0199:本日は休暇です
今日は宣言通りに休暇とする。なので早起きをする必要が無いのだがアイリーン達に叩き起こされてしまった。
『レイさん、今日は買い物だけじゃないですからね。』
えっと、買い物以外に何をさせられるのだろうか? 他の誰に聞いてみても回答は全員が同じだった。
『『秘密です。』』
だそうです。楽しみにしておいてください、と言うことので楽しみにしておくことにする。
朝食後、早速街へ出掛けることになった。当然のことながら今日は全員私服だ。普段から馬車の中では私服なのだが外で見る私服姿はあまり見ないので新鮮だな。
ちなみに全員スカートを履いている。これは俺の要望だからだ。そして全員がショートソードを帯剣している。
例えばサーラとか剣術スキルが無いメンバーでもある程度は使いこなせるのだ。むしろステータスがそれなりに高いので中ランク冒険者よりも腕がたつ。
このダルハイムはダンジョン都市よりも大きな都市だ。なので服を扱っている店もいくつか存在するが、アイリーン達が事前に調査した店に向かっている。
『ご主人様、この店ですよ。』
店の外見からお洒落そう感じがするね。というか俺は中に入れないのでは?
『旦那様、早く中に入りますよ。』
「え、ちょっと待ってよ。」
マリーナに背中を押されて店の中に押し込まれた。店の中に入ると外見と同様に中もお洒落だった。
「これは男子禁制じゃないのか?」
『レイくん、大丈夫だよ。ほら、あっちを見てよ。あっちにも男がいるよ。』
エリーが言う方向を見ると、確かに男はいるけど俺と同じようにオロオロしているじゃん? どう見ても大丈夫じゃないよね?
そんな俺を放置してアイリーン達は自分達の服と下着を探しに行ってしまった・・・
俺はどうすれば良いんだろう? と思案していると先程の男と目が合ってしまった。彼は視線で
"お互いに大変ですよねぇ"
と言ってくるので、俺も
"そうですよね。そちらも大変ですね"
と返して、お互いにため息をついた。すると向こうは連れの女性の買い物が終わったようで店を出ようとしている。
なんとか引き留める手段は無いかと色々と考えてみたがそんな手段はあるはずが無い。
"じゃあ、後は頑張って下さい"
と、男は合図をして連れの女性と一緒に店を出ていってしまった。
あぁ、マジかぁ。これで、この店にいる男は俺一人になってしまったかぁ。店の外を歩いている人がこっちを見ている気がするが店の奥に行く勇気が無い。
すると女性店員が近寄ってきた。
『お連れ様方がお呼びですよ。』
「えっと、奥に入っても大丈夫なんですか?」
『はい。もちろん問題ありせんよ。でも周りをじろじろと見ないようにして下さいね。あと、あちらのコーナーには近寄らないようにお願いします。』
「はい、分かりました。ちなみにあっちのコーナーには何があるんですか?」
『あちらのコーナーは下着コーナーになりますよ。』
女性店員はニッコリしているが、目で訴えている気がする。
"男が行ったら不審者として通報するぞ" と。
「………分かりました。間違っても近寄らないようにします。」
『はい。それが賢明ですよ。』
女性店員に案内されたのは試着コーナーだ。試着コーナーに到着するとアイリーン達が試着していた。
『これはどうですか?』
『こんな感じですがどうですか?』
『これはちょっと恥ずかしいんですけど。』
全員が丈が膝上くらいスカートを履いている。みんな可愛いな。
「………うん。良く似合っているよ。」
『でも、ちょっと丈が短くないですかね?』
『ちょっと動くと下着が見えそうな気がするよね?』
『ちょっと恥ずかしいかな・・・』
『皆さん、綺麗なので良くお似合いですよ。最近、王都でも流行している長さなんですよ。』
女性店員も後押ししてくれた。それにしても王都て流行しているということは転生者の仕業かな? この件に関してはグッジョブと言いたい。
女性店員と俺はタッグを組んで一生懸命、アイリーン達を褒めちぎる。店員は売り上げを上げるために、俺はより丈の短いスカートを見たいがために。
女性店員と俺の熱意に根負けしたアイリーン達が渋々承諾した。本当に渋々なのかは不明だ。
結果、スカートは1人あたり3枚、下着は1人あたり5枚、シャツ等の上着類は1人あたり5着を購入することにした。
「折角だから早速着替えてみる?」
『『え、もうですか?』』
『あら、いいじゃないですか。皆さん、良く似合っていますしね。』
女性店員もぐいぐい押してくる。非常に良い仕事をしているね。次回もこの店で購入しようと思うね。
女性店員のお勧めもあってアイリーン達が着替えに向かった。すると女性店員が俺に向けてサムズアップしてきたので、俺もサムズアップで返した。
しばらくして、着替え終わったアイリーン達に試着コーナーから戻ってきた。
お世辞抜きに全員似合っている。この美女達が全員、俺の嫁だと思うと感激が止まらないな。
『ちょっと、何か言って下さいよ。』
『何も言われないと恥ずかしいから。』
『もしかして似合っていない?』
「………ごめん。みんな良く似合っているよ。感激のあまり言葉が出なかったよ。」
『『もう、馬鹿ですね・・・』』
アイリーン達も満更では無さそうだった。支払いは全部で大銀貨9枚であったが非常に安いと感じた。実際は服としては高いらしいが、この感動の代金と考えると安い。
支払いも終わり着替えも終わったアイリーン達と一緒に店を出てきた。店を出ると通りには野郎冒険者達が一斉にアイリーン達を見ている。
エロい視線でアイリーン達を見るなと言いたい俺と、綺麗になったアイリーン達を自慢したい俺がいる。
と、悩んでいると突然声を掛けられた。
『あれ? レイさんとアイリーンさん達じゃないですか。』
良く見るとダンジョン都市のギルドで受付嬢をしていた女性だ。
「久しぶりですね。もしかしてダンジョン都市のギルドをクビになったんですか?」
『ちょっとぉ、突然変なことを言わないで下さいよ。そんなことがある訳無いじゃないですか。単純に移動になっただけですよ。』
へぇ、ギルドの受付嬢って移動があるのか。
『レイさん達と仲が良いってことで移動になったんですよ。』
「へ? まさか俺達のせいなの?」
『あ、でもレイさん達を恨んでる訳じゃないですよ。元々、移動希望を出していたんですよ。』
良かったぁ、俺達のせいだけど本人が喜んでいるなら問題は無いだろう。
『明日からこのダルハイムのギルドで働きますのでよろしくお願いしますね。』
受付嬢と別れた後、何をしようかと考えているとサーラとエリーが俺の両腕にしがみ付いてくる。普段の冒険用の服と違って胸の柔らかさがダイレクトに伝わってくるな。
みんなに連れられて行くとピンク色の建物の前に到着した。
「こ、これってまさかラブホか?」
『さぁ、中に入りますよ。レイさん。』
まさか昼間っから・・・
………
………
中は食料品の卸市場のようだった・・・凄く期待していたのに全然違った・・・紛らわしい外見をしやがって。
『レイは何を期待していたのかしら?』
『どうせ旦那様のことだからエッチなことですよね?』
全くその通りなのでぐうの音もない。
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卸市場で大量の食材を購入してきた。
『『私達が夕食を作りますから休んでいて下さい。』』
俺はソファーにゴロンと寝転んで皆が食事を作る様子を眺めているだけだ。
何だろうな、この幸せな時間は。そしていつの間にか俺は眠ってしまっていたようだ。起こされた時には食事の準備が終わっていた。
皆が作ってくれた食事を美味しく頂きました。こうなると当然、風呂の後のイチャイチャタイムにも影響が出るわけで。
そうなると、当然怒られるわけで・・・




