲ってくるモンスターはいない。


「………暇だね。」


『暇で結構じゃないですか、旦那様。』

『主様、寝てしまいそうです。』


周りの見張りの冒険者達はどうしてるのかなと周囲を見渡すと、同じように暇そうにしているな。座って会話している冒険者達や軽く稽古をしている冒険者達がいる。


『ご主人様、私達も軽く稽古をしますか?』


「そうだね、暇だし軽くやるか。」


俺vsアイリーン、マリーナvsレジーナで稽古を始めた。サーラはイメージトレーニングをするようだ。


俺は神刀ミロをアイテムボックスにしまい、そこら辺に落ちていた木の棒を構える。ちなみに神刀ミロをアイテムボックスにしまっていてもステータスアップの恩恵は残ったままだ。


器用のステータスはスピードに影響する。俺とアイリーンの器用差は50近くあるので、スピードではアイリーンを圧倒しているが、何故かアイリーンを押し込めない。木の棒でアイリーンに打ち込むがアイリーンの盾で弾かれる。


「くそ、なんで打ち込めないんだ? やりにくいな。」


『く、さすがに速いですね、ご主人様は。』



一方、マリーナとレジーナのほうは、マリーナが長めの木の棒でレジーナに突きを入れようとしているが、レジーナに上手く回避されているようだ。ただし、マリーナの連続突きが速いため、マリーナの懐に入れないようだ。


『この! ちょこまかと!』


『う~ん、突きが速くて中に入れないなぁ。』



いつの間にか、周囲で見張りをしていた冒険者達が集まってきた。


『おいおい、稽古にしては結構ハードだな。』

『こいつら、かなりいい動きをしているな。』


暫くするとサーラが声を掛けてきた。


『レイさん、アイリーン、マリーナ、レジーナ、そろそろ見張りの交代の時間ですよ。』


稽古を止めて、一息つく。


「ふぅ、良い感じに暇潰しになったね。」


周囲の冒険者達からも


『良いものが見れたよ。』

『暇潰しの見世物には最高だったよ。』


と何故か他の冒険者達からも称賛の言葉を貰った。見世物じゃないんだけどね。


馬車に戻り、次の見張りをするパーティーの部屋をノックした。少しするとパーティーメンバーが部屋から出て来た。


『おい、随分と汗をかいているけど、モンスターが襲ってきたのか?』


「いや、ちょっと軽く稽古をね。」


『軽くでそんなに汗は出ないぞ。随分とハードな稽古をしたようだな?』


「………少しだけね。」


本当は、アイリーンに中々一本を入れられずにむきになったことは内緒だ。


『そうか、まぁこの後もあるんだから、ちゃんと休んでおけよ。』


「ありがとう。そうするよ。」


見張りの交代も終わり、自分たちの部屋に戻り、ゆっくり休むことにした。

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