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0069:なんでこうなる?


「今日はダンジョンに潜らずに普通の依頼を受けてみようか?」


朝、起きて朝食を食べている時に俺が言った言葉だ。ダンジョンは稼ぎは良いのだが閉鎖的な空間のため、どうしても長時間潜っていると気が滅入ってくる。


「ずっとダンジョンに潜っていると鬱になりそうな気がするんだよね。なのでダンジョンと普通の依頼を交互にするほうがいいと思うんだよね。」


『確かにそういう冒険者は意外に多いらしいですよ。やっぱり皆、外のほうが良いんでしょうね、ご主人様。』


「やっぱり、俺だけじゃ無かったようだね。」


ということで、朝食後はギルドに向かった。ギルドの中に入ると、いつもと様子が違う。他の冒険者達が口々に話をしている。


『どうやら、オークの巣が見つかったようだな。』

『あぁ、それも結構な規模らしいぞ。』

『となると、緊急依頼が発動されるのか?』

『らしいな。でもオークの巣となるとランク制限がかかるんじゃないのか?』

『今回はランク制限が無いらしいぞ。』

『上級冒険者パーティーが中級者用ダンジョン、上級者用ダンジョンのボスモンスターの討伐に向かっているからか。』

『そうなると、ちょっとタイミングが悪いな。』


説明口調の会話をありがとう。状況がちゃんと理解できたよ。


「オークの巣って言うくらいだから、かなりの数のオークがいるんだよね?」


『そうですね、レイさん。小さい巣でもオークが50匹くらいで、大きい巣になると100匹以上になり、かつ上位種までいるのが普通になりますね。』


「100匹以上か、それは厳しいね。しかも上級冒険者達がいないのか。」


『ご主人様、どうしますか?雰囲気的には、もうすぐ緊急依頼が発動されるかと思いますよ。緊急依頼が発動されると暫くは通常の依頼も受けられないですね。』


「緊急依頼に参加する、しないはもちろん冒険者の自由だよね?」


『はい。ですが、ご主人様はきっと参加しますよね?』


「いやいや、分からないよ? そもそも、まだ決めて無いし。」


『………そうですか。分かりました。』


(でも、ご主人様はきっと参加するんだろうな)

(旦那様が参加しないなんて無いだろうな)

(主様、参加するくせに)

(レイさん、参加したいんだろうな)


4人とも、どうせ俺は参加するんだろう、という目で見ている気がするな。だが、俺だって好き好んで面倒事に首を突っ込むつもりは無い。


実際にオークと戦闘した経験から10~20匹程度なら倒せる自信はあるが50匹以上、もしくは100匹以上となれば話は別だ。他の冒険者達の実力も分からないしな。


「じゃあ、帰ろう」

『あ~、お前らは昨日の奴らじゃねぇか!』


帰ろうか、と言おうとしたところで突然の邪魔が入った。顔面が腫れている男4人のパーティーだ。


「え~と、どちらさんですか?」


『あ、てめぇ! 俺らをこんな目に遭わせておきながら忘れたなんて言うのか? 俺らは砂の城パーティーだ。』


「砂の城? みんな、知ってる?」


アイリーン達を見るが、みんな首を横に振る。


『昨日、そこの赤毛の女に殴られただろうが!』


「あぁ、思い出した。昨日、マリーナにペチャパイって言って殴られたパーティーか。」


砂の城メンバーが少し怯えているような気がするな。


「痛っ、ちょっとマリーナ、お尻をつねらないでよ・・・」


マリーナが俺のお尻をつねりながら、砂の城メンバーを睨んでいる。ちょっと怖いな。


「で、俺達になんか用事でもあるのか?」


『それよりも、お前らはまさかオーク討伐を受けずに帰る気か?』


「あぁ、そのつもりだよ。」


砂の城のアモンが少し考えている。というか、早く帰らせて欲しいんですが。


『よし、こういう勝負はどうだ? お互いにオーク討伐戦に参加してオークの討伐数を競う。俺達が勝ったら、この怪我の賠償をして貰う。』


え? 何を言ってるんだ? 何で勝負? こっちは依頼を受けないって言っただろうに。頭がおかしいのか?


『分かったわよ。その勝負を受けてやるわよ。その代わり、私達が勝ったら、私にペチャパイと言ったことを謝罪してもらうよ?』


「え~? ちょ、ちょっと、何を言ってるんだ、マリーナ? 勝手に勝負なんか受けちゃ駄目だろう?」

『ちょっと、マリーナ、何を言い出しているのよ?』


『よし、分かった。その条件を飲もう。それじゃあ、早速依頼を受けに行くぞ。逃げるなよ!』


あぁ、どうやら勝負が成立してしまったようだ。今から、やっぱり無しとは言えない雰囲気だ。


「………あぁ、分かったよ。仕方がない。」


マリーナが勝手に受けたとはいえ、同じパーティーなので知らないとは言えないし、マリーナを見捨てるわけにもいかない。


しかし、ペチャパイと言うキーワードだけでこんなことになるとは全く想像も出来なかったよ。そんなに気にしていたのか。間違っても言わないように気を付けないといけないな。


まずは砂の城パーティーがオーク討伐依頼の受付を済まし、続けて俺達も受付を済ました。受付嬢の説明としては


・明日の朝にギルドに集合すること。

・ギルドカードを忘れずに持参すること。

・討伐戦の参加費用は1日銀貨1枚。

・オーク討伐報酬は通常の3倍。

・死亡、怪我は自己責任。

・移動手段はギルドで用意する。

・食事(干し肉と水)もギルドで用意する。


とのことだった。まぁ妥当な線かな。


『明日、逃げずにちゃんと来いよな!』

『この顔の代償はしっかりと払ってもらうからな!』


砂の城パーティーは捨て台詞を吐いて帰っていった。


「とりあえず、明日に備えて今日は俺達も帰ろうか。マリーナにお仕置きをしないといけないしね。ねぇ、マリーナ?」


『えっと、ちょっと待って。旦那様・・・お手柔らかにね?』


「やだ。妥協は一切しないよ。するつもりも無いしね。」


『え、そ、そんな~? 旦那様~。』


ギルドで干し肉を用意すると言っているが、正直、干し肉を食べたいとは思わない。本当に食べるものが無かったときの非常時なら別だが。なのでアイテムボックスの食事と水を補充しておく。


その夜、宣言通り、マリーナへのお仕置きは決行された。目の前でマリーナが土下座をしている。


「では、これからマリーナへお仕置きを行う。」


『あの~、旦那様、本当にお手柔らかにお願いしますね?』


俺はニッコリと首を横に振る。


………

………


『うぅぅ、旦那様は本当の鬼畜です・・・』


『ご主人様、さすがにどうかと。』

『主様、怖いですよ。』

『レイさん、やり過ぎですよ。』


いや、俺はまったく悪くないはず。何をしたのかは内緒だが。

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