0035:緊急依頼対応中
まずはマリーナとレジーナが突っ込み、ゴブリンジェネラルを相手取る。
『こっちに来なさい! この糞ゴブリン!』
マリーナとレジーナがゴブリンジェネラルを挑発しながら、ゴブリンジェネラルをキングから引き離していく。
「マリーナ達がうまくジェネラルをキングのそばから引き離したね。」
ゴブリンジェネラルがゴブリンキングから離れたタイミングで俺とアイリーンがゴブリンキングに向かった。
ゴブリンキングは、俺達を迎え撃つように持っている大剣を振りかざしてくる。巨体のゴブリンキングが大剣を振り回してくるのだ。かなりの迫力がある。
『グモォォォ!!』
アイリーンが盾を構えてゴブリンキングの大剣を受け流そうするが、上手く受け流せない。大剣を受ける度に身体が左右に振られる。しかし、それでもアイリーンは盾を離さない。
『くぅぅぅ、こっのぉぉ~、馬鹿力がぁぁ~!!』
そして俺はアイリーンが右に振られれば左から、左に振られれば右からゴブリンキングを斬りつけていく。ゴブリンキングは斬りつけられる度に俺を睨み付け、俺に向かって大剣を振りかざしてくるが、それをアイリーンが悉く盾で止める。
『ご主人様、早く何とかして下さい!!』
そうは言われても、ゴブリンキングはさすがに丈夫すぎる。神刀ミロでチマチマ斬りつけても効果が薄い。なら魔法はどうだ?
「ファイヤアローを撃つから、アイリーンは一旦下がってくれ!」
『そんな簡単には下がれるわけ無いでしょ?』
「そこは頑張ってくれ!」
『もう、勝手なことばっかり!』
文句を言いながらも、なんとかアイリーンが下がった瞬間にファイヤアロー11本をゴブリンキング目掛けて放った。至近距離であるため11本のファイヤアローが全弾命中した。何本かのファイヤアローはゴブリンキングの胸に突き刺さった。
『グ、グモォォ』
効いているようだ。なのでファイヤアロー11本を2回目、3回目、4回目、5回目と撃つと、ゴブリンキングはヨロヨロになっている。
『ご主人様、今です! 止めを刺して下さい!』
「簡単に言うなよ!」
『さっきのお返しです。』
俺は神刀ミロを両手に持ち、ゴブリンキングに飛びかかり首を斬り飛ばした。すると仕事をしているのかどうか分からない冒険者達が
『マジかよ? たった2人でゴブリンキングを倒しやがった・・・』
『あいつ、何であんなに魔法が連発出来るんだよ・・・』
『て言うか、あの子魔法使いなの? 剣士なの?』
『あっちの娘達も、1人でゴブリンジェネラルを相手してるし・・・』
もういいから自分達の仕事をしてくれよ。と思った瞬間、俺は膝が崩れた。ヤバい、これは魔力枯渇の一歩手前だ。膝から崩れ落ちそうになった瞬間、アイリーンが俺の肩を支えてくれた。
『ご主人様は少し休んでいて下さい。マリーナ達の援護は私だけで十分ですので。』
アイリーンの言葉にマリーナ達のほうを見ると、まだ決着はついていない。押してはいるんだが。
「ごめん、アイリーンにまかせても良いかな?」
『ふふふ、まかせて下さい、では行って来ますね。』
アイリーンはニッコリ笑って、マリーナ達の援護に向かった。ふぅ、と一息つくと目の前にスクリーンが現れた。
【スキル全体化】スキルを取得しますか?
[はい] [いいえ]
このスキルが欲しいがためにゴブリンキングを倒したのだ。当然、[はい]を選択する。すると
【スキル全体化】を、どのスキルに適用しますか?
と表示され、俺の持っている全てのスキルも表示された。なるほど、こう来るか。
「う~ん、どれでもいいのかな? なら、これだ!」
自信満々に【スキル強奪】を選択したら、頭の中に
『ブ、ブゥー。そのスキルは全体化出来ません。』
とのアナウンスが。
「おい! 選べないなら一覧に表示しないでくれよ。なら、回復はどうだろ?」
回復スキルを選択すると、【回復Lv21】が、【回復(全)Lv21】に変化した。
「これでパーティー全体に回復が掛けられるのかな? だとすると大きいんだけどな。」
続いて、次のスキル選択が表示された。
【豪腕】スキルを取得しますか?
[はい] [いいえ]
もちろん、[はい]を選択すると、
『ブ、ブゥー。そのスキルは既に取得済みです。』
と、またもやムカつくアナウンスが頭の中に流れた。そして次のメッセージが表示された。
【豪腕】スキルをパーティーメンバーに譲渡しますか?
[はい] [いいえ]
「おぉ、スキルをメンバーに渡せるのか?」
当然、[はい]を選択する。すると、譲渡先のパーティーメンバー名が表示された。
「ここはとりあえず、アイリーンかな。」
アイリーンは選択した。そして、アイリーンのステータスを確認してみると、しっかりとスキルがセットされている。
俺がアイリーン達の戦いをそっちのけでスキルの取得をしているうちにアイリーン達もゴブリンジェネラルを倒したようだった。
『旦那様、何とか倒して来ました・・・』
『主様、さすがに疲れました・・・』
3人を見ると、さすがに全員が少し怪我をしている。なので試しに回復(全)を使ってみる。
『え? これは?』
『皆、回復してる?』
『凄いです!』
全員、一気に回復した。スキル全体化の話をしたら全員が
『『凄いですね。便利になりましたね。』』
と話していると、再びスクリーンが表示された。表示内容を見ると
【豪腕】スキルを取得しますか?
[はい] [いいえ]
あれ? これって前回と同様のパーティー効果なのかな? おそらくゴブリンジェネラルが持っていた豪腕スキルが表示された。ゴブリンジェネラルは俺が倒したわけではないが、とりあえず、[はい]を選択すると、また嫌なアナウンスが流れ、スキル譲渡が出来るようになった。
「この、『ブ、ブゥー』のアナウンスだけが余分だな。いちいち頭に来るな。」
スキルの譲渡が出来るようになったので、マリーナに譲渡すると、予想通り続いてスキル取得のメッセージが表示された。
【豪腕】スキルを取得しますか?
[はい] [いいえ]
が表示された。次はレジーナに譲渡した。これで全員が豪腕スキル持ちになった。
『そういえば、途中から急に筋力が上がったような感じがしましたが、何かご存知ですか、ご主人様?』
「えっと、豪腕スキルが身に付いたからじゃない?」
『は? 何を言っているんですか? ご主人様?』




