0302:砂漠は討伐依頼
とりあえず、理由は分からないが受付嬢に怒られてしまった・・・
でも、砂賊達全員と砂賊達の砂上船はギルドで買い取りをしてくれることになった。しかし、すぐには査定が出来ないので査定が完了するまで2日間くれと言われた。
問題ないので了承し、ギルドを出た。
「今日はさすがに眠いから砂上船に戻って寝るとしようか?」
『そうですね、旦那様。砂賊共の匂いが身体に着いてしまったような気がするのですぐにお風呂に入りたいですよ、旦那様。』
マリーナは中々辛口だよな。でも俺も風呂に入りたいな。砂賊のリーダーの首を斬り落とした時にほんの少しだけ返り血を浴びてしまったので洗い流したい。
誰も反対しないので、とりあえず砂上船に戻ることになった。砂上船に戻ると早速風呂に入った。
身体を石鹸でしっかりと洗ってもらった。そして浴槽の縁に頭を乗せて天井を見上げているとアイリーン達が次々とキスをしてきた。
これって早く元気を出せってことだよな。こういったちょっとした気遣いが嬉しいよな。
今日はイチャイチャタイム無しでぐっすりと眠った。
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翌日、査定はまだ終わってないはずだが、ギルドに行ってみた。
『………あら、査定完了は明日の予定だったはずだけど?』
受付嬢から棘がある言葉が・・・
「あ、別に催促しに来た訳じゃないですよ。ただ、やることが無いから依頼があれば受けようかと思ってね。」
『あら、そうなの? なら色々と依頼があるから見ていって頂戴。』
とりあえず依頼ボードに張り出されている依頼書を見てみた。確かに色んな依頼があるな。だけど、護衛の依頼が多いな。やっぱり砂賊が多いからかな。
とりあえず護衛の依頼は無視して討伐系の依頼書を探してみた。
・ドゥードルバグの討伐
・サンドワームの討伐
・デザートリカオンの討伐
護衛依頼と比べると討伐依頼は3つしか無かった。砂漠だからモンスターの数が少ないのかも知れないな。
「それにしても、ドゥードルバグってどんなモンスターなんだろ?」
『あぁ、それね。砂漠の中で罠を作る大きな虫型モンスターよ。』
「うぇ・・・ビックリしたぁ、後ろから急に声を掛けないで下さいよ・・・」
受付嬢が急に後ろから声を掛けてきたため変な声を出してしまった。
『あぁ、ごめんなさいね。それよりもドゥードルバグの討伐依頼を受けてくれるのかしら?』
「そう言えば、今、罠を作るモンスターって言いましたよね? それってどんな罠をつくるんですか?」
受付嬢が説明してくれた罠の内容からするとドゥードルバグはどうやらウスバカゲロウの幼虫のようなモンスターだと思われる。いわゆる蟻地獄みたいなものだ。
『そのドゥードルバグが最近多く発生していて被害が増えてきて困っているのよ。なのでドゥードルバグを退治してもらえると非常に助かるわ。』
受付嬢がチラチラとこちらを見てくる。明らかに依頼を受けてくれるよね? という感じだ。まぁサビラ国の印象を良くするつもりもあるので受けるつもりではあるが・・・
「分かりました。じゃあ、その依頼を受けますね。」
『本当ですか? 良かったわぁ。中々受けてくれる冒険者がいなくて困っていたのよ。本当、ありがとう。』
受付嬢が俺の両手を掴んで自分の胸に押し付けてきた。この受付嬢も中々のボリュームだ。
そして、背中が痛いな・・・アイリーン達が俺の背中をつねっている・・・
『あら、私ったらごめんなさいね。つい嬉しくなってしまったわ・・・』
俺がアイリーン達につねられている把握した受付嬢が俺の両手を離した。それと同時に両手にあった柔らかい感触と背中の痛みが消えた。良かったような、残念なような・・・
受付嬢がカウンターに行き、地図を持ってきた。
『ドゥードルバグが多く見つかっている場所はこの辺なのよ。地図は貸せないからしっかりと覚えて頂戴ね。砂上船で移動するなら半日くらいの距離よ。』
「分かりました。じゃあ、早速行ってきますね。」
受付嬢に手を振ってギルドを出た。砂上船乗り場に向かう途中で皆から小言を言われた。
『まったく、女性に甘過ぎます。』
『まぁ、スケベですからねぇ。』
『もう少ししっかりとして下さいね。』
「………はい、すみません。」
これは間違っても受付嬢の胸の感触が気持ち良かったなんて言えないな。下手したら半殺しにされるかも知れないな・・・
砂上船乗り場に到着すると、すぐに出発した。普通の砂上船で半日でも俺達の砂上船なら2~3時間で到着出来るだろう。
………
………
2時間くらい進むと気配探知のスクリーンに赤い点が複数あるのが確認できた。
「あれがドゥードルバグかな?」
『受付嬢から聞いていた場所とほぼ同じなのでドゥードルバグだと思いますよ、レイさん。』
「もう少し近付いたら砂上船から降りて歩きで行くからね。」
残り500mくらいのところで砂上船から降りた。砂上船をアイテムボックスにしまい徒歩で進んだ。
「これは凄いな・・・」
すると直径10mの蟻地獄の巣があちらこちらにある。巣は中心が3~4mほどの深さのすり鉢状になっている。
もし間違って、ここを通過しようとしたら間違い無く蟻地獄に嵌まってしまうだろうな。それくらい蟻地獄の巣が大量にあった。
「さてと、ここにいるドゥードルバグをどうやって退治しようか?」
先ほどから鑑定しようにも姿が見えないため鑑定も出来ない。
『レイちゃん、魔法を撃ち込んでみる? ひょっとしたら魔法の衝撃で姿を現すかも知れないしね。』
確かに試してみる価値はあるかな。他に良い方法も思い付かないしね。
「ジャンヌ、悪いけどサンダーレイを試してみてくれる?」
『………分かりました。それでは撃ちますね。』
ジャンヌが蟻地獄の中心に向かってサンダーレイを放った。サンダーレイが着弾すると砂煙が立ち上った。
その砂煙の中からクワガタのような角を持ち、体は蜘蛛のようなモンスターが出てきた。体長はおよそ3mほどの大きさだ。
〈鑑定〉
ドゥードルバグ
スキル:隠密
「あれがドゥードルバグか。スキルは隠密だけだね。というか砂の中に潜るの隠密なのか?」
ドゥードルバグが巣から出てくると地面は砂なのだが意外に素早く巣から登ってきた。
ドゥードルバグはクワガタのような角で俺達を挟み込もうとしてきた。素早くしゃがみこむことで角を避けた。
「さすがにあれに挟まれると痛そうだよね。」
ドゥードルバグの角はノコギリのような刃が付いていた。おそらく挟み込んだ獲物が逃げられないようにするためだろう。
『レイくん、あれは痛いじゃ済まないレベルだと思うよ・・・』
まぁそうかも知れないな。
「アイリーンとエリーの2人であの角を止められる?」
『なるほど。ご主人様、大丈夫です。』
『あ、そういうことね。レイくん、分かったよ。』
2人とも俺の考えていることが分かってくれたようだ。俺がドゥードルバグを誘き寄せた。
ドゥードルバグは再度を俺を角で挟み込もうとしてきた。その時、アイリーンとエリーが俺の横に並び大盾を角に向けた。
ガギィィィ
アイリーンとエリーの大盾がドゥードルバグの角を受け止めた。
角で防御されていたドゥードルバグの頭部が隙だらけになり神刀で一突きした。頭部が貫かれたドゥードルバグは倒れた。
「この方法ならドゥードルバグを比較的楽に倒せそうだね。問題は盾使いがうちには4人しかいないことか。」
『え、旦那、ひょっとしたら私も頭数に入っていますか?』
「え? 当然だよね。だって盾を持っているじゃないか。」
マリーナのミドルシールドも立派な盾だ。前のバックラーとかなら頭数には入れなかったけどね。
「大丈夫だよ。怪我したらすぐに治してあげるからさ。」
『えぇ、そんなぁ。相変わらず酷いですね。旦那様は。』
『マリーナ、大丈夫ですよ。マリーナなら余裕ですよ。』
アイリーンがマリーナを励ましている。でもアイリーンでも駄目かな・・・
『う~ん、そうね。アイリーンがそう言うなら大丈夫な気がするね。』
え? なんでだ? 俺では駄目なくせに何でアイリーンがいいんだ?
………きっと、アイリーンの言うことを断ると後で怖い目に逢うんだろう・・・そう思うことにするとしよう。
『ご主人様、違いますからね?』
「え、俺の考えていることが分かるの?」
『もちろんですよ。ご主人様はもの凄く単純ですからね。』
皆がウンウンと頷いている・・・俺ってもの凄く単純なのか・・・
ちょっと落ち込んでいる俺をよそに皆が次々とドゥードルバグを討伐していった。
コツを掴むと簡単に討伐出来るようだ。
『旦那様みたいに単純だよね。』
俺ってドゥードルバグ並みなのか・・・




