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0166:武術大会6日目その3


舞台から降りてきた俺の最初の仕事はまずアイリーン達に事情を説明することだった。


そもそも、何故イザベラが俺にキスしてきたのか分からない。


………

………


必死にアイリーン達に説明をした。というか、俺自身がなんでキスされたのか分からないから余り説明出来ることは無いんだけどね。


というか、決勝戦までの大事な休憩時間を休憩に使わして欲しいんですけど・・・


『なるほど。とりあえず、事情は分かりましたが、ご主人様は脇が甘すぎるんですよ。』

『確かに、レイさんは隙だらけですよね。』

『旦那様。だから、あんな年増にキスなんかされるんですよ。』


アイリーン達に言いたい放題言われていると


『ねぇ! 誰が年増だって?』


突然、イザベラがこっちにやって来た。


『な、なによ。私達の旦那様に無理やりキスしておいて、まだ何かする気なの?』


『女が気に入った男にキスするのがそんなにおかしいのかしら? ねぇ、そこの絶壁の彼女?』


『は? ぜ、絶壁? ふざけんな! この色ボケババァ!』


マリーナは絶壁というほど胸が無いわけじゃないけどね。確かにこちらの世界では小さいほうかも知れないけど。


『な! い、色ボケババァ? 死にたいのかしら? この貧乳女は!』


「ちょっ、ちょっと待って! 2人とも、少し落ち着いてよ。イザベラさん、俺達になんか用でもあるの?」


『うん? あ、えぇ、そうね。別に喧嘩しにきたんじゃないのよ。大会が終わったらレイと話がしたいと思ってね。少しだけ時間をくれないかしら?』


『旦那様、そんなババァに時間をあげる必要なんて無いですよ!』


『な、まだ私をババァ呼ばわりする気なのかしら? このペチャパイ女のくせに!』


「あぁ、もう分かったから! イザベラさん、ちゃんと時間を取りますから、それでいいですよね? マリーナも落ち着いて。」


俺はあと30分程で決勝戦をしなければならない。なので貴重な休憩時間を無駄にしたくないことをマリーナとイザベラに言って聞かせた。


『決勝戦を開始します。ライザー選手、レイ選手は舞台の上に上がって下さい!!』


審判から舞台に集まれとの案内だ。


「え? マジか? 俺、全然休憩してないんだけど・・・」


『旦那様、ごめんなさい・・・』

『レイ、本当にごめんなさい・・・』


肉体的にも精神的にも疲れた状態で舞台の上に向かった。ライザーは既に舞台の上にいる。俺が舞台の上に上がったところで、審判が試合開始の合図をした。


試合は開始されているが、ライザーは舞台の中央で立ったまま、俺に話しかけてきた。


『今回の大会は驚くことだらけだな。ランクC冒険者が本選に出てきただけでも驚きなのに、決勝戦まで進んでくるとはな。』


「それは俺もビックリですよ。まさか、ここまで勝ち残れるなんて思ってなかったんで。」


『ふっ、謙虚なのは悪くないが、謙虚過ぎるのも良く無いぞ。冒険者であれば、もっと自分に自信を持つべきだ。』


「確かに。良し、行くぞ! ライザー!」


『さぁ、来い! レイ!』


俺は神刀を片手にライザーに突っ込んでいく。俺を迎え撃つライザーの両手には双剣が握られている。


もう体力を温存しておく必要は無いので、目一杯の力を込めて神刀をライザーに叩きつける。


『ぐっ、まさか、こんな子供にここまでの力があるのか。』


ライザーは両手に握った双剣で俺の攻撃を受け止めているため反撃が出来ない。かといって防戦一方というわけでは無い。双剣で防御しつつ、蹴りを放ってくる。


「っ、くそ!」


ライザーの蹴りが俺の腹を捉え、俺は数m吹き飛ばされた。


『ほう? 今の蹴りを喰らって大丈夫なのか。』


さすがにランクSSだけのことはある。剣術だけでなく体術も一流のようだ。とりあえず、蹴りを喰らった腹に回復をかける。


『回復スキルまで使えるのか。凄いな。』


そういえば、今まで見たライザーの試合で、ライザーが魔法を使っているのを見た記憶が無いな。ひょっとしたらライザーって魔法が使えないのか?


『仕方がないな。久しぶりに魔法を使うか。レイ、死ぬなよ!』


ちょっと待て。死ぬなよって、そんなに危険な魔法を使うつもりか? 俺も咄嗟に圧縮ファイアボールの準備をする。


『行くぞ、レイ。ファイアボルト!』


魔法名を叫ぶのか。ちょっと恥ずかしいな。ライザーの魔法に合わせてバレーボール程の大きさのファイアボールを放った。


舞台の中央でお互いの魔法がぶつかり合い、派手な爆発音と共に舞台の中央の床がごっそりと無くなった。観客席からは、『おぉぉぉ』とどよめきの声が聞こえた。


『おいおい、あの魔法すら防ぐのか。レイ、お前は本当に凄い奴だな。』


人のことは言えないが、やりすぎだろう? あんなのをまともに喰らったら本当に死んじゃうぞ?


『俺とここまで張り合えるなら、本気を出しても死ぬことは無さそうだな。』


え? まだ本気じゃなかったのか? こっちはもう余力は無いんだけど・・・


『行くぞ、レイ。本当に死ぬなよ!』


そんな、死ぬなよ! を連呼するなら本気を出さなければいいのに。どうやらライザーも脳筋の仲間らしいな。もう破れかぶれだ。


「来い! ライザー!」



ーーーーーーーーーー


「………………あれ? ここは何処だ? 何だか身体が怠いな・・・」


どうやら俺は狭い個室のベッドの上にいるらしい。上半身を起こすとベッドの横にはサーラとエリーがいた。


『レイさん、目が覚めたようですね。良かったですよ。』

『レイくん、昨日のことは覚えている?』


昨日のこと?


「あ! そういえば、決勝戦はどうなったの? それに昨日のことって、なに?」


俺の声が聞こえたからなのか狭い個室にアイリーン達も入ってきた。狭い個室がさらに狭くなってしまった。何故かアイリーン達に混じってイザベラがいる。


「えっと、何でここにイザベラがいるんだ?」


『私をレイのパーティーに入れてもらおうかと思ってね。ほら、決勝戦の前に話があるって言ったでしょう。』


「あ、そうだよ。決勝戦はどうなったの?」


『ご主人様。残念ながら決勝戦はライザーに負けてしまったんですが、どこまで覚えていますか?』


「う~ん。魔法を撃ち合った後の記憶が無いなぁ。」


『なるほど。ご主人様とライザーが魔法を撃ち合った後はお互いに武器だけで戦っていました。途中までは互角でしたが、徐々にご主人様が押され始めて、最後はライザーの渾身の一撃で観客席の壁まで吹き飛ばされて勝負が決まってしまいました。』


なるほどね。壁に吹き飛ばされた時に頭でもぶつけて記憶が飛んだのかも知れないね。


「………そうか、やっぱり負けちゃったか。悔しいな・・・で、今さらだけど、何で俺は全裸なんだ?」


『レイ、これを見て。』


イザベラがボロボロになった俺の服を持って、ボロボロの服を俺に見せた。何でイザベラが俺の服を持っているんだ?


「ひょっとして、俺の服を全部脱がしたのってイザベラか?」


『えぇ、そうよ。こんなボロボロの服でベッドに寝かせるわけにはいかないでしょ? 安心してね、少ししか見ていないからね。』


見たんかい! 油断も隙もないな。それよりもさっき、とんでもない事を言っていたような気がするんだけど。


「そういえば、イザベラさん。さっき俺のパーティーに入りたいと言った?」


『うん? そうそう、是非レイ達のパーティーに入れて欲しいのよ。実は、もう今のパーティーは抜けてきちゃったのよ。』


なんだ? この人は突然、何を言ってくるんだ。自分のパーティーがあるはずなのに。


「でも、パーティーって8人までじゃないの? 俺達は既に8人パーティーだから無理なんじゃないの?」


『いや、8人以上にする方法はあるのよ。知らなかった?』


え? そんな方法があるのか? ハーレムメンバーが増やせるのか?


………増やしてもいいのかな?

読んで頂きありがとうございます。

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