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0007:宿屋に泊まりました


冒険者ギルドで報酬を受け取りギルドを出た。ギルドを出る際に受付嬢に向かって


「明日はちゃんと依頼を受けに来ますね。」


『はい。お待ちしていますね。』


と、受付嬢と約束(?)をしてギルドを出た。ギルドを出てベルドから聞いていた直ぐ隣の宿屋に入った。


「すみません。今日って部屋は空いていますか?」


恰幅の良い女将が出て来て


『あぁ、まだ部屋は空いてるよって、あんた、ひょっとしたらレイさんかい?』


「え? そうですけど、なんで俺の名前を知っているんですか?」


『あ~、ベルドさんから、レイって男の子が来たら1週間宿泊させてやってくれって、さっき頼まれたのさ。しかも1週間分の宿泊費はベルドさん持ちだよ。』


「マジか。ベルドさんには感謝だな。今度、お礼をしに行かないといけないな。」


『そうだね。今度、お礼を言ってあげな。きっと喜んでくれると思うよ。じゃあ、これが鍵だよ。まだ夕方だけど夕食を食べるかい?』


「はい。お願いします!」


今日はまだ何も食べていなかったことに今更気付いた。そして気付いた瞬間にお腹が鳴った。しかもかなりの音量でだ。ちょっと恥ずかしい。


『ははは、お腹が減っているようだね。今すぐに用意するから、そっちのテーブルに座って待っててちょうだい。』


この宿屋は1階が受付と食堂になっているようだ。食堂にはテーブルがたくさんある。とりあえず、俺は端じっこに座った。暫くして料理が出てきた。


『お待たせ。これが今日の夕食だよ。』


女将さんが食事を運んで来てくれた。出てきた食事は、肉と野菜を煮込んだスープと少し固めのパンだった。パンは少し大きめだった。


『パンは千切って、スープに浸してパンを柔らかくしてから食べておくれ。あと、パンを1個オマケしておいたからね。』


「ありがとうございます。」


派手にお腹を鳴らしたか、パンを1個オマケしてもらった。お礼を言ってから女将さんの言うとおりにパンを千切ってスープに浸してから一口。


「あ、意外と美味しいな。」


『意外とは余計だよ。』


「あ、すみません。」


『まぁ、美味しいと言ってくれたから良しとするけどね。』


スープが染み込んで柔らかくなったパンは本当に美味しい。続けてスープの中に入っている肉も食べる。肉の方も中々美味しい。


野菜も美味しいが、黒い塊の味は人参、ピンク色のブロッコリーのような味、等々だ。スープと一緒に食べると本当に美味しんだが、見た目と味のギャップに慣れるまで時間がかかりそうだ。


「女将さん、これって何の肉ですか?」


『あぁ、それかい? それはラージラビットの肉だよ。』


あのデカいウサギの肉か。野菜と一緒に食べると凄く美味しい。フォークが止まらない。こっちの世界では箸は無いようで全てフォークとスプーンで食事をするみたいだ。


「ご馳走さまでした。凄く旨かったです。」


『そうかい。満足してくれたようだね。食べ終わった食器はあっちのカウンターの横に持っていっておくれ。』


「はい、分かりました。」


食べ終わった食器を言われた通りカウンター横に運ぶと、女将さんから


『もう部屋に戻るのかい? なら、後でうちの娘にお湯を持っていかせるからね。』


あぁ、お風呂は普通に無いんだな。布切れで身体を拭くだけか。まぁ、とりあえず、それでもいいか。


「はい、お願いしますね。」


さすがにクタクタのため、早く部屋に戻って横になりたい。鍵に付いた札を見るとミミズが這ったような文字が見えるが、頭の中には【203】という数字が思い浮かんできた。


「これも言語解析スキルのおかげか。」


【203】と書かれた部屋に着き、部屋の鍵を開け部屋のなかには入ると4畳半くらいの広さの部屋にベッドがあるだけだ。まぁ、とりあえず寝るだけの場所と思えば十分な広さかな。


とりあえずベッドの上で横になり、差し当たって明日以降のプランを考えた。プランと呼べる程のものでもないけど。


「当面はゴブリンとラージラビット退治を中心にこなしつつ、剣術と回復スキルのレベルをあげるかな。」


魔法も早く覚えたいが、まずは神刀を使いこなすために剣術のレベルアップが最優先だよね、等と考えていると、コンコン、部屋のドアをノックする音がする。


『レイさん、お湯を持ってきました。』


女将さんとは違う若い女性の声だ。部屋に入って来た女性は俺と同い年くらいの女性だった。


「あ、すみません。ありがとうございます。」


『ふふ、そんなに畏まらないで下さいよ。レイさんはお客様なんですから。あ、私はこの宿屋の娘のマーサって言います。よろしくお願いしますね。』


「こちらこそ、よろしくお願いします。」


結構可愛いなぁ。と、じっと見ていると


『あの~、その~、じっと見られるとちょっと恥ずかしいんですけど?』


「え? あ、すみません・・・」


しまった。女性に免疫が無いことがこういうところでも出てしまう。早く女性に慣れないといけない。そのうち不審者として捕まってしまうかも知れないな。


『あ、いえ、その、お湯はここに置いておきますね。』


マーサがお湯の入った桶と布を部屋の中央の床に置いた。


『桶は明日の朝に1階のカウンターに戻して置いて下さいね。では失礼しました。』


桶のお湯で身体を拭き、頭も洗ってスッキリしたところで明日に備えて今日は就寝した。


「明日、起きたらモンスターハウスでした、なんてオチは無いよな?」

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