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0251:もうすぐドワーフの町


商人の馬車と俺達の馬車の間で焚き火をしながら見張りをしている。周囲は特に木も少なく、代わりに岩が多い。


『ねぇレイ君達はどこを拠点にしている冒険者なの?』


「俺達はダルハイムを拠点にしているよ。ユノン達は?」


『私達はハルゲイツって町が拠点だよ。そんなに大きくない町なんだけど知ってる?』


『あ、知っています。確か農業が盛んな町ですよね?』


さすがサーラだ。ハルゲイツという町を知っていた。しかも町の特徴まで把握しているとは。


『へぇ、良く知っているわね。農業が盛んなことまで。』


『こう見えても元受付嬢ですからね。』


すっかりと忘れていたけど確かに元受付嬢だ。


『そうなんだ。でも元受付嬢がなんで冒険者なんかになったの?』


『え、それはレイさんに誘われたからですよ。でもレイさんったら誘っておいて最初はつれなかったんですよ。』


「え、ここであの時の話を持ち出すの? ちょっとやめようよ・・・」


『えぇ、良いじゃん。是非とも聞きたいな。』


ユノンが是非とも聞きたいとのことでサーラがあの時のことを話し始めてしまった。


そしてサーラの話が終わったところでユノンから冷たい視線を浴びせられた。


『レイ君ってさぁ、酷くないかな?』


「いやいや、あれはお互いの考えがうまく合っていなかったというか、その、すれ違いというか・・・」


『いや、レイ君、そこはちゃんと反省しないと駄目なんじゃない?』


「はい、ちゃんと反省します・・・」


『へぇ・・・意外と素直なんだね。ちょっとビックリだわ。』


何を言うかなぁ。俺はいつだって素直だよ。マリーナ以外に対してはだけどね。


「そういえば、ユノン達って男女2人ずつじゃない。ひょっとして恋人同士だったりするの?」


『レイ君ってストレートに聞いてくるわね。でも残念ながら恋人じゃないわよ。さすがにあいつらは無いわぁ。せめて冒険者ランクがBにならないとねぇ。』


毒舌だなぁ。でも話を聞いていくとユノン達は全員ランクCとのこと。なら、もうすぐじゃないか。ということは、まんざらでも無いということか。


『私達のことよりもレイ君達のほうはどうなのよ? 随分と美人ばかり引き連れているようだけど?』


「え、皆、俺の嫁さんみたいなもんだよ。」


………

………


ユノンは分かるが、サーラもエリーも固まっている。あれ? 何でだ?


『ひゃ~、レイ君って平然と凄いことを言うねぇ・・・でも、それくらいハッキリと言ってくれたほうがいいわね。しかし、凄いハーレムだよね。』


はっきり言ってハーレムなのは否定しない。それは事実だしね。


『あの、レイさん? 私達はお嫁さんという事で良いのですか?』

『そうだよ、レイくん。今までそんな事を言ったことが無かったのに・・・』


「そうだっけ? でもそのつもりだよ?」


サーラとエリーがモジモジしている。


『ぷっ、あははは、レイ君。女の子にはちゃんと言ってあげないと駄目だよ。』


なるほどね、そういうもんなのか。アイリーン達もそう思っていてくれていると思い込んでいたな。でも改めて言おうと考えると恥ずかしいな。


『さてと、そろそろ交代の時間になったようね。凄く楽しかったわ。ありがとうね。』


「いえ、こちらこそ、楽しかったですよ。」


ユノンは立ち上がり商人の馬車に戻っていったので、俺達も自分達の馬車に戻ろうした。が、サーラとエリーはまだモジモジしている。


「2人とも馬車に戻るよ?」


『ひゃぁぁ・・・』

『ひぇぇぇ・・・』


なんて声を出すんだ、2人とも・・・


サーラとエリーは立ってもモジモジして俺の後ろを付いて来る。馬車の中に入り、アイリーン、ジャンヌ、カレンを起こした。


「見張りの順番だよ。」


『あ………分かりました、ご主人様。』

『う………ん、はい、レイ様。』

『ん………、あ、はい、我が君。』


とりあえず3人とも起きたようだ。なのでこっちはもう寝るとしよう。


ふと見るとサーラとエリー、アイリーンとジャンヌとカレンが何か会話をしている。見張りの引き継ぎかな? そこはお任せして俺は寝てしまおう。


ーーーーーーーーーー


翌朝、目覚めてみると何故か全員が俺の周りに座っていた。


「うぉ、ビックリしたぁ。えっとこれはなんでしょうか? 俺、何もしでかしていないと思うんだけど?」


アイリーンが全員の代表として話を始めた。


『昨日の夜の話を全員がいる前で言って欲しいんです、ご主人様。』


昨日の夜の話? ユノンとの会話だよな?


「えっと、凄いハーレムだよねって話?」


『違うでしょ! もっと大事な話をしたはずでしょ、ご主人様!』


おうぅ、アイリーンの気迫がいつも以上だ。ハーレム以外の話だと、え~と、あれか!


「皆、俺の嫁さんみたいなもんって話?」


『『そう! それそれ!』』


全員の顔が近い・・・


『本当に、私達全員がご主人様のお嫁さんだと思って良いんですよね?』


「何を今さら言ってるの? 少なくても俺はそのつもりだよ?」


………

………


しばらく沈黙が続いたが。


『分かりました。では、今後はご主人様が私達の夫として相応しくなるようにしっかりと教育をしますね。』


え? ちょっと待って欲しい。今のままでは駄目ってことなのか?


まさか、これ以上、さらにアイリーン達の尻に敷かれるのか?


『ほら、ご主人様。全員外で朝食ですよ。』


「あ、はい。今行きます。」


馬車の外に出ると商人達と護衛の冒険者達は既に昨日の焚き火の跡で朝食を食べていた。


『レイさん、皆さん、今日は少し馬車のスピードを上げますからね。出来れば今日中にドワーフの町に到着したいんで。』


商人の1人が今日中に到着したいと言った。それは俺達も同じなので異論は無い。俺達の馬車なら余裕だろう。


『ご主人様。おそらくですが、この先がランクの高いモンスターが出てくる場所だと思いますよ。』


「なるほどね。出来ればそんな場所では夜営はしたくないね。」


全員の朝食も終わりも出発することになった。馬車のスピードも確かに昨日よりも早くなったような気がする。でも大丈夫なのかな? 結構、地面がボコボコしている。さすがに俺達の馬車も多少は揺れるな。


御者席にはイザベラがいる。そしてイザベラに膝枕をしてもらい横になっている。


そしてイザベラが


『今朝の話だけどね、アイリーンもそうだけど私も凄く嬉しかったわよ。』


「今朝の話というと嫁さんの話だよね?」


『えぇ、そうよ。レイはずっと何も言ってくれなかったからねぇ。』


「え~と、言わなくても分かっていると思ってたんだよね。」


『駄目よ、レイ。女の子にはちゃんと言ってくれないと。』


イザベラは女の子という歳なのかな?


『なに、レイ? 何か言ったかしら?』


「いえ、何も言っていません。そんな滅相もない。」


怖いなぁ、うかつに何かを考えることすら出来ないよな。何故かイザベラは満面の笑みだ。


今のところは何事も無く馬車は進んでいる。ひょっとしたら、このままモンスターに出会うこと無くドワーフの町に到着出来るのでは? と考えていたら前方の馬車から叫び声が聞こえてきた。


『モンスターが出たぞー!』


残念ながらモンスターが出てこないことは無かった。前方の馬車が停止し俺達の馬車が前に出た。


モンスターが3匹いる。全身が岩で覆わられている姿をした熊のようなモンスターだ。


〈鑑定〉

ロックベアー x3

スキル:豪腕、剛健


「ロックベアーだ。豪腕と剛健のスキル持ちだね。」


『レイさん、ランクCモンスターです。油断しなければ問題無いかと。』


俺達は素早く3チームに分かれた。ロックベアーの攻撃は力任せの前足攻撃だけであり、盾組が全て防御している。盾組が完全に防御出来ているので攻撃組は簡単に攻撃を加えられる。


10分も掛からずにロックベアー3匹を討伐が完了した。商人達も護衛の冒険者達もビックリしているようだった。


ロックベアーの死体をアイテムボックスにしまっていると、ユノン達が駆け寄ってきた。


『凄いね! まさかレイ君達がこんなに強いとは思わなかったよ。』


ユノンを始めとして全員から褒められた。まさかこんなに褒められるとは。むしろ恥ずかしい気がするんですけど。


俺が恥ずかしがっているのを察したのか商人のオジサンが先に進もうと言ってきた。さすが商人だ気が利くな。


もう1人の商人のオジサンがボソッと呟いていた。


『ロックベアーは通常、岩に擬態しているはずなんだけどな・・・なんで普通に襲ってきたんだろうな?』

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