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0307:ダルハイムに帰還


飛竜の谷から戻ってきた夜、通信用の水晶玉を使ってエドワード公爵に連絡した。


アイリーン達は俺の後ろで購入した果物を食べている。


『おう、レイか。どうしたんだ? お前のほうから連絡してくるなんて。依頼で何か問題でも発生したのか?』


「………依頼自体は特に問題は発生していないのですが。」


そういえば依頼としてサビラに来ていたことを忘れてかけていたよ。危うく、何のこと? と聞くところだった・・・


「サビラの様子を見るついでにこちらのギルドで依頼を受けたんですが・・・」


飛竜の谷でワイバーン討伐の依頼を受けて、そこで魔族に遭遇したことを報告した。


『な、ま、魔族と遭遇しただと? それで、その魔族はどうしたんだ?』


ズルイーガーという魔族を生け捕りにしたが、もう1人の魔族に殺されてしまったこと、そしてズルイーガーが言っていた魔王があと1年くらいで復活すると言っていたことを伝えた。


『………レイよ、その話は他言していないだろうな?』


「はい、もちろんです。まずは公爵に話をしてからだと思ったので。」


『そうか、ありがとう。レイよ、この話は今後も他言無用で頼むぞ。魔族も件は儂のほうから国王に進言しておく。』


「分かりました。ところで魔族の死体はどうしましょうか? 俺としてはいつまでも持っているのは嫌なんで用がないなら処分したいんですが?」


『そうだのう・・・レイよ、一度ダルハイムに戻ってくる予定はあるか? それならこちらで引き取ることが出来るが?』


実は魔族に備えて訓練をしようと考えていた。そのついでにランクアップ試験も検討していたが。まぁ一度ダルハイムに戻るのもありだな。


「分かりました。では一度ダルハイムに戻りますのでその時に魔族は死体を引き渡します。」


『うむ、では引き続き頼むぞ。』


ここで公爵との通信が終了した。俺も果物を食べようと後ろを振り返ると果物は欠片も無くなっていた。


「ちょっと、これは酷いんじゃないの? ちょっとくらいは残しておいてくれても良かったのに・・・」


皆して笑って誤魔化している。困ったもんだ。


『ご主人様、そんなことよりも今後はどうするんですか?』


そんなことって・・・まぁいいか。


「とりあえずダルハイムへ戻ろうと思う。そこで魔族の死体を公爵に引き渡す予定だね。その後のことは未定だよ。」


『旦那様、どうします? 普通に帰るか、ゲートで帰りますか?』


「え? 普通に帰るつもりだけど?」


魔力が枯渇するのは勘弁して欲しい。誰か代わってくれるならゲートを譲渡するんだけどね。


『じゃあ、明日ギルドに行ったらそのままダルハイムに戻るということで良いですかね、レイさん。』


「そうだね。皆、とりあえずはそのつもりでいてね。」


『『は~い、了解しました。』』


………

………


翌日、ギルドに向かった。ギルドに到着すると受付嬢がニッコリしていた。


『おはようございます、レイさん。査定は完了していますよ。』


受付嬢がカウンターに布袋を置いた。中身を確認すると白金貨が5枚、大金貨が3枚、金貨が8枚入っていた。


「結構な額になったね。」


『そりゃあ、ワイバーンを35匹も倒せば、これくらいにはなりますよ。』


布袋を受け取ると少し受付嬢と会話した。そしてダルハイムに戻ることを告げた。


『そうですか・・・ちょっと残念ですけど仕方が無いですよね。また是非サビラハンに遊びに来て下さいね。』


受付嬢と握手するとギルドをあとにした。


「じゃあ、とりあえずはサビライまで戻るとしようか。」


砂上船乗り場に向かいサビライに向かって出発することにした。


今回は早すぎるとかで心配する必要が無い。砂上船とは思えないスピードで進んでいる。


「この分なら1日もあればサビライの町に到着するかな。」


………

………


無事にサビライの町に到着し砂上船はアイテムボックスにしまった。ここから久しぶりに馬車の旅となる。


「やっぱり旅は馬車のほうがいいね。」


御者席にはアイリーンがいて膝枕をしてくれている。


『ご主人様は膝枕があれば何でもいいんじゃないですか?』


まぁ、それに関しては間違いでは無いけどね。そして旧アレスト王国の町を通過していった。


一応、それぞれの町に入ってみたが少しずつ日常生活に戻ってきている感じがする。もちろん完全に元に戻るためにはもう少し時間が掛かるだろうが。


街道の往来も多少は見られる。なので逆に馬車を飛ばすことが出来ない。


「これならゲートを使うか・・・」


『え、ご主人様。本当にゲートを使うんですか?』


出来れば急いでダルハイムに戻り、公爵と会って今後の対応方針を確認したい。魔王が本当に1年後に復活するなら対策を考えておきたい。


これは間違いなく今後のイチャイチャライフを左右する問題のはずだ。


念のためマジックポーションの数を確認して馬車を街道から少し離れたところで停止させた。馬車をアイテムボックスの中にしまい、ゲートを使うことにした。


………

………


「おえぇぇ・・・やっぱり気持ち悪い・・・」


素早くアイテムボックスからマジックポーションを取り出して飲み干した。


アイリーンに膝枕をしてもらい、アイリーンのお尻に抱きついた。これで気持ち悪いのが回復していく。


『ちょっ、ちょっと、ご主人様・・・』


アイリーンが何か言おうとしているが無視だ。


『う~ん、他の人には見せられない姿だよねぇ・・・』

『そうですね、ちょっと恥ずかしいよね。』


何とでも言ってくれ。これで回復するんだから問題は無いはずだ。


30分くらいアイリーンのお尻に抱きついていたが、ようやく回復した。最後にアイリーンのお尻を一揉みして立ち上がった。


「ありがとう、アイリーンのおかげで良くなったよ。」


『いえ、どういたしまして。でも最後の一揉みは余分ですよね?』


あ、あれ? バレてたのか?


「い、いや、そんなことは無いよ・・・」


そう、あれは大事な一揉みのはずだ。そう思うことにする。とりあえずアイテムボックスから馬車を取り出してダルハイムに向かった。


ダルハイムに到着して城内に入った。ダルハイムの中は日常の雰囲気だ。早速、公爵の屋敷に向かった。


『あ、レイさん。ちょっと待ってて下さい。すぐに案内係を呼びますので。』


門番はそう言うとすぐに案内係を呼びに行ってしまった。俺はまだ何も言っていないのに。最近は公爵と会うのが簡単になったな。


門番は案内係を連れてすぐに戻ってきた。


『では、こちらの者が案内をしますので。』


案内係はお辞儀をすると屋敷の中に入って行った。その案内係の後ろに付いて行く。


公爵の部屋に到着した。案内係が扉をノックすると公爵の声が聞こえた。


『入って良いぞ。』


公爵の部屋に入ると相変わらず書類の山に埋もれているな。


『おぉ、レイよ。待っていたぞ。随分と早い帰還だったな。まぁいい、そこに座って待っててくれ。』


今回は俺達全員が座れるだけのソファが用意されていた。なので俺は公爵の対面になるソファを座り、アイリーン達は俺の後ろにあるソファに座った。


公爵が事務机から立ち上がり、俺の対面にあるソファに座った。


『レイよ、今回は本当にご苦労だったな。感謝するぞ。ところで、早速だが魔族の死体を見せてもらっても良いか?』


「ここで出しても大丈夫ですか?」


公爵が問題無いと頷いているのでズルイーガーの死体をアイテムボックスから取り出した。首と胴体が切り離されているが。


『………う~む、確かに魔族のようだな。とは言っても儂も魔族を見るのは初めてなんだがな。この魔族の死体は儂が預かっても良いか?』


「それは問題無いですが、魔族の死体なんかどうするんですか?」


俺としてはアイテムボックスの中にいつまでも死体を入れておきたくないから問題無いが。


『あぁ、王都の研究所に送り届けて確認してもらうんだよ。別にレイのことを疑っている訳じゃないぞ。研究所から御墨付きをもらうと信憑性が確実になるだけだ。』


まぁ魔族を見たことがある人が少ないなら確かに権威があるところで証明してもらったほうが確実だな。


『それとだ、魔王のことなんだがな・・・』

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