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0058:贅沢は敵か?


初めての野営だ。当然、テントの経験も初めてだ。寝袋も初めてだが、この寝袋は意外に寝心地が良い。気持ち良く寝ていると身体が揺れている。


『…様。…じ様。…主様。見張りの順番ですよ。』


レジーナが俺の身体を揺すっていたようだ。


「…う~ん、ゴメン、今起きるよ。」


むくりと起き上がると、レジーナからキスされた。


『おはよう。見張り、よろしく。お休み。』


必要最低限のことだけ言い残してレジーナはさっさと寝てしまった。テントの外に出ると、寝起き直後だからかランタンの明かりが眩しく感じる。そして、ランタンの下にはモンスターの死体がある。特に剥ぎ取りはされていない状態のままだ。


「モンスターが襲ってきたのかな? 倒すだけ倒して死体は放置プレイか。後で、魔石と討伐証明部位の剥ぎ取りをしないと。」


とりあえず、モンスターの死体はアイテムボックスの中に放り込んでおいた。その後は何もすることがない。モンスターが襲ってくることも無く時間だけが過ぎていく。することが何も無いと眠くなってくるな。


そろそろ、日が明けようかという時間になってきた。俺の気配探知に掛かった奴がいる。神刀ミロを片手に気配がある方向を見るとゴブリンが3匹いた。


『グギャ』『ギギャ』『グギィ』


何か会話しているようだけど分からない。だが、俺がミロを構えるとゴブリン達はなぜか逃げていった。


「え、モンスターが逃げた? そんなことがあるのか。」


この世界のモンスターは何も考えずにひたすら襲いかかって来るものだと思い込んでいたが、どうやらそんなことは無かったようだ。


そんなことをしているうちに完全に日が明けたので、朝食の準備をしてアイリーン達を起こそうとテントの中に入る。


「みんな~、朝だよ。朝食の準備が出来たよ~。」


アイリーン達は既に起きていた。起きていたが、着替えの途中だった。


「あれ?」


『『え?』』


『ちょ、ちょっと、ご主人様?』

『旦那様、朝から堂々と覗きですか?』

『主様、覗きたいならちゃんと言って。』

『ちょっと、レジーナ。それって違うからね。それよりも、レイさん、早く後ろ向いて。』


「あ、えっと、ゴメン。」


謝って直ぐにテントの外に出た。朝から良いものが見れた。しかしお約束通り、アイリーンとサーラの前で正座をさせられた。


俺が説教されている間、マリーナとレジーナは我関せずとばかりに朝食を食べ始めていた。冷たい奴らだ。アイリーンとサーラの長い説教が終わり、俺とアイリーンとサーラも急いで朝食を食べた。朝食を食べ終わり出発する。


「そういえば、今、向かっている村にもハビって名前があるよね。ダンジョン都市はなんて名前なの? 誰も名前で呼んでないよね?」


『レイさん、ダンジョン都市はダムという名前ですよ。確かに誰もダムの名前で呼んでいないですね。ダンジョン都市という呼び名のほうが有名で、ダムという名前のほうは何故か誰も使わないですね。』


確かに正式名称よりも通称のほうが有名な場合もあるんだろうな。


「この国には他にどんな町があるの?」


『そうですねぇ、商業都市のゼイム、闘技場があるコロセウム、港町のブルース、国境を守る城塞都市のアキレスが有名ですよ。』


「へぇ、闘技場なんてものまであるんだ。」


でもあまり娯楽が無さそう世界だから賑わっているかも知れないな。


『レイさん、ひょっとしたら闘技場に興味があるんですか?』


「う~ん、ちょっとだけね。」


『へぇ、意外ですね。旦那様はそういったものには興味が無いかと思っていましたよ。』


俺の興味の元はゲームからだけどね。俺の知っている大抵のゲームでは、ゲームに闘技場らしきメニューがあったよな。レベルを上げた自分のキャラの強さを確認するために。


「ちなみに、闘技場って人間同士で闘うんだよね?」


『ご主人様、闘技場は人間とモンスターとの闘いがほとんどですよ。昔は人間同士の闘いがあったようですが残酷だということで、今は人間同士の戦いを実施していないと聞いています。』


「え、そうなの? まぁ、確かに人間同士の闘いはさすがに不味いか。」


『はい。その代わり、モンスターとの闘いには冒険者パーティーも参加できるはずですよ。』


「へぇ、なるほどね。参加するかどうかはさておき、闘技場は1度は見てみたいね。」


『主様、見るだけじゃなく、是非参加してみよう。』


歩きながら会話をしていると、昼食の時間になったようだ。腹時計が昼になったことを知らせてきた。


「そろそろ、昼食にしようか。」


『『賛成~。』』


昼食として、アイテムボックスから串肉を取り出した。もはや定番となりつつある。歩きながらでも食べられるが、今回はテーブルと椅子を出して座って食べた。


『主様、モンスターが近づいて来ています。』


どうやら串肉の匂いに釣られてきたようだ。念のため戦闘体勢を取っているとコボルトの姿がが4匹確認出来た。念のため鑑定してみたがなんの変哲もないコボルトだった。


『あれなら、ご主人様1人で十分ですね。』

『うん、そうよね。ということで旦那様、よろしくね~。』

『主様、頑張ってね。』

『レイさん、大丈夫ですよね?』


そりゃあ、1人で大丈夫だと思うけど・・・何か違うよなぁと思いつつも席を立ち、神刀ミロを片手にコボルトを薙ぎ払った。


『主様、魔石と討伐証明部位の剥ぎ取りは私達がするよ。』


レジーナ達が剥ぎ取りをしている間、俺は昼食の続きをした。雑魚モンスターの場合は、このほうが効率が良いかも知れないな。


昼食と剥ぎ取りが終わったので再びハビへ向けて歩き出した。また暇との闘いだ。


「やっぱり、自前の馬車が欲しいよね。馬車っていくらぐらいするの?」


『ご主人様が欲しいのは、箱馬車ですよね? しかも空間拡張された馬車ですよね? だとすると大金貨5~10枚くらいですかね?』


『う~ん、確かにそれくらいはするかなぁ。レイさん、馬車はかなり高価なんですよ。冒険者によっては馬車で生活している人がいるくらいですし。』


ダンジョン都市に来るときに乗った馬車も5人部屋が4つあったよな。確かにそれくらい広かったら生活も出来るな。賃貸にするか持ち家にするか、みたいな感じかな。


「自分達の馬車で、色んな国や町に行くって面白そうじゃない?」


そんな話をしているうちに、夕方になり2日目の野営の準備をした。2日目になると少しは手慣れてくる。


数日程度だが、ホテルで宿泊していた時は毎日風呂に入っていたためか、風呂に入りたいな。


「う~ん、贅沢に慣れたせいか風呂に入りたいよね。」


『お風呂は贅沢じゃなく、生活必需品ですよ。レイさん。』


サーラ以外の面子も頷いている。


風呂がいつの間にか必需品扱いになったな。まぁ俺も風呂には入りたいので、今後の旅に備えて風呂は検討しよう。出来れば全員が入れるサイズが欲しいけどね。


なんとかならないかな?

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