0003:転生しました
目の前が光輝いて何も見えなくなった。暫くすると目が開けられるようなったところで周囲を確認すると今までは違う景色だ。
「おぉぉぉぉ? こ、これって! や、やった~! 本当に異世界に来たんだ~!」
どうやら本当に転生出来たようだ。
あまりにも嬉しすぎて大声で叫んでしまった。地べたにゴロゴロして喜んでもおかしくないくらい嬉しいが、さすがに地べたをゴロゴロするのだけは止めた。
もし他人に見られた間違いなく頭がおかしい人だと思われる。それに服も汚れるしね。替えの服も無いし。
「あ、そうだ! そういえば女神様から武器を貰ったよな。確かアイテムボックスの中に入っているって言っていたな。」
何が出てくるか分からないし素手のままでは危ないよな。下手したら速攻で女神様と再開になってしまうよな。
頭の中でアイテムボックスと唱えると目の前に黒い空間が現れた。そして同時にスクリーンも目の前に表示された。
表示されたスクリーンには【武器】という表示が1件だけある。それに意識を合わせると武器が地面に現れた。
「おぉ、すげぇ。え~と、アイテムボックスに物を入れるには・・・おぉ、スポッと入るんだな。」
何度かアイテムボックスから取り出す、入れるを繰り返しているうちにアイテムボックスの使い方を理解した。というか非常に簡単だった。
「あ、そうだ、忘れてた・・・女神様から貰った武器を確認しないと。本当に速攻で再開となったら女神様に起こられる・・・よな。」
まるで刀みたいな武器を手に取り、武器を見つめて頭の中で「鑑定」と唱えてみる。
〈鑑定〉
神刀ミロ
筋力+50
体力+50
魔力+50
器用+50
目の前にスクリーンが表示され武器の名前が表示された。ちゃんと鑑定が出来たようだ。
「え、何コレ? この+50って。プラスってことはステータスに足されるんだよね? ひょっとしたら、これだけで結構なチートじゃないのかな。女神様、ガチャの神様、ありがとうございました。」
空に向かって女神様にお礼を言った。女神様にお礼が届いていると信じて何度も空に向かってお礼を言った。他人から見たらこれも怪しげな行動かも知れないが。
………多分、空で良いんだよね?
さて、周りを見渡すとひたすら草原だ。
「何も無い・・・な・・・これって大丈夫なのか?」
あちこちに木が立っているがそれ以外は何も無いな。普通は町の近くとかに転生させるもんじゃないの? もしかしてモンスターに殺されるんじゃなくて餓死したりするんじゃないのか?
「う~ん、とりあえず町に向かいたんだけど、どっちに行けばいいんだろうな?」
よく見ると遠くに森が見える。仕方がないのでとりあえず森を目指すことにした。まずは水を確保したいし森に行くしかない。
きっと森には川があると信じよう。
神刀ミロを装備(手で持っているだけ)しているためかステータスがかなり底上げされている。そのためか歩いていても全然疲れない。入院時代では考えられないことだ。
暇潰しに歩きながらあちこちを鑑定してみると大半が雑草ではあるが、いくつか薬草が見つかった。
〈鑑定〉
薬草
ポーションの原料
やはり鑑定は便利だね。この世界の常識が無いから非常に助かる。
「薬草って雑草みたいに生えているんだな。一応、採取しておくか。きっと冒険者ギルドみたいなものがあって薬草採取の依頼とかあるんだろうしね・・・冒険者ギルドあるよね?」
もしもギルドが無かったらどうやって生活をすれば良いんだろう?
そう考えると、薬草はいざとなった時の食糧になるよな、多分だけど。とりあえず薬草を採取しながら森に向かって進んで行くと草むらから体がはみ出している白い物体がいる。
〈鑑定〉
ラージラビット
スキル:回復
「あれってウサギだよな? ラビットという名前だし。しかしデカいな。あとウサギのくせにスキルを持っているのか。」
ウサギの可愛らしさは微塵も無い。大きさって大事な要素であることが分かった。
ラージラビットの強さは不明だが、この世界で生きていくためにはコイツらを倒していかないといけない。生き物を殺すのは嫌だ、なんて言っていられない。
そして強奪スキルだ。スキルの名前から想像するに倒した相手のスキルを奪うスキルのはずだ。であるならこの世界で生きていくには大きな力になるはず。そのつもりで選択したわけだし。
「やるしかないな。強奪スキルの効果も確認したいしな。」
そっと、ラージラビットの背後に忍び寄って一気に神刀ミロを振り下ろすと手応えはあった。間違いなくラージラビットの背中を切りつけた。しかし倒しきれなかったようだ。そしてラージラビットはこちらを向き、突進してきた。
「ぐっ、痛って~、痛すぎだ・・・」
ラージラビットの素早い突進を回避することが出来ずにまともに腹で受けてしまった。これはかなり痛い。腹がズキズキする・・・きっと痣が出来たかも知れないな。
「こんなの何発も喰らってられないな・・・」
ラージラビットと対峙していると、ラージラビットの背中の傷が直っていくのが見える。
「あれが回復スキルか。待っていると回復されちゃうな。なら、こっちから攻撃を仕掛けるしか無いな!」
腹の痛みを堪えて、こちらから突進するとラージラビットもこちらに合わせるかのように突進してくる。ラージラビットが俺に向かって飛び掛かって来た瞬間に神刀ミロを突き立てるとラージラビットに突き刺さった。
「あぶな~。ラッキーだったな。しかし、さすが異世界だな。最初っからこれかぁ。普通、最初はスライムとかじゃないのかな?」
ラージラビットを倒して一息付いていると、突然目の前にスクリーンが現れた。
【回復】スキルを取得しますか?
[はい] [いいえ]
これが強奪スキルの効果か。予想通り倒した敵が持っていたスキルを取得出来るようだ。しかも選択権があるのがいいな。余計なスキルは取得しないで済みそうだ。
今回は当然、[はい]を選択した。すると、頭の中に
【回復】スキルを取得しました
のアナウンスが流れた。
「これでスキルを取得したのかな? ちゃんと確認しておかないとな。よし、ステータス。」
ステータスの確認を行う。
名前:相原 零士
種族:ハイヒューマン
年齢:15
筋力:21(+50)
体力:19(+50)
魔力:50(+50)
器用:14(+50)
スキル:
【鑑定】【アイテムボックス】【言語解析】【魔法全般】【スキル強奪】【回復Lv1】
「おぉ、よっしゃ~! スキルが増えた~! お? ステータスも上がってる。まるでRPGみたいだな。しかもスキル強奪は間違いなくチートスキルだ。あの時の俺を褒めてやりたいな。」
早速、取得した回復を使ってみるとラージラビットの突進を受けた腹の傷みが引いていく。同時に痣も消えていく。
「おぉ、すげぇな。ちゃんと回復したよ。しかし、なんで回復だけLv1なんだろ?」
とりあえず、ラージラビットの死体をアイテムボックスにしまった。最悪ラージラビットを食べるしか無いな。
でも、ちゃんと捌けるかな?