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0268:魔法研究塔制圧


無事に3階を制圧したので4階へ向かっている。4階の扉に到着したので気配探知を使ってみた。その結果は1匹だった。


「4階まで来て1匹ということはかなり手強いモンスターだと思って良いのかな。」


『主様、その気配ですが何か変です。』


レジーナがなんだか変な気配がすると言い始めた。レジーナの気配探知能力に関しては疑う余地が無い程の高性能だ。


「レジーナ、変な気配ってどういう事?」


『モンスターの気配じゃないみたい・・・』


どういう事だ? この扉の奥に気配は1匹だけいるのは確実だ。それはレジーナも認めている。ただし、その1匹がモンスターじゃないということは・・・


「………まさか、人なのか?」


レジーナはコクンと頷いた。まさか、マッド化された人がいるのか? この扉の奥に・・・


「もう一度確認するけど、扉の奥にいるのはモンスターじゃなく人なんだよね?」


『はい、主様。確証はありませんが・・・』


レジーナがここまで言うからにはやはり人なのだろう。それって人体実験されたということなのか?


今まで盗賊を殺したこともあるし、戦争で兵士を殺したこともある。しかし・・・


悩んでいるとアイリーンが声を掛けてきた。


『ご主人様、私がやりますので。ご主人様はここで待っていて下さい。』


ふと見るとアイリーン以外のメンバーも心配そうな表情をしている。まったく・・・俺は駄目な主人だな。


「いや、俺達がやるよ。フォローをしっかりとお願いするよ!」


ここは気合いを入れないといけないよね。意を決して力強く扉を開けた。


『ウガァァァァ』


扉の中には1人の男性がいた。肌も目も真っ赤だ。明らかにマッド化している。魔法シールドを展開し素早く鑑定を行った。


〈鑑定〉

マッドヒューマン

スキル:雷魔法、水魔法、魔法融合


「やはり元人間のようだね・・・残念ながら死んでもらうよ!」


『ガァァァァ、ジネェェェ!』


元人間だけあって魔法の発動がスムーズだ。マッド化する前は普通に魔法が使えていたんだろうな。雷魔法と水魔法が融合して雷を纏った水の渦巻きが真っ直ぐ向かってくる。


ヤバい! これはマジでヤバい!


『ご主人様!』

『レイくん!』

『ご主君様!』

『………レイ様!』


ヤバいと思った瞬間、左右からはアイリーンとエリーが、左右斜め後ろからはシシリアとジャンヌが魔法シールドを俺の目の前で重ね合わせた。俺の魔法シールドもあるので全部で5枚の魔法シールドが展開されている。


マッドヒューマンが放った融合魔法が1枚目である俺の魔法シールドを突き抜けた。続けてアイリーン、エリー、シシリアの魔法シールドも次々と突き抜けた。最後の砦はジャンヌの魔法シールドだけだ。


「まさか・・・5枚目も突き抜けるのか?」


マッドヒューマンが放った融合魔法が最後の魔法シールドと衝突した瞬間、融合魔法と魔法シールドが消えた。


『ウガァ?』


マッドヒューマンも驚いたのだろう。表情は分からないが声は明らかに驚いている感じがする。


「今がチャンス!」


俺は一気にマッドヒューマンの懐に飛び込んで首を斬り落とした。


『大丈夫ですか、ご主人様。』


アイリーン達が心配そうな顔をして近寄ってきた。この表情はきっと俺の心を心配しているのだろうな。


「もちろん、大丈夫だよ。」


『………レイちゃん、本当に大丈夫なの?』


ミラージュが俺の顔をペタペタと触ってくる。ちょっとスキンシップが過ぎるんだけど・・・


こうなると当然背中が痛くなる。つねられまくりだ・・・


なんとか、無理やりミラージュを引き離して事が収まった。ちゃんとしているときは綺麗なんだけどな。


『この上が研究室になっているはずよ、レイちゃん。』


階段を昇り、5階の扉に到着した。気配探知を使ってみたが特に気配は無い。とりあえず扉を開けると中に何も無かった。


「………これは、研究をしていた人間は既にどこかに逃げた後ってことになるのかな?」


『残念だけど、そういう事になるわね。』


「そういえば、ミラージュはさっきの人を見たことがある?」


『さっきのって4階の? いえ、無いわね。恐らくはモンスターを研究していたグループの末端か、もしくは誘拐されて改造された人ってことになるわね。』


普通に考えれば誘拐されて無理やり改造されたのが正解なんだろう。とりあえず黒幕を捕まえることは出来なかったが、塔にいたマッド化したモンスター達は倒した。


『それじゃあ一旦戻りましょうか、ねぇレイちゃん。』


「だから、そのレイちゃんって止めて欲しいんだけど・・・」


『え、なんで? いいじゃない、可愛らしくて。』


………

………


とりあえず、屋敷まで戻ってきた。するとミラージュはさっきまでとは打って変わってテキパキと部下達に指示していく。


『ふぅ、疲れたぁ。あ、そうだ。レイちゃん達への報酬なんだけど、作成が完了するまでに4日間掛かるからね。』


「え、4日間も掛かるの?」


『何言ってるのよ、あれだけのマジックアイテムがそう簡単に作れるはずが無いでしょう?』


あぁ、うん、確かにそう言われるとそんな気がしてきたな。


「………分かった。4日間、ここに滞在していれば良いんだよね? しかし4日間も何して過ごそうかな・・・」


『え、何? ひょっとして何もすることが無いの?』


「………う~ん、あ、そうだ! 確かここに古代文字で書かれた本があるよね? それを見せて欲しいんだけど。」


『そんなので良いの? いいわよ。ギルドマスターの権限で閲覧出来るようにしてあげるわ。その代わりに毎日、少しの時間でいいから、ここに来て話し相手になって頂戴。』


ミラージュが何やら御札みたいな物を取り出して俺に手渡してくれた。


『これを見せれば、この屋敷内にある書庫に入れるわよ。』


「よし、早速書庫に行ってくるよ。」


俺は書庫に向かって走っていった。どんな本があるのかワクワクしてきた。




『………レイちゃんって変わってるよねぇ。』


『………はい、ご主人様ですからねぇ。』




広い屋敷の中を迷子になりながら、ようやく書庫にたどり着いた。書庫の入口にも警備兵がいだ。警備兵にミラージュから貰った御札を見せるとすんなりと書庫の中に入れた。


書庫の中には大量の本が並んでいた。しかもちゃんと整頓されており本を探すのに苦労しなかった。お目当ての古代文字で書かれた本がすぐに見つかり、片っ端から本を取ってはページを捲っていく。


………

………


本を読み漁ること2時間が経過したが有益な本は無かった・・・唯一得たものといえば苦味を抑えたマジックポーションの作り方くらいか。


まぁこれはこれで大事なアイテムだ。遠慮なく魔力枯渇なれる・・・いや、それでも魔力枯渇にはなりたく無いな。


するとアイリーン達も書庫にやって来た。きっと暇になったんだろうな。


『ねぇ、旦那様。何か良い本は見つかりましたか?』


「いや、あまり良い本は無かったよ。」


このマジックポーションの件は黙っておこう。特にマリーナに知られると面倒臭そうだし。


『えぇ、本当ですかぁ? 何か隠していませんかぁ? 例えばマジックポーションとかぁ?』


「な、なんでそれを?」


『ミラージュさんから聞いたんですよ。多分、旦那様が喜ぶのは苦味の無いマジックポーションくらいだと。ちなみにミラージュさんも古代文字が読めるらしいですよ。』


しまったぁ、まさかミラージュも古代文字を読めるとは想定外だった。


さすがダークエルフ・・・なのかな? それとも年の功なのか?


と考えていると、突然、後頭部を叩かれた。


『誰がババアだ? 私はまだまだ若いぞ!』


「いや、誰もババアなんて言っていないよ。」


『うん? そうか? そんな風に言われた気がしたんだけどねぇ?』


ババアとは言っていないが、それに近しいことは思っていたので、これ以上は何も言わないようにしよう。


結局、その後の4日間は苦味の無いマジックポーション作りとミラージュの話し相手で過ごすことになった。

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