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188/319

0188:霊峰の洞窟の中へ


霊峰にはあまり人が立ち入らないようで、草が鬱蒼としている。逆に木はまばらに生えているだけの状態だ。


先ほどから周囲を警戒しながら進んでいるがモンスターどころか生き物が一匹も見当たらないな。


「この草の生えようからするとモンスターも通っていないようだね。」


『旦那様。でも、この威圧感のおかげか虫もいないようなので比較的歩き易いですよ。バトルスカートがちょっと邪魔ですけど。』


「じゃあ、スカートを脱ぐ?」


『そんなこと出来るわけ無いじゃない・・・旦那様は変態ですか?』


『レイさん・・・』


皆からも、このスケベが、という視線が。


『ははは、君達は本当に面白いね。いつもそんな感じなのかい?』


「はは、そうですね。いつもこんな感じですね。それよりも洞窟まではどれくらい掛かりますか?」


『そうだねぇ、あと30分くらいかな。』


一瞬、麓から30分くらいのところにある洞窟が何故今まで見つからなかったのだろう? と考えたが、山を登るに連れて強まる威圧感に納得した。


「この威圧感に先に進もうとする奴は普通はいないよね。」


『まぁ、普通はそうだろうね。僕の場合は興味のほうが勝った結果なんだけどね。』


………この人は好奇心が強すぎるのかな。いつか強すぎる好奇心で死ぬことになりそうだな。


『ご主人様、オーウェンさんはきっと自滅する人ですよね。』


「………うん。俺もそう思うな。真似しないように気を付けよう。」


今はそんなことよりも、山を登るに連れて強まる威圧感のほうが問題だな。本当に死にそうになっているドラゴンの威圧感なのだろうか?


死にそうになっているかどうか分からないが、こんな威圧感の持ち主と戦って本当に勝てるのだろうか?


『さて、そろそろ洞窟が見えてくるよ。』


オーウェンの言葉に、俺を含めた全員に緊張が走り始めた。山の中腹あたりにポッカリと穴が開いている。確かに巨大な洞窟だな。


洞窟の入口付近には巨大な木が繁っており、これでは、地上からは洞窟の存在は気付けないだろうな。


「確かに、この威圧感は洞窟から感じるね。」


『あぁ、この洞窟の奥にドラゴンがいるよ。この洞窟自体はそんなに奥行きがあるわけじゃないからね。』


「まずは、俺とレジーナの二人で洞窟の入口付近の様子を探ってくるからね。レジーナ、大丈夫?」


『主様、ちょっと怖いけど大丈夫。』


レジーナの怖いというセリフは初めて聞いた。

本当は俺も怖いのだが、これは言っては駄目だろう。


「俺が付いているから大丈夫だ。隠密スキルを使って一緒に行くよ。」


『はい。主様。』


『あ、そうだ。ドラゴンが死にそうになっているかどうかを見極める方法は、ドラゴンの目を見るんだ。ドラゴンの目が灰色になっているか、大量の目ヤニが出ている場合は死にそうになっている証拠だからね。』


「分かりました。とりあえず、行ってきますよ。」


隠密スキルを発動させてゆっくりと洞窟の入口に近づいていく。音は絶対に立てないように慎重にだ。


洞窟の入口に到着し入口の奥を確認すると壁がうっすらと光っている。これなら、トーチを使う必要は無いな。そして入口から30~40m先がホールのようになっているようだ。


そのホールの中央に蹲っている巨大な物体が見える。あれがドラゴンなのかな。鑑定を使ってみる。


〈鑑定〉

ウィングドラゴン

スキル:心眼、念話、龍言語魔法、風魔導


ドラゴンであることが確定した。しかも効果が想像も出来ないスキルまで持っているな。心眼と龍言語魔法って何なんだ?


しかし死にそうになっているのかどうかは全然分からない。遠すぎてドラゴンの目なんか確認出来ないな。


「ドラゴンであるのは確認出来た。一旦、皆のところに戻るよ。」


戻るときも慎重に、音を立てないようにゆっくりと戻った。


「確認してきたよ。間違いなくドラゴンだったよ。ただし、死にそうになっているのかどうかは分からなかったよ。」


『主様。ドラゴンは目をつぶっていたので目の色は分からないけど、目ヤニはたくさんだったよ。』


あの距離でドラゴンの目が見えたのか。一体どんな視力をしてるんだ?


「さてと、ドラゴンは弱っているらしいけど、それでもランクSモンスターなのは間違いないから戦闘にはかなりの危険があると思う。」


アイリーン達もうんうんと頷く。


「なので皆の意見を聞きたいな。戦うのか、それとも戦わずに帰るのか。」


『ご主人様にお任せします。』

『あ、それいいね。旦那様に任すよ。』

『私も主様に従う。』

『怖いけど、レイさんに合わせます。』

『もう、レイくんが決めてよ。』

『………レイ様のご意志のままに。』

『御館様、もう決めてるんでしょ?』

『レイ、貴方の好きにして良いわよ。』

『レイ殿はやると決めているんでしょ?』


出来れば多数決で決めたかったんだけどな。これって俺に判断を丸投げされているよね?


「………よし、分かった。ドラゴンと戦おう。ちょっと怖いけどね。」


『旦那様、本当にちょっとだけですか? もし戦闘にチビっちゃっても軽蔑したりしませんから安心してくださいね。』


「チビったりしないよ。多分だけど・・・」


大丈夫だと思うけどチビったら洗濯は俺が頑張ろう。


「じゃあ全員、隠密スキルを発動させて。あと絶対に音を立てないようにね。」


全員が洞窟の入口に到着した。隠密スキルを発動させたまま、ゆっくりと洞窟の奥に進んでいく。


ホールの手前まで到着した。改めてドラゴンを見るとデカい。おそらくは7~8mくらいの大きさがあるだろうな。姿形は俺の知っているドラゴンと同じ姿だ。一応羽を持っているがあの巨体が羽だけで飛べるとは思えない。


「きっと魔力を使って飛ぶんだろうな。凄いなぁ。」


『ご主人様、何を感心しているんですか。しっかりしてくださいね。』


そうだよね。ドラゴンに感動している場合じゃなかった。


「まずは魔法で先制攻撃をするよ。俺、サーラ、ジャンヌ、メリッサ、イザベラが魔法を使ったら、いつものようにアイリーンとエリーを先頭にドラゴンに向かうけど距離には気を付けてね。」


今回の俺の魔法は圧縮ファイアボールではなく、ファイアアローにする。圧縮ファイアボールでは洞窟が崩落する可能性があるからだと。


圧縮ファイアボールの準備をしようとしたら全員から止められた。


『『自爆する気ですか? 』』


なので、ファイアアローの準備をする。火魔法から火魔導にスキルがバージョンアップした俺のファイアアローはアローではなく、ランスに近い大きさになっている。ランスが50本だ。


「よし、先制攻撃を開始するよ。みんな、準備はいいかな?」


全員の先制攻撃の準備が完了したようだ。



先制攻撃の合図を出そうとした瞬間、後方から


ドドーン………ズン、ズガン


という爆発音がし、その後、岩が崩れているような音と振動がした。


「な、何があったんだ?」

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― 新着の感想 ―
[一言] 主人公達ちょろい でもこれで今後冒険者ギルドからの厄介な指名依頼断れる口実ができたんじゃない?
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