0005:オークシンに到着した
ゴブリンを倒してスキルを取得した結果、分かったことは強奪したスキルにはレベルが存在することだ。短刀術を持ったゴブリンを2匹倒しスキルを2つ取得したら、短刀術のレベルが2になったことから判明した。
「これって、すげぇチートスキルだよなぁ。モンスターを倒せばスキルが取得出来て、しかも倒すほどスキルのレベルが簡単に上がるし。」
あと不思議なことに、「レイ」と名乗ってからステータス画面の名前が「レイ」に変わってしまった。再度変更しようとしても変更不可だった。まぁ、仕方がない。RPGでの名前の初期登録だと思うことにする。
名前:レイ
種族:ハイヒューマン
年齢:15
筋力:22(+50)
体力:20(+50)
魔力:50(+50)
器用:15(+50)
スキル:
【鑑定】【アイテムボックス】【言語解析】【魔法全般】
【スキル強奪】【回復Lv1】【剣術Lv1】【短刀術Lv2】
そして、今は商人のオッサンの馬車に乗ってオークシンに向かっている。馬車は馬が2頭仕立ての幌馬車だ。さすがに歩くよりは速いが乗り心地は良くないな。間違いなく長時間乗ると尻が痛くなるだろう。
「ベルドさん、すみませんがちょっと確認したいことがあるんですけど。」
一部記憶喪失ということにして、通常なら聞くのも恥ずかしいレベルの内容までオッサンに色々と教えてもらった。
通貨は基本的硬貨のみだ。
各硬貨の価値は日本円で換算すると
銅貨ーーー百円
大銅貨ーー千円
銀貨ーーー1万円
大銀貨ーー10万円
金貨ーーー100万円
大金貨ーー1000万円
白金貨ーー1億円
こんな感じだ。ただし、白金貨はあまり流通していないとのことだ。まぁ、普通だよな。間違って落としでもしたら自殺もんだしな。
暦は、1週間は6日。1ヶ月は5週間。1年は12カ月なので360日ということだ。地球とほぼ同じだった。これは分かりやすい。
ただ、困ったことに1日の長さが分からない。基本的には、朝、太陽が昇ったら起きて働き、太陽が沈んだら働くのを止めるらしい。一応、時計もあるらしいが高級品で一般には普及していないとのこと。
あと15歳から成人とのことだ。なので俺も成人だ。成人しているので普通に働くことが出来るとのことだ。というよりも働かないと食べていけない。
『ギルドには、冒険者ギルド、商人ギルド、錬金術ギルド等があってな、成人するといずれかのギルドに所属する必要があるぞ。ちなみに儂は商人ギルドに所属しているよ。』
なるほど。成人すると何かしらのギルドに所属して働く必要があるわけか。
「なら俺は、やっぱり冒険者ギルドかなぁ。」
『まぁ、レイは1人でゴブリンを4匹も倒せるくらいだから、それもいいかもな。お、そろそろオークシンが見えてくるぞ。』
今、馬車は小高い丘の上におり、丘から見下ろすと城壁に囲まれた町が見えてきた。ぱっと見た感じだが、5km四方の壁に囲まれている。
「あれがオークシンの町か。結構大きい町なんですね。」
『そうだなぁ。この辺りでは一番大きい町になるな。ただ、王都やダンジョン都市はもっと大きい町だぞ。』
「王都はどうでもいいけど、ダンジョン都市ってことはダンジョンがあるんですよね?」
『レイの言っているダンジョンがどんなダンジョンか分からんが、ダンジョン都市って名前の通りに町の中にダンジョンがあるぞ。なんだ? ダンジョンに興味があるのか?』
「そうですね。正直、興味があります。是非行ってみたいな。」
『そうかぁ、レイはやっぱり冒険者向きだな。お、そうだ。レイにこれを渡しておく。』
「なに? え? これって銀貨?」
ベルドから銀貨3枚を渡された。
『ゴブリンから助けて貰った礼だ。町に入る時に銀貨1枚、ギルドに登録する時に2枚が必要になるからな。持っておけ。どうせ身分証明書を持っていないんだろう?』
なるほど、色々と金が掛かるのか。そして、身分証明書が無いと困ることが多そうだ。
「分かりました。ありがたく頂戴しておきます。」
『ははは、そうしておけ。ほら、城門はすぐそこだ。』
ほどなくして城門に辿り着いた。門番から
『身分証明書を提示してください。』
ベルドは当然、自分の商人ギルドのギルドカードを提示した。
『商人ギルドのベルドさんだな。確認出来たから中に入っていいぞ。そっちの君は?』
「スミマセン、身分証明書は持っていないです。」
『分かった。じゃあ、仮身分証明書を発行するから、そこの詰所に来てくれ。ちなみに仮身分証明書の発行には銀貨1枚が必要だが持っているか?』
「あ、はい。ちゃんと持っています。」
門番に銀貨1枚を渡すと詰所に連れていかれた。詰所といっても城門の横にある掘っ立て小屋だが。
詰所という名の掘っ立て小屋の中に入ると小汚ないテーブルと椅子がある。テーブルの上には水晶玉が置いてある。
『そこに座って、この水晶玉の上に手を置いて。』
門番の言われるがままに水晶玉の上に手を置くと水晶玉が白く光った。
『よし、問題無いようだな。ほら、これが仮身分証明書だ。無くさないようにしろよ。無くしたら、また銀貨1枚だからな。あと有効期間は1週間だから、早く正規の身分証明書を取得するようにな。』
門番から割符みたいなものを渡された。ただの板切れに文字が書いてあるだけのように見えるのだが、無くさないようにしないと。
掘っ立て小屋から出るとベルドが待っていてくれた。
『お、無事に仮身分証明書が発行されたようだな。じゃあ、早速町の中に入るか。』
城門をくぐり抜け、町の中に入った。昔ネットで見た中世ヨーロッパの町並みのようだ。城門から大通りが真っ直ぐ伸びており、通りの両側に石造りの建物が並んでいる。建物はほとんどが3階建てか4階建てだ。
大通りを行き交う人達が大勢いる。明らかに色んな種族の人達がいる。
「おおぉ、すげぇ。」