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0241:エルフの国に到着


無人のギルドで暫く待たされると受付嬢とギルドマスターのオッサンに数名の冒険者達が2階から降りてきた。


『あ、あいつら・・・』


マリーナが冒険者達の顔を見ると鬼のような形相に変わった。確か、マリーナに向かって貧乳と言っていた冒険者だよな。


『あぁ、ちょっと待ってくれ。別にコイツらと喧嘩をさせようっていうわけじゃない。その前に依頼のモンスターは討伐出来たのか?』


「はい、ちゃんと討伐してきましたよ。」


アイテムボックスからフォレストパンサー5匹を取り出した。


『確かに討伐依頼したモンスターだな。ありがとう。礼を言うよ。ほら、お前達も何か言うことがあるだろう? そのために人払いしておいたんだからな。』


ギルドマスターから促されると冒険者達がばつの悪そう顔をしながら俺達の前に立った。すると1人の冒険者が口を開いた。


『あぁ、そのぉ、なんだ、済まなかったな。あんた達が倒してくれたモンスターのせいで全然仕事が出来なくてイライラしていたんだ。』


まぁ、なんとなく想像はしていたがその通りだった。しかし、イライラしてもそれを他人にぶつけちゃ駄目だよな。余計な被害がこっちに及ぶんだから。


しかし、このギルドマスターは意外と気配りが出来るな。おそらくコイツらが謝罪する姿を他の冒険者に見せないようにしたんだろうな。


『まぁ、なんだ、俺も本当はあんたくらいの小さ、ふべぇ・・・』


マリーナの蹴りが冒険者の腹にヒットし冒険者は壁まで吹き飛んだ。


『死ね、クズが・・・』

『そうよね、本当に一度死んだほう良いわね。』


いつの間にか受付嬢もマリーナに賛同していた。良く見ると受付嬢の胸もマリーナに負けず劣らずといったところだった。


一部始終を見ていた他の冒険者達は一斉に土下座をしてマリーナと受付嬢に謝っていた。何か以前も同じ光景を見た記憶があるよなぁ。


『………あぁ、そ、そうだ。討伐したモンスターはどうするんだ? 買い取りするか?』


「あ、そうですね。買い取りでお願いします。5匹全部で。」


とりあえず俺とギルドマスターは何も見なかったことにして話を進めることにした。


『そういえば、お前達はどこを目指して旅をしているんだ?』


「エルフの国に行ってみようと。」


『そうか。陸路だともう少しかかるな。まぁお前らなら問題無いだろうが怪我しないように頑張れや。』


そう言うとギルドマスターは2階へ戻っていった。何故エルフの国を目指すのかとか聞かれると思っていたが何も聞かれなかった。


『レイ様、お待たせしました。フォレストパンサー5匹分と今回は指名依頼という形になりましたので報酬は全部で大金貨8枚とさせて頂きました。』


受付嬢から報酬を受けとるとギルドをあとにしたところ、外は完全に夜になっていた。


『ご主人様、何かドタバタしましたが夕食を食べてから戻りましょうか?』


モンスター討伐から戻ってきた時は気にしていなかったが屋台が多いな。男女問わず、皆が串肉を片手に酒を飲んでいるようだ。


「俺達も真似してみようか?」


『『おぉぉ、賛成!』』


俺達だけで食事をしていると、いつの間にか途中から色んな人達が混ざってきた。特に酔っ払っている訳でもなく、ただ話し相手を求めてという感じだ。


しかし、中には不埒者もおり、アイリーン達をナンパしようとする奴もいる。そんな時には俺がしっかりと殺気を送り撃退する。


逆に俺がお姉さんから


『ねぇ、君。お姉さんと良いことしない?』


と誘惑されるとアイリーン達から背中をつねられる。これが結構痛い・・・あまり加減してくれていないな。


『あら、残念ね。お相手がいたのね。』


と言って、お姉さんは去っていった。まぁ残念ということは無いけどね。


何だかんだと言ってそれなりに楽しい時間を過ごし馬車に戻った。


ーーーーーーーーーー


そして翌日。


再びエルフの国を目指してログロイの町を出発した。ログロイのギルドマスターに聞いた話ではエルフの国の国境までは2つの町があるとのことだ。


途中の道中で見ている人がいないところでは馬車のスピードを上げてみた。かなりのスピードが出せることが分かった。


ログロイの次の町まで3日で到着し、その次の町も3日で到着した。所要時間は通常の半分くらいだ。


「やっぱり、この馬車はすごいな。」


『ちょっと異常よね。これは他人には絶対に見せられないわよ、レイ。』


イザベラからも念押しをされたが、確かに他の連中には見せられないよね。特に貴族には注意が必要だろう。


旅は順調だ。


ログロイではイベントが発生したが、その後は本当に何もイベントが発生しなかった。そして更に3日が経過してようやくエルフの国の国境に到着した。


『あれが国境の町、ログロウの町よ、レイ。』


今まで見てきた町とは異なるな。森の中に町があり城壁は無く柵に囲まれている。どちらかというと町というよりも村に近い気がする。


『ログロウの町はエルフが治めているのよ。なのでエルフの好みが出るのよね。』


イザベラの説明によるとエルフは自然をこよなく愛しているため城壁とかは好まないらしい。確かに森の中に城壁は似合わないけどね。


「でも防御面は大丈夫なのかな?」


『ふふふ、それは大丈夫よ。あの柵は一種のマジックアイテムみたいな物で悪意がある者が触れると雷が発生するらしいわよ。なので下手に触ったりしたら死んじゃうかも知れないから気を付けてよね、レイ。』


マジか、そんな恐ろしい物なのが存在するのか。さすがエルフ、侮れないな。


とりあえず町に入ろうと入口に近づくと門番が声をかけてきた。


『そこで止まれ。ヒューマンがエルフの国に何をしに来た?』


「とくにこれといった目的は無いです。敢えて言うと旅をしていてエルフの国も色々と見てたいと思って来ました。」


『そうか、我々エルフは寛容だから旅人の来訪は拒まないがくれぐれも騒動は起こすなよ。』


もちろん騒動を起こすつもりは無いが、面と向かって言われると少しカチンとくるな。でも、ここはじっと我慢だ。


『では、エルフの国に入るための税金を払ってもらおうか。1人あたり銀貨1枚だ。』


「イザベラ。そういえば、エルフの国も同じ通貨で良いの?」


『えぇ、大丈夫よ。昔はそれぞれの国毎の通貨を使っていたようだけど今はどの国も同じ通貨を使っているわよ。』


良かった。為替レートとか言われたら面倒臭いからね。とりあえず門番に銀貨12枚を渡して無事にエルフの国へ入国した。


町の中に入ると当たり前のことだがエルフが多い。イケメンと美女ばっかりだ。もちろん、今までもエルフは見てきたが数はかなり少なかった。


「う~ん、エルフの国に来たのは良いけど何をしようか。どこか観光出来る場所は無いかな?」


『ご主人様、それなら世界樹を見に行ってみますか? 一応、ご利益があるらしいですよ。』


いかにもゲームで登場しそうな名前が出てきた。ご利益があるかも知れないなら行ってみてもいいかもね。


「ちなみに世界樹ってどこにあるの?」


『あそこに巨大な樹がそびえているのが見えますか?』


アイリーンが指差しする方向を見ると確かに遥か遠くに巨大な樹が立っているのが分かる。というか樹の先は雲に隠れているように見えるな。ちょっとデカ過ぎなのでは?


「かなりデカいよね。ここからでもはっきりと分かるくらいに。」


『はい、かなりの高さになりますね。世界樹の頂点を目指して何人も登ろうとチャレンジしていますが成功した人はいないと聞いていますし。』


あれを登ろうというチャレンジャーがいるのか。とてもチャレンジする気にはならないな。


食料の買い足しをしたら、とりあえず暇潰しも兼ねて世界樹を目指して先を進むことにした。


食料の買い足ししていたが、あることに気付いた。


「なんで肉が売ってないの?」


『エルフの主食は野菜や果物だからですよ。』


アイリーンから素っ気ない返事だった。これはエルフの国での食事は期待出来ないかも知れないな。


実際は全く肉を売っていないということは無いが量はかなり少ない。これにはレジーナを筆頭に皆、がっかりしていた。


そこまでのことなのかな?

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