0023:どっちにするか
昨日の夜にアイリーンからパーティーメンバー追加の提案があった件を朝食を食べながら再度確認する。
「アイリーン、昨日の夜に話したメンバー追加の件だけど、寝ながら考えたけどメンバーの追加が必要なのは分かったよ。」
そりゃあ、メンバーが多い方が戦闘が楽になるのは馬鹿でも分かることだ。ただし、パーティーの構成を無視した増員は馬鹿のすることだ。パーティー全員が前衛とかネタになりそうなことはしたくない。
「ただ、メンバー間の関係が拗れるようなメンバーは増やしたくない。それに報酬等で揉めるのも避けたい。」
ここまでは、アイリーンも頷いてくれた。良かった。方向性は間違っていないようだ。
「そうすると、やっぱり、追加するメンバーは奴隷が1番良いんじゃないのかな?」
『そうですね。ご主人様のコミュニケーション能力を考えると、それが1番良いかも知れませんね。』
「え、俺ってそんなにコミュニケーション能力低い?」
『ふふ、さて朝食も食べ終わりましたので出掛けますよ、ご主人様。』
え、ちょっと何か言ってよ。嘘でもいいから、そんなことは無いって言って欲しいな。あ、このままだと置いていかれる。
「あ、あぁ、分かった、今行くよ。」
俺ってそんなにコミュニケーション能力低いかな? そんなことは無いはずなんだが。女性に対しては緊張してしまうけど。
宿屋を出て奴隷商へ向かった。そういえば大事なことを確認し忘れた。
「アイリーン、その、購入する奴隷なんだけど・・・」
『分かっていますよ。もちろん、女性の戦闘奴隷で問題無いですよ。』
「え、何で分かったの?」
『さぁ、何ででしょうね? (ご主人様はすぐに顔に出るのが分からないのかしら? まぁ、隠し事が下手なのは良いことかも知れないけど。)』
アイリーンはひょっとしたらエスパーなのか? 等と考えていたら奴隷商に到着した。奴隷商の建物の中に入ると前回アイリーンを購入した際に対応してくれたオッサンがいた。
「すみません。奴隷を購入したいのですが。」
アイリーンを見て、俺のことを思い出したようだ。
『あぁ、そこのアイリーンを購入して頂いたレイ様ですね。ようこそ、いらっしゃいました。戦闘奴隷の追加購入でよろしいでしょうか?』
「はい、その通りです。」
『では、詳細は奥の部屋でお聞かせください。』
ということで前回と同様に商談ルームに入った。オッサンがアイリーンの左手を見ている。しかし、アイリーンの左手が何故再生したのかは聞いてこない。商人として客の秘密は探らないのだろうな。
『アイリーンはレイ様のお役に立てているようですね。』
「はい、凄く助かっていますよ。今では無くてはならないメンバーですよ。」
『それは何よりです。そのようにお褒めの言葉を頂けるのが奴隷商の誉れです。それで今日も戦闘奴隷を購入とのことですが、五体満足のほうでしょうか?それとも五体満足じゃないほうでしょうか?』
「もし、両方見るとしたら結構な人数になりますか?」
『そうですね。ざっと30人以上になりますし、失礼ながらレイ様のご予算に合わない奴隷もいます。』
前回もそうだったが、こちらの予算は把握されているんだろうな。なら素直にこちらの予算を教えておいたほうが楽かな。
「分かりました。予算は金貨1枚の範囲で、五体に欠損がある奴隷も含めてみせて貰っても良いでしょうか?」
『分かりました。では、少しお待ちください。』
約10分後にオッサンが奴隷を連れて戻って来た。奴隷は5人だ。オッサンは早速奴隷の説明を始めた。
『1人目ですがヒューマンの18歳です。この娘は特に欠損はなく、剣を使います。大銀貨7枚です。』
可もなく不可もなくといったところか。顔も駄目というわけでは無い。胸は小さそうだけど。
『2人目ですが猫人属の37歳です。この娘も特に欠損はなく、双剣を使います。大銀貨6枚です。』
年齢的にどうなんだろうな? アイリーンより年下ではあるが。まぁアイリーンはハーフだけどエルフだし。等と考えているとアイリーンの視線を感じる。危険だ。無心になるんだ、俺。
『3人目ですがハーフドワーフの24歳です。この娘も特に欠損はなく、槍と盾を使います。大銀貨8枚です。』
ドワーフって感じがしないな。胸はCカップといったとこか。赤毛の結構可愛い感じだ。この娘は候補かな。
『4人目はヒューマンで16歳です。前回もお見せした娘です。ご覧の通り右足がありませんが義足がありますので戦闘は可能です。銀貨1枚となります。』
欠損が完全に直せる自信が無い以上、申し訳ないが、この娘はちょっと無いな。
『5人目は狼人属で21歳です。この娘も前回お見せした娘です。彼女は右目が負傷しておりますが戦闘能力は高いですよ。銀貨8枚となります。』
この娘は前回も気になっていた。顔は間違いなく綺麗系の銀髪だ。しかも奴隷商が戦闘能力でお薦めしている。この娘も候補だな。
「すみません、3人目と5人目と会話させてもらっても良いでしょうか?」
『分かりました。それでは準備しますので少しお待ち下さい。』
オッサンが準備している最中にアイリーンが尋ねてきた。
『ご主人様、2人とも購入するつもりですか?』
良さそうなら、それもありかと思うけどアイリーンはどう思うかな?




