0066:虫は強い?
昨日購入したベッドの寝心地は最高だった。このまま二度寝したいところだけど、そこは我慢して起きた。ベッドから起きるとアイリーン達がキスをしてくる。もはや朝の流れ作業になっている。
朝食を食べて、そのまま中級者用ダンジョンに向かった。初級者用ダンジョンと同様にポータル使用料として銀貨5枚を入り口のオッサンに渡して3階層へ移動した。
「ダンジョンの様相が少し変わったね。」
今までの洞窟風から地下通路風に変わった。壁が光っているのは相変わらずであるが。ただし横幅が少し広がっている。
『これなら、転んでも大怪我しないですよね、旦那様。』
「そうだねって、転ばないよ、多分だけど。」
『主様、モンスターはこっちのほうにいますよ。』
レジーナは相変わらずのマイペースだ。マリーナもある意味でマイペースであるが。
レジーナが指示する方向に進んでいく。すると前方からモンスターが近づいてくる。カサカサと乾いた音が聞こえてくる。
「え、かなりデカイけど、あれって蟻か?」
すぐに鑑定をしてみる。
〈鑑定〉
キラーアント x8
スキル:剛健
「キラーアントだって。しかしデカイ蟻だね。しかも8匹もいるのか。」
1mくらいある蟻だ。デカイと蟻の顔がハッキリと分かるが、昆虫の顔ってちょっと怖いな。ただ、持っているスキルは欲しいな。
『ご主人様、虫系のモンスターは大概は火魔法に弱いはずです。』
「了解した。今から準備するよ。」
俺はファイヤアローの準備をする。その間、アイリーンとマリーナがキラーアントの突進をブロックしている。
「アイリーン、マリーナ、準備が出来た。下がってくれ。」
アイリーンとマリーナが下がった瞬間にファイヤアローを放ち、キラーアント達に直撃した。数匹は生き残ったようだが、すぐにアイリーン達によって止めを刺された。
戦闘が終了後、スキル取得選択画面が表示された。
【剛健】スキルを取得しますか?
[はい] [いいえ]
当然、[はい]を選択し、マリーナ、レジーナ、サーラにスキルを付与した。余った分はアイテムボックスにストックし、ステータスの確認をしてみた。
名前:レイ
種族:ハイヒューマン
年齢:15
筋力:45(+70)
体力:41(+71)
魔力:67(+50)
器用:37(+50)
スキル:
【鑑定】【アイテムボックス】【言語解析】【魔法全般】【スキル強奪】【回復(全)Lv28】
【剣術Lv35】【短刀術Lv19】【回避Lv17】
【火魔法Lv29】【気配探知Lv6】【豪腕】
【マップ】【剛健】
名前:アイリーン (主人レイ)
種族:ハーフエルフ
年齢:42
筋力:46(+25)
体力:43(+21)
魔力:42
器用:38(+1)
スキル:
【大盾術Lv15】【剣術Lv14】【豪腕】
【剛健】
名前:マリーナ (主人レイ)
種族:ハーフドワーフ
年齢:24
筋力:40(+25)
体力:37(+22)
魔力:18
器用:40
スキル:
【盾術Lv10】【槍術Lv11】【豪腕】
【剛健】
名前:レジーナ (主人レイ)
種族:狼人属
年齢:21
筋力:37(+23)
体力:34(+22)
魔力:17
器用:44(+2)
スキル:
【剣術Lv11】【回避Lv11】【豪腕】
【剛健】
名前:サーラ (主人レイ)
種族:ヒューマン
年齢:23
筋力:27(+21)
体力:29(+22)
魔力:42(+1)
器用:37(+2)
スキル:
【風魔法Lv11】【回復Lv8】【弓術Lv9】
【豪腕】【剛健】
「よし、これで剛健スキルも全員に行き渡ったね。ストックも出来たけど、ステータスのほうは順調に伸びているのかな?」
『レイさん、普通は30を超えると1つ増やすのに1年くらいは掛かるものですよ。』
「なるほど、それなら順調だと思っていいのかな。」
キラーアントの死体が消えて、魔石とドロップアイテムが残った。白い塊がある。鑑定してみると、蟻酸の塊と出た。
「蟻酸の塊ってなんだろう?」
『革製品のなめし加工に使うって聞いたことがありますよ、レイさん。』
『旦那様、なめし加工ってなんですか?』
「確か、革製品を柔らかくするための作業だったかな。俺達の革の服とかもなめし加工されているはずだよね。」
『へぇ、旦那様って意外に物知りなんだね。』
う~む、褒められているのか馬鹿にされているのか分からん。まぁ入院時代に蓄えた知識だ。無駄な知識だと思っていたが少しは役に立っている。
『主様、次のモンスターは向こうにいますね。羽音がします。』
「3階層は虫系モンスターのオンパレードか? しかし羽音か、面倒臭そうだね。」
羽音がする方向に進んでいく。やっぱりだ。今度は蜂か。50cmくらいの蜂だ。鑑定をすると
〈鑑定〉
ジャイアントビー x3
スキル:なし
「ジャイアントビーか。スキルは無しだし外れだね。」
『ご主人様、そんなに欲張って駄目ですよ。』
「確かにそうかもね。サーラ、風魔法でジャイアントビーの動きを牽制してくれるかな? 多分だけど、そのまま火魔法を撃ってもかわされそうな気がするんだよね。」
『レイさん、分かりました。』
サーラがウィンドカッターを放った。ジャイアントビー2匹の羽が切り裂かれて地面に落ちたが、1匹は外してしまった。
『あ、ごめんなさい。1匹外してしまいました・・・』
「大丈夫だ。アイリーン、マリーナ、レジーナ、行くよ。」
1匹くらいならと、俺達は剣を槍を振るがジャイアントビーはスイスイとかわしていく。しばらくしたらジャイアントビーは何処かに飛び去っていってしまった。
「逃げちゃったね・・・」
『まぁ、仕方無いですよ。レイさん。』
その後も3階層を探索を続けた。途中でバッタや芋虫や蜘蛛のモンスターとも遭遇した。次々と虫を倒して、ようやく4階層への階段を見つた。そして階段を降り、4階層のポータルを登録した。
3階層での成果は
キラーアント x13
ジャイアントビー x4
ジャイアントホッパー x12
グリーンキャタピラー x8
ブラックスパイダー x5
蟻酸の塊 x7
蜂の針 x2
バッタの脚 x7
繭の糸 x4
蜘蛛の糸 x3
「なんか、俺達って虫とは相性が悪いのかな? 逃げられたのが結構多い気がするよね。」
『ご主人様、虫系モンスターは決して弱く無いですよ。むしろスピードが速かったり、殻が非常に硬かったり、力が強かったりしますので。』
「そう言われると納得しちゃうな。とりあえず、今日は引き上げようか。」
確か、昔読んだ本に、人間、動物、昆虫が同じ大きさになると最強なのは昆虫だって書いてあったな。今日、それが実感出来たな。
昆虫が手強いこと認識出来たところで、ポータルで脱出しギルドに向かった。そしてギルドで買取をしてもらったところ、ビックリの結果が出た。
『お待たせした。査定の結果ですが、金貨3枚、大銀貨5枚、銀貨7枚になります。』
「へ? 金貨3枚? なんで? なんか計算が間違っていませんか?」
魔石の数はそれほどでも無いからドロップアイテムが高いということになるが、虫のドロップアイテムだぞ?
『実は虫系モンスターのドロップアイテムは納品数が少ないんですよ。ですが無いと非常に困るものが多いんですよ。なので意外と高値になるんですよ。』
とりあえず、皆、苦労していることが判明したので少しだけほっとした。虫系モンスターは報酬面では美味しいが戦闘では非常にストレスが溜まる。なので積極的に狩りたいとは思わないな。
アイリーン達も、『虫系は止めましょう』とのことだった。
こういう日はさっさと寝よう。
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