0067:オークは弱くない
今日はどうするか悩み中だ。中級者用ダンジョンの4階層が3階層と同じく虫系モンスターだらけなら、かなりストレスが溜まるだろう。ただし稼ぎとして良いんだけど。
『ご主人様、今日はまずギルドで情報収集をしてみましょうか? その結果で判断してからでも良いかと思いますよ。』
「それもそうだね。じゃあ、まずはギルドで情報収集をしてみようか。」
少し早めにギルドに到着した。ギルドの中に入りいつもの受付嬢がいることを確認した。
「すみません、ちょっと教えて欲しいんですが、中級者用ダンジョンの各階層で出てくるモンスターの種類を知る方法ってありますか?」
『そうですねぇ、地図に書いてありませんかね? 結構、細かいことまで記載されている地図があるって聞いたことがありますよ。』
おぉ、確かに。普通に考えれば、そういう情報も記載したほうが売れそうだしな。
「ありがとう。早速、地図を買いに行ってみますね。」
受付嬢にお礼を言ったところで、男4人組の冒険者パーティーが声を掛けてきた。
『やぁ、君達。僕の名前はアモン。砂の城というパーティーのリーダーをしてる。どうだい? 僕達ランクDパーティーに加入しないかい?』
急に一体なんだ? 意味が分からないぞ。
「えっと、そちらは4人で、俺達は5人いるからパーティーは無理なんでは?」
もしかしたら足し算も出来ない馬鹿の可能性もあるからな。当然、加入する気なんて微塵も無いけど。
『いやいや、君と、君には用は無いよ。』
アモンが両手で指差しした。右手は俺を指差しし、左手はマリーナを指差ししている。俺を指差しするのは分かるが、なんでマリーナまでと考えているとアモンが答えを言った。
『男とペチャパイには用は無い!』
何故かアモンは自信満々に言い切った。
………
………
「ぷっ」、ヤバい。危うく笑いが漏れそうだった。隣のマリーナを見ると頭を下にさげて、全身がプルプル震えている。アイリーン達はというと、『あ~、やっちゃったよ~』という表情だ。
「 (あ、これはマジで怒っているな。ここは笑いを堪えないと、こちらにも飛び火するな) 」
『ふっ、ふっ、フザケンナァ!!!』
マリーナの右ストレートがアモンの顔面にクリーンヒットした。そして、そのまま砂の城メンバーを次々と殴り飛ばしていく。
マリーナは気絶しているアモンの胸ぐらを掴み、アモンを持ち上げている。
『私の胸で、テメエェに何か迷惑を掛けたかぁ?』
確かにマリーナの言うとおりだ。でも、そろそろ止めないといけない気がするがタイミングが難しいな。マリーナがもう一発殴ろうとしたため、ようやく止めに入った。
「マリーナ、これ以上は駄目だよ。」
とりあえず、マリーナは掴んでいたアモンを放り投げた。
『………旦那様も笑ったよね?』
「え、そんなことは無いよ。」
笑いかけたことは黙っておこう。ここは笑っていないで突き通すべきだ。
『………嘘、絶対に笑ってたよね?』
「いやいや、笑うはず無いだろう。前からマリーナの胸も好きだって言っているのに。」
これは本当のことだ。嘘偽りは無い。そもそもCカップ(推定)はペチャパイでは無いと思うんだけどね。
………
………
『あの~、ここはギルドなんですけど~。さすがに胸がどうこう等の話はどうかな? と思うんですけど?』
受付嬢の言葉に、はっとする。俺とマリーナは顔を真っ赤にした。
「あ~、その~、そうだ、さっさと地図を買いに行くよ。」
『そ、そうですね。さっさと地図を買いに行きましょうか、旦那様。』
気恥ずかしさ満載でギルドを出て、中級者用ダンジョンの近くにある屋台に向かった。複数ある屋台の中にいくつかの屋台に地図を売っている屋台があるはず。
いくつかの屋台を確認していくうちにお目当ての屋台を発見した。
「オジサン、ダンジョンの地図が欲しいんですが、各階層毎に出てくるモンスターの種類が記載されている地図ってある?」
『もちろん、あるぞ。ただし、普通の地図よりも若干値段が張るけどな。普通の地図は1階層に付き大銅貨5枚だが、モンスター情報付きの地図は1階層に付き大銅貨7枚になるぞ。』
中級者用ダンジョンは全部で8階層なのは既に確認済みなので4~8階層までの地図だ。なので大銅貨35枚になる。
「オジサン、4~8階層までのモンスター情報付きの地図を買いたいんだけど。」
『あぁ、分かったよ。5階層分纏めてなら大銅貨30枚にまけてやるよ。』
「オジサン、ありがとう。」
オジサンに礼を言って銀貨3枚渡した。早速地図を見ると、4階層は虫系はいないようだ。その代わり、オークやリザードマンと書かれていた。
『オークやリザードマンですか。ランクDモンスターですね。ただし、上位種にランクCモンスターもいますので注意は必要ですよ、レイさん。』
「分かったよ。とりあえず、4階層に行ってみようか。」
まだ昼前ということもあり、ダンジョン入り口には行列が出来ている。30分待って順番が回ってきた。ポータル代を支払い、4階層へ移動した。
『主様、こっちから豚の匂いがしますね。』
オークの匂いはピンポイントで分かったようだ。相変わらず、鼻が利くな。レジーナが指示する方向に向かうとオーク達がいた。
〈鑑定〉
オークリーダー
スキル:攻撃支援、槍術
オークソルジャー x2
スキル:剣術
オークメイジ x2
スキル:火魔法
オーク x5
スキル:無し
「オークリーダー、ソルジャー、メイジと、色々と揃っているね。」
オークメイジ以外は剣や槍や棍棒で武装している。
『レイさん、普通はオークが10匹もいればランクCパーティーで討伐するもんですよ。』
「でも俺とサーラ魔法で先制攻撃すれば、何とかなりそうじゃない?」
『う~ん・・・分かりました。』
俺はファイヤアロー、サーラはウィンドカッターの準備をした。お互いに頷き魔法を放った。魔法が戦闘の合図となり、アイリーン達がオーク達に向かって突入した。
魔法で半数の5匹が倒れ、残る5匹もそれなりのダメージを負っている。俺も魔法を放った後は神刀ミロを片手にオーク達に向かって突入している。俺の目的はオークリーダーだ。
オークリーダーも俺が狙っていることを察知したのか、槍で応戦する構えをみせる。オークリーダーは構えた槍を俺の顔面に向かって繰り出してきた。結構鋭い突きを繰り出してくる。オークのくせに。
「うぉ、危ないなぁ。」
顔面に向かって繰り出された突きを回避し、突入していた足を止めて槍を受けるほうに集中した。
オークソルジャーと対峙しているアイリーンから声が掛かる。
『ご主人様、大丈夫ですか?』
「あぁ、大丈夫だよ。そっちはよろしく頼むよ。」
『はい。もちろんです。』
アイリーン達のほうは大丈夫のようだ。こっちはというと、オークリーダーが槍の連続突きを放って来ている。神刀ミロを両手で持ち、槍の連続突きをいなしているが、中々反撃に出れない。
「こいつの体力は凄いな。そろそろバテてくれないかなぁ。」
10分くらい、槍の連続突きを繰り返したところでオークリーダーの槍が鈍りだした。さすがにバテて来たようだ。
突きを回避し槍を引くタイミングで一気にオークリーダーの懐に飛び込んだ。その瞬間に神刀ミロをオークリーダーの腹に突き刺した。
『グモォォ、、、』
さすがのオークリーダーも悲鳴をあげた。神刀ミロを引く抜くとオークリーダーは膝から倒れた。すかさず止めを刺した。
アイリーン達のほうを見ると、アイリーン達のほうもオーク達を倒したようだった。
「みんな、怪我は無い?」
『大丈夫ですよ。かすり傷くらいですよ、ご主人様。』
念のため、回復(全)で全員に回復を掛けた。
「とりあえず、なんとかなったね。オークって意外に強かったね。」
『だから、数がいればランクC相当って言いましたよね? 1匹や2匹なら問題無いんですけどね。』
「そうだね。でも、ある程度格上のモンスターとも戦ってみないと自分たちの実力が分からないからなぁ。」
『それはそうなんですけどね。ほどほどにしましょうね。』
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