表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

289/319

0289:都市制圧戦その2

0289:都市制圧戦その2


『ご主人様、気を付けてください。あれは明らかに元冒険者だと思われます。』


後続部隊の死体達の中央に立っているゾンビ達の装備は明らかに冒険者の装備だ。しかも低ランク冒険者の物とは思えない。


ゾンビ冒険者は全部で8体いる。装備品から戦士タイプが5体、魔法使いタイプが2体、もう1体はタンクタイプだ。しかも死体として新鮮な感じがする。


『主様、こいつら、まだ腐っていない。』


やはりか。


タンクタイプが前に出てきた。そのタンクタイプの左右を4体の戦士タイプが固めている。そして残った1体の戦士タイプは魔法使いタイプの護衛に付いている。


「こいつら、ひょっとしたら元々パーティーだったのかな。」


そう思えるくらい見事な陣形を組んでいる。


こちらはアイリーン、マリーナ、エリー、シシリアが1列に並んでおり、その後ろにレジーナ、ジャンヌ、メリッサ、イザベラ、エメリアが控えている。


こちらも陣形を組むとゾンビ冒険者達が突撃してきた。


「全員、念のために魔法シールドを展開。」


お互いの前衛同士がぶつかり合った。実際にはゾンビ冒険者達の前衛とアイリーン達の魔法シールドがだ。


ゾンビ戦士達が叩き付けてきた剣が魔法シールドに止められ、その隙にレジーナ達が攻撃を加えていた。


ゾンビ魔法使いが魔法を発動させていようとしているが、それに対してはサーラ、カレン、クレア、ミラージュの弓矢で妨害した。


だが、さすがはゾンビだ。痛みを感じないのか痛みに鈍感なのか怯むことが無い。ダメージを受けても動きは鈍らない。


「冒険者ゾンビって少し厄介だね。」


『お屋敷様、そういえばアンデッド系モンスターには回復スキルが効果的って聞いたことがあります。』


あ、それは俺は読んだことがあるな、漫画だけど。一応試してみるか。


回復スキル(全)を発動させた。


『があぁぁぁ!』

『ぐおぉぉぉ!』

『いやぁぁぁ!』


おぉ、かなり効果があるようだ。これを見た皆が回復スキルを使い始めた。ゾンビ冒険者達が後退りしている。


「さすがに回復スキルだけでは倒せないか。皆、ちょっとだけ回復スキルをかけておいて。」


そう言うと神刀を片手にゾンビ冒険者達を突っ込んだ。そして回復スキルで満足に動けないでいるゾンビ冒険者達の首を斬り飛ばしていった。


エメリアがゾンビ冒険者達の装備品をチェックしていた。


『レイ殿。彼らは、悠久の炎という名のランクAパーティーですよ。彼らは装備品の一部に炎のマークを入れていることでも有名でした。』


ランクAパーティーでもこんな目に遭うのか。本当にアレストで何が起きたんだろう・・・


「ひょっとしたら、他にも高ランク冒険者がゾンビ化していないのかな?」


『レイさん、あそこに冒険者ギルドがありますよ。』


世界共通の冒険者ギルドの看板が見えた。入口の作りも共通だ。ギルドの中に入ろうとした瞬間、ギルドの中からゾンビ冒険者がまた出てきた。


『があぁぁぁ!』

『ぐおぉぉぉ!』


今後は2体の戦士タイプのゾンビ冒険者だ。ただし戦い方がもう分かっている。回復スキルを発動させるゾンビ冒険者は痺れたように身体の動きが鈍くなった。そこをレジーナとイザベラが首を斬り落とした。


「やっぱり、まだいたか・・・注意して中に入るよ。」


ゆっくりとギルドの中を覗き込んだ。ギルドの中はし~んとしている。受付カウンターが邪魔で奥の様子が分からない。受付カウンター横の酒場も同じだ。


「仕方が無いな。ゆっくりと近付いてみるしかないか。」


アイリーン、レジーナ、エリー、ジャンヌ、イザベラは酒場のほうを、残りのメンバーは受付カウンターのほうを確認することにした。


ゆっくりと近付いていく。



『あぁぁぁぁ!』

『ぐおぉぉぉ!』


『があぁぁぁ!』

『いぃぃぃぃ!』


受付カウンター、酒場の奥からゾンビが出てきた。見た目から受付嬢と酒場の店員だろう。


急に出てきたのでビクッとしてしまったが、これは言わないでおこう。この雰囲気はお化け屋敷じゃないかな。


ゾンビが出てくるのを想定していたので、すぐに回復スキルを使って動けなくし、首を斬り落とした。


「あとは2階かぁ・・・」


階段を昇ると2階には全部で6部屋あった。1つずつ部屋の扉を開けて部屋の中を確認していった。確認した結果、ギルドの2階にはゾンビはいなかった。


ギルドの外に出ると後続部隊の後続がやって来た。後続部隊の先発がゾンビ冒険者達に殺されてしまったことを説明した。


『冒険者のゾンビか・・・確かに高ランク冒険者のゾンビは危険だな。分かった、見た目冒険者のゾンビには注意するように伝えてくる。』


そう言うと後続達は先発の死体を回収して一旦引き返した。すると甲高い笛の音が聞こえてきた。


「あれは引き返す合図だったよね?」


『はい、そうですね。私達も一旦引き返しましょうか。レイさん。』?


「そうだね。一応公爵にも報告しないといけないしね。そういえば、アレックス達は大丈夫かな?」


悠久の炎のように連携が取れたゾンビ冒険者が相手だと苦労するかも知れないからね。


『まぁ彼らもランクAクランですからね。大丈夫だと思いますよ、ご主人様。』


とりあえず、城門の外に向かった。すると俺達と同じく都市の中に入ってアンデッド系モンスターの討伐をしていた兵士や冒険者達と合流した。


そうなると当然、城門は混雑になる。


「まぁ、一番最後でもいいよね?」


アイリーン達は問題無しと頷いている。すると突然上空を巨大な影が通過した。


〈鑑定〉

ヒュージバルチャー

スキル:毒耐性


『あれはヒュージバルチャーですね。いわゆる掃除屋ですよ、レイさん。』


サーラの説明では、ゴブリンやゴボルトみたいは肉が不味くて食えないようなモンスターは魔石や討伐証明部位を剥ぎ取りしたら残りは棄てられる。


そういった死体を食べてくれるのがヒュージバルチャーみたいなスカベンジャーモンスターらしい。こういったモンスターは襲われない限り倒さないとのことだ。


それにしてもヒュージバルチャーはデカいな。体長は3mくらいはあるな。


ヒュージバルチャー達に次々とやって来て、倒したゾンビを食べ始めた。食べるというよりも一気に丸飲みしている。


「なんというか、凄いな・・・」


『あんな風にならないように気を付けないとですね、旦那様。』


『ご主人様、もう城門から出られますよ。』


ヒュージバルチャーに気を取られていたな。城門を出ようとした時にアレックス達と会った。


『お、レイ達じゃないか。お前達も無事だったようだな。』


「そっちも無事でなによりだね。」


アレックス、ソリアーノと一緒に公爵の馬車に向かうことにした。


アイリーン達はアレックス達のメンバーと一緒に食事をするとのことだ。


『行ってらっしゃい。頑張ってねぇ。』

『こっちはのんびりとしているから。』

『ほら、アイリーンさん達もあっちに行こうか。』


………行ってしまったな。


『仕方が無いな。公爵様のところに行くか。』

『そうだね、報告しないといけないしね。』


「………あっちが良かったなぁ。」


『『それを言うな・・・』』


公爵の馬車に到着し報告をした。アレックス達の報告にもゾンビ冒険者の話が出てきた。どうやらアレックス達もゾンビ冒険者と戦闘になったようだ。


『………なるほどな。冒険者がゾンビになることを考慮していなかったな。まずはお前達が無事だったのは何よりだったな。』


そして、そのゾンビ冒険者のためにこちら側にも犠牲者が出てしまったことに公爵は厳しい顔をしている。


『………まずは他の貴族達の様子を確認するしか無いな。中々面倒だな・・・』


その後も公爵とアレックス達が少し話をしていた。その間、俺はちょっと考え事をしていた。


『………レイ、なにか心配事でもあるのか?』


俺が黙っていたことに気付いたようだ。


「この都市にゾンビが多い事が気になるなと。王都に原因があるなら、この都市はスケルトンだらけのはずですよね?」


ゾンビになって、それからスケルトンになるのが正しければだけどね。


『ということは、原因は王都ではなくこの都市の近くにある可能性が?』


「はい、あくまでも可能性ですが。」


本当に不明なことだらけだな・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ