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0146:マケーノ捕獲


先行したジャンヌとメリッサが次々とマケーノの兵士達を薙ぎ倒していく。殺すなとの俺の指示に従って殺しはしていない。確かに殺してはいないが


『バギッ』『ボギッ』


といった鈍い骨の折れる音が次々と聞こえてくる。これって骨が折れるというよりは明らかに砕けているような気がする。ちょっと酷くないかな? もう少し手加減しても良いんじゃないかな?


援軍の連中からも


『ちょっとやり過ぎじゃないのか?』

『あれはかなり痛そうだよな・・・』


等の声が聞こえてくる。


………仕方無いな、後で回復してやるか。


と思っていると、ジャンヌとメリッサが下がってきた。ジャンヌとメリッサの前には冒険者らしき女性が10名ほど出てきた。しかも全員の首には奴隷の証の首輪が付いている。


男の兵士に対しては遠慮無しの攻撃をしていたジャンヌとメリッサだが、さすがに無理矢理奴隷契約させられたと思われる女性に対しては手出しがしにくいようだ。


すると、横からマリーナが


『ここは旦那様の出番ですよ。』


「え? なんで俺の出番なの?」


『え? 女性を相手にするっていったら旦那様しかいないじゃないですか。何を言っているんですか?』


こ、こいつは・・・俺を何だと思っているのか。


すると、女性冒険者らしき人達から


『ごめんね、僕。命令には逆らえないの。』

『坊や、逃げてくれると助かるんだけど。』


とのことだ。やはり無理矢理命令されているようだ。ここは何とかしてあげたいな。


「サーラ。ひょっとしたら、あの首輪を切ったら彼女らは奴隷から解放されるかな?」


『はい、レイさん。でも、あの手の隷属させるための首輪は傷つけた瞬間に首が絞まるタイプなので一撃で破壊しないと駄目ですよ。』


「ちなみに気絶させたらなんとかなる?」


『分かりません。命令が未達成ということで首が絞まる可能性は十分にあります。酷い話ですが・・・』


本当に酷い話だな。なら首輪を破壊するしかないかな。俺は神刀を片手に前に進み出た。


『………やっぱり、引いてくれないのね。』


「こっちも指名依頼を受けているんでね。申し訳ないけど。」


まずは冒険者らしき女性3人がそれぞれの武器を持って俺に応じて前に出てきた。


『それじゃあ、いくよ。』

『仕方無いねぇ。』

『やっぱり、引かないよね。』


3人の女性達が俺に襲いかかってきた。2人が剣、もう1人は槍を持っている。剣を持った2人が俺に突っ込んでくる。


ジャンヌの大剣を見切った俺だ。この2人の剣をかわすのは容易い。そこに槍の1人が加わっても大差はない。


『くそっ、なんで当たらないのよ!』

『まったく掠りもしないなんて!』


何度も攻撃をかわしていくうちに、この3人の動きは完全に把握できた。


「そろそろ、こちらから反撃するよ。」


俺は突きの構えから剣を持った2人の首輪を目掛けて突きを放った。


『え?』

『あれ?』


剣豪スキルから放った突きは、剣を持った2人の首輪を破壊し、続けて槍を持った1人の首輪も破壊した。


『く、首輪が取れた?』

『あれ、首がすっきりした?』

『え? 外れたの?』


残りは7人か。さすがに7人全員をまとめては難しいかな。


「次も3人か4人で掛かってきてくれると助かるんだけど。」


7人の冒険者らしき女性達が相談し始めた。こちらが助けようとしている意図は理解してくれたようなので、次が3人、その次は4人となった。


『ただ、私達もこの奴隷の首輪があるので手加減は出来ないけど大丈夫?』


「それは多分、大丈夫かな。」


『助けてくれるのは嬉しいんだけど、冒険者としては若干複雑だなぁ。』

『そうよねぇ、冒険者として手加減は出来ないよねぇ。』


えっと、手加減してくれても良いんですけど。むしろ、手加減して欲しいんだけどな。


いつの間にか敵味方揃って、この対決を見守っている。おそらく、この冒険者達がマケーノ陣営にとって最後の砦なのだろう。


次の3人は剣、斧、弓の3人だ。


「弓が厄介かな。先に弓から行くか。」


3人との戦闘が始まった瞬間に剣と斧を弾き飛ばし、弓を持った女性に向かった。


『このぉ、舐めないでよね!』


弓矢が俺の顔面に向かって飛んできたが、神刀で矢を叩き落とした。そして、そのまま突きを放ち首輪を破壊した。


『え? う、嘘ぉ!』

『矢を剣で叩き落とした?』


剣と斧が驚いている隙に2人の首輪も素早く破壊した。


『あ、しまった!』

『え? あ、狡い!』


狡いって・・・君達、奴隷から解放される気があるの? 真面目に悔しがっているように見えるんですけど?


最後に4人の冒険者が出てきた。


『さてと、私達が最後だね。』

『簡単には負ける気は無いからね。』

『そうだよね、4人がかりだしね。』

『よしっ、やるぞぉ。』


どうみても、やる気満々のように見えますが、君達が俺に勝ったら首輪を外せないと思うんですけど?


最後の4人は剣が2人と槍が2人だ。これは意外にやりにくいかも知れないな。


『それじゃあ、行くよー!』

『簡単に勝てると思わないでよ!』


剣と槍が一組になり、それが左右から襲いかかってくる。しかも随分と息がピッタリと合っている。


「随分とコンビネーションが上手いね。」


『そりゃ、私達4人は普段からパーティーを組んでいるからねぇ。』

『でも中々当たらないね、やるわね!』


なるほど、パーティー丸ごと誘拐されて奴隷にされたのか。どおりでコンビネーションが良い訳だ。なので、まずは左右どちらかを少し黙らせたいな。


「よし、こっちからだね。」


右側に飛び、目の前にいた冒険者の腹を蹴り、その後方にいた槍に向かってぶっ飛ばした。そして、その勢いで左側に向かって飛んだ。


油断していた左側の剣持ちと槍持ちの2人の首輪を破壊した。残りは右側の2人だけになったな。


『いたた、普通、女の子の腹を蹴るかなぁ?』


「普通の女の子になら蹴りを入れることは無いけどね。冒険者相手には遠慮しないよね。」


とはいっても全力の蹴りでは無いけどね。


『君、ちょっと酷く無い?』


「そんなことは無いと思うけど?」


残りの2人も問題なく首輪を破壊し、10人全員の奴隷を解除した。


………解除したんだが、


『10人もいて、1人相手に負けるなんて。』

『なんか自信が無くなるよね?』

『彼、なんなの? ちょっと強すぎよね?』


と若干落ち込んでいるようだな。もう少し手加減したほうが良かったのかな? でもそうすると首輪の破壊は難しかったかも知れないしね。


うん。仕方無かったわけだし、気にするのは止めよう。さて、マケーノのほうはどうなったのかな?


『お前ら、離せ。離さんか!儂を誰だと思っているんだ? くそっ、ランクD冒険者が10人もいたのに!』


微妙に冴えないオッサンが援軍の連中に捕まったようだ。どうやら、あれがマケーノのようだ。とりあえず、指名依頼は達成したかな。

読んで頂きありがとうございます。

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