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0182:妖精からの贈り物


『妾の名前はティターニアじゃ。妖精族の女王をしておる。人の子達よ、お主らの名はなんと申すのじゃ?』


「あ、スミマセン。自己紹介が遅れました。俺は冒険者をしている、レイと言います。」


俺に続いてアイリーン達も自己紹介をした。全員の自己紹介が終わるとティターニアは満足そうに微笑んでいる。


ティターニアは他の小さな妖精達とは違って150cmくらいはあり、見た目も綺麗だ。胸は非常に残念ではあるが。


『………レイよ。お主、非常に失礼なことを考えておるな?』


「え? ひょっとして、ティターニアさんって俺の心が読めたりするんですか?」


『いや、迷い人の心の中は読めたりしないが、何故かお主の考えていることが分かるのう。』


え、何それ? そういえばアイリーン達もそんなことを言っていたな。アイリーン達のほうを見るとアイリーン達もうんうんと頷いているな。


「スミマセン。大変失礼しました・・・」


『まぁ、良いでしょう。それでレイ達は何のために、この巨大樹の森に来たんですか?』


俺はギルドの依頼でサイクロプスの討伐に来たこと、サイクロプスを討伐した後に訓練のためにここに留まっていることを説明した。


『分かりました。特にこの巨大樹の森を荒らしに来た訳ではない無いようですね。』


「はい。そんなつもりは無いですよ。ちなみにサイクロプスとかギガンテスとかを討伐しては不味かったですか?」


『いえ、そんなことは無いですよ。むしろ、最近はサイクロプスが増えてきて困っていたくらいなので助かったくらいですよ。』


良かった。サイクロプスとかを倒したことで怒られるかも知れないと思っていたが大丈夫そうだ。


「では、なんで俺達の目の前に姿を現したのでしょうか? 多分ですけど、普段は姿を現さないのですよね?」


『そうですね。興味が湧いたというのが本音ですね。ウッド・エンシェントと心を通わせたレイにです。』


ウッド・エンシェント。懐かしい名前が出てきたな。心を通わせたかどうかまでは分からないけど、少なくても多少は認めてもらったのは事実だと思っている。


『なぁ、レイ。今、ウッド・エンシェントという言葉が聞こえたのだが、本当に知っているのか?』

『確かに、ウッド・エンシェントと聞こえたな。まさかレイ殿はそんな幻のモンスターとも知り合いなのか?』


「なぁ、知り合いっていえば、知り合いかも知れないけど・・・ティターニアさんもウッド・エンシェントと知り合いなんですか?」


『ふふふ、そうですね。ウッド・エンシェントは知り合いというよりは、我々のように森から生命を授かった全ての者の親のような存在なんですよ。』


「え? ウッド・エンシェントってそんなに偉い存在だったんですか?」


あの時、危うくウッド・エンシェントを倒しかけたことは黙っておこう。でも本当に倒さなくて良かった・・・


『旦那様、あの時、ウッド・エンシェントを倒さなくって良かったですね。』


「………え? マリーナ、お前、な、何を言っているんだ?」


『え? レイ、それは本当のことなの?』

『レイ殿、なんてことを・・・』


「え? いや、だって攻撃してきたから反撃しただけだし、でも後でちゃんと仲直りしたし。」


『ふふふ、レイとお仲間達よ。大丈夫ですよ。その辺りのことはウッド・エンシェントから念話で聞いていますから。』


そういえば、確かにウッド・エンシェントは念話スキルを持っていたな。念話ってこんなことも出来るんだな。便利なスキルだ。


『そして、ウッド・エンシェントからはレイ達と会ってみて気に入ったらならばもてなすようにと言われています。』


何故なのかは分からないけど、ウッド・エンシェントにかなり気に入られたようだったらしく、思わぬ恩恵があった。


『もし良ければ、我らの里に遊びに来ますか? ささやかながらですが、おもてなしをしますよ?』


「はい。もしお邪魔でなければ是非お願いします。」


ティターニアが自分の手に魔力を込めるとティターニアの横に黒い輪っかが出来上がった。


『分かりました。では、こちらへどうぞ。』


小さな妖精とティターニアが黒い輪っかの中に入っていった。それに続いて俺達も黒い輪っかの中に入った。


黒い輪っかの中に入ると帰還魔法と同じような感覚に襲われた。


ーーーーーーーーーー


おそらく、黒い輪っかに入って数秒しか経過していないと思われるが、目の前には花畑が広がっている。先ほどまで薄暗い巨大樹の森の中にいたのでギャップが激しいな。


『ようこそ。ここが妖精の里ですよ。』


よく見ると花畑の中には無数の小さな妖精達が飛び回っている。


『凄いですね、レイさん。小さな妖精がたくさんいますよ。』


小さな妖精は光っているため姿形はよく分からない。ただ常に笑い声だけが聞こえてくる。


「ティターニアさん、あの小さな妖精達って、ずっと笑っているんですか?」


『えぇ、その通りですよ。あの子達はあなた方の世界に行き、人々を笑顔にすることが仕事なんですよ。普段は姿を見せないですが、あなた方の世界にたくさんいますよ。あの子達は特に子供達が好きなんですよ。』


ひょっとしたら子供達が意味もなく笑っているのは妖精のせいなのかも知れないな。


『では、あちらの庵へどうぞ。』


庵? と思っていると本当に和風の庵があった。外見も和風なら庵の中も和風だった。ファンタジーな世界には似合わないな。


「スミマセン。この庵ってティターニアさんが作ったんですか?」


『いえ、作ったのは別の方ですよ。ヤマダ カズトさんという人ですよ。』


「え? ヤマダさんが作ったんですか?」


『えぇ、そうですが。もしかしてヤマダ カズトさんのお知り合いですか?』


「あ、いえ、知り合いでは無いんですが、ヤマダさんが作った馬車を持っているんですよ。それに、こっちのジャンヌもヤマダさんに治療してもらったんですよ。というか、ティターニアさんはヤマダさんと会ったことがあるんですか?」


『えぇ、この庵を作って頂いたくらいですからね。』


「え? ティターニアさんって歳はいくつなんですか?」


『………レイさん。女性に年齢を聞くのは失礼ですよ?』


先ほどまでニコニコだったティターニアの顔が厳しい表情に変わった。どうやら、妖精でも女性は年齢を気にするようだ。ただ、5000歳くらいだろうか。


………というか、そんなの見た目では分かるはずがない。だが、ここは謝るしかない。


「スミマセンでした。大変失礼しました。」


ティターニアの顔が厳しい表情からニコニコの笑顔に変わった。


『分かれば良いのです。もう二度と女性に年齢を聞いてはいけませんよ。』


その後はニコニコのティターニアから歓待された。世界樹の滴を垂らした紅茶に、世界樹の蜜を使ったケーキをご馳走になった。


『世界樹の滴には寿命を延ばす効果があり、世界樹の蜜にはステータスを伸ばす効果があるんですよ。効果は1度限りですけどね。』


なにそれ? それってチートアイテムだよね。しかもお土産として世界樹の滴と世界樹の蜜を貰った。


『最後に、このスキルを授けますね。』


チートアイテムだけでも十分なのにスキルまで貰えるのか。ティターニアは太っ腹だな。

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