0029:ランクDモンスター討伐
翌朝、俺は不思議な状態になっている。レジーナから後ろから抱き付かれているが正座をさせられている。しかも何故か頬が痛い。
『ご主人様、あなたは本当に魔力枯渇したら気を失っているんですか? 実は意識があるんじゃないですか?』
「………えっと、本当に記憶がございません・・・」
『旦那様。私の股に顔を突っ込んできたのは覚えていなんですか?』
「え? そんなことをしたの、俺? ごめん。でも本当に何も覚えていないんです・・・」
『旦那様、まぁ、今回はレジーナの右目の回復に免じて許しますが。』
そう、レジーナの右目が復活したのだ。回復スキルのレベルが上がったからなのか今回は早かった。そして回復スキルで身体の欠損も治せることがほぼ確実だ。これが分かったことが大きい。
『主様、ありがとうございます。』
レジーナからキスされた。朝からハッスルしそうになったが堪えた。何故ならアイリーンの目が怖かったからだ。
とりあえず食堂に向かった。食堂に行くといつも元気な女将さんがいる。
『おはよう、レイさん。え? あれ? レジーナさん、あんた、右目が治ったのかい?』
『はい、主様に治してもらいました。』
『うんうん、べっぴんさんになったねぇ。良かったじゃないか。』
女将さんはレジーナの顔を右から、左から覗き込んで、うんうんと頷いている。レジーナは若干恥ずかしそうにしながら、女将さんに礼を言った。
『うん、ありがとう。』
『はいよ。朝食だよ。しっかり食べておくれ。冒険者は身体が資本なんだろう? だったら残さないようにしないとね。』
いつものようにマーサが朝食を運んで来て朝食とした。朝食を食べながらアイリーンに確認した。
「コボルトには、ゴブリンメイジみたいな上位種はいないの?」
『そうですね。確かにコボルトのメイジ系は聞いたことが無いですね。』
「なら、しばらくはゴブリンの森のほうに行ってゴブリンメイジ狩りをしたいな。火魔法のスキルレベルを上げておきたいんだ。」
『確かにご主人様の魔法は戦力としては大きいですしね、分かりました。』
『旦那様が行くなら。』
『主様、分かりました。』
とりあえず、ゴブリンの森に行くことに決まった。朝食も終わり食器も片付て宿屋を出た。
いつものようにゴブリンの森に行く途中でラージラビットを狩る。回復スキルのレベルは上げておいても損は無いはず。ラージラビットを5匹狩ったところで、ゴブリンの森に到着した。
「さて、ゴブリンの森の中腹あたりまで進むか。」
アイリーン達は頷いて先に進んでいく。レジーナが凄い勢いでモンスターを探知していく。俺の気配探知スキル以上だ。レジーナにそういったスキルは無いはずなんだが。
レジーナが指示した方向に行くと、不思議と必ずゴブリンメイジが少なくとも1匹はいた。まさかと思い、レジーナに確認してみた。
「レジーナ、ひょっとしたらゴブリンメイジの気配が分かるのか?」
『はい、主様がゴブリンメイジを狩ると言ったので、ゴブリンメイジを探しています。』
「おぉ、凄いなぁ。ありがとう、レジーナ。」
レジーナを褒めると、アイリーンとマリーナから尻をつねられた。
「痛った? え、何すんの? 二人とも・・・」
『別に何でもありません。』
『さぁ、先に進みますよ。』
ゴブリンメイジを中心にゴブリン狩りを進めているとレジーナから
『主様、この先から強いモンスターの気配がします。』
ゆっくりと物音を立てないように慎重に進んでいく。すると身長2mくらいの身体ががっしりしたゴブリンがいた。そのゴブリンの周りにはゴブリンソルジャーとゴブリンメイジが3匹ずついる。
〈鑑定〉
ゴブリンジェネラル
スキル:豪腕、剣術
「ゴブリンジェネラルのようだね。しかもスキルを2つ持っているよ。勝てるかな?」
『ゴブリンジェネラルですか。ランクDモンスターですね。ご主人様と私でジェネラルの相手をして、マリーナとレジーナがソルジャー達の相手をすれば、なんとかなるかと思います。』
「大丈夫かな? とりあえず、マリーナ、レジーナはそれでいい?」
『大丈夫ですよ、旦那様。』
『主様、問題無いです。』
「じゃあ、俺のファイヤアローで先制攻撃をするから。」
俺はファイヤアロー10本を撃った。ファイヤアローを撃った瞬間にマリーナとレジーナが突撃した。ファイヤアロー10本はソルジャー1匹、メイジ2匹に命中した。
俺とアイリーンもマリーナ達から少し遅れて突撃する。突然の先制攻撃に狼狽えるゴブリン達の隙間を通り抜けて、俺とアイリーンはジェネラルの前に到着した。
狼狽えていても目の前に現れたアイリーンに長剣で襲い掛かってくる。さすがランクDモンスターだ。
アイリーンは盾でジェネラルの剣を受け止めるが、受け流せていない。そのため、アイリーンが少し後退りした。
『くっ、さすがに剣が重い。』
アイリーンがジェネラルの剣を受け止めている隙に神刀ミロでジェネラルを斬りつけていく。
『グギャャ、グモォォ。』
斬りつけられているジェネラルは俺を睨み付けて剣を向けてくるが
『させない!』
アイリーンが盾でブロックする。アイリーンがジェネラルの剣を受け止める度に俺は神刀ミロでジェネラルを斬りつけていく。
何度か繰り返すとジェネラルの動きが止まった。最後は俺がジェネラルの首を斬り飛ばした。マリーナ達は既にソルジャーとメイジを倒していた。
【豪腕】スキルを取得しますか?
[はい] [いいえ]
当然、[はい]を選択し、残りのスキルも取得した。あとスキルを2つ持っているモンスターを倒すと根こそぎスキルを強奪出来るようだ。
スキルの取得が完了し、ステータスを確認した。
名前:レイ
種族:ハイヒューマン
年齢:15
筋力:35(+70)
体力:31(+51)
魔力:59(+50)
器用:24(+50)
スキル:
【鑑定】【アイテムボックス】【言語解析】【魔法全般】【スキル強奪】【回復Lv21】
【剣術Lv19】【短刀術Lv15】【回避Lv7】
【火魔法Lv11】【気配探知Lv2】【豪腕】
名前:アイリーン (主人レイ)
種族:ハーフエルフ
年齢:42
筋力:37(+2)
体力:35(+1)
魔力:39
器用:29
スキル:
【大盾術Lv9】【剣術Lv7】
名前:マリーナ (主人レイ)
種族:ハーフドワーフ
年齢:24
筋力:31(+1)
体力:29(+2)
魔力:15
器用:32
スキル:
【盾術Lv3】【槍術Lv4】
名前:レジーナ (主人レイ)
種族:狼人属
年齢:21
筋力:27(+2)
体力:25(+1)
魔力:14
器用:35
スキル:
【剣術Lv4】【回避Lv4】
「おぉ、豪腕って凄いな。筋力が20も上がったよ。でも、豪腕にはレベルが無いようだね。これはちょっと残念だな。あれ? アイリーン達のスキルもレベルが上がっているね?」
『ご主人様、スキルは1度取得出来てしまえば戦闘を繰り返すうちにレベルアップするものと言われています。ただ、スキルを取得するまでが大変なんですけどね。』
『そんなことよりも、旦那様。筋力が20も上がったんですか? それって何か狡いですね。』
「狡いって言わないでよ。そういうスキルなんだからさ。」
『まぁ、主様が強くなってモンスターをたくさん倒してくれれば、私達のスキルレベルも上がるし。』
「確かにアイリーンの大盾術もマリーナの盾術のスキルが上がっているからな。確かにそうなのかもしれないね。」
『まぁ、そうよね。じゃあ、旦那様、これからも頑張って下さいね。』
3人は満面の笑みを見せる。
「………はい。頑張ります。」
上手く操られている気がするな。しかし、スキルに関してはまだまだ謎が多いな。




