0014:二人部屋になった
夕食を食べた後、宿屋の部屋が1人部屋から2人部屋に変更となった。そして、ちょうど、その2人部屋に俺とアイリーンがいる。
「確かに2人部屋だけど・・・女将さんめ、わざとだな・・・」
あの時、ニヤニヤしていたわけが分かったよ。この2人部屋のベッドは1つだけだった。そう、ベッドはダブルベッドだった。
「(こういう時って、どうやって会話をすればいいんだ?)」
3歳から入院していてまともに女性と会話したことがなかった。そんな俺がいきなりこんな美人と1つのベッドで二人きりになるという高いハードルを越えられるのか? というか、とてもハードルを越えられそうにもない。
しかし、改めてアイリーンをじっくりと見ると、身長は175cmの俺より少し小さいくらいだから170cmくらいか。髪は金髪で綺麗洗えばサラサラヘアーになるだろう。目の色は青。胸に関してはDカップはあるだろう。そして顔は確実に美人だ。
「あ~、え~と、明日から一緒にゴブリン討伐依頼を受けてもらうけど大丈夫?」
「(あぁ、俺は馬鹿か?アイリーンは戦闘奴隷だぞ。そんなの当たり前じゃないか。ダブルベッドの存在をかわすにしても、こんな会話しかできない自分を呪いたい。)」
『ご主人様、そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。普通にして下さい。』
「ごめん、あんまり女性と会話したことすら無くて・・・なんか2人きりだと、どうしても緊張しちゃうな・・・」
『え? そうなんですか?』
「……あぁ、そうなんだよ。だから、どうやって会話をすればいいのか良く分からないんだ。」
『そんなに無理しなくていいですよ。普通にしてくれれば。そのうち慣れますよ。』
「分かりました。努力します。ところでアイリーンって剣術スキルもあるよね? 剣も持ったほうがいいんじゃないの?」
『え? 私のスキルが見えてるんですか?』
「え? スキルって見えないものなの?」
『普通は奴隷契約していてもスキルまで見えないはずなんですけど・・・』
「だとすると、鑑定スキルのおかげだと思うよ。」
『ご主人様。アイテムボックスに、鑑定まで持っているなんて凄いですよ。逆にパーティーメンバーが私なんかで良いんですか?』
「え、もちろんだよ。アイリーンは、その、あの、綺麗だし・・・」
『え? そう・・・なんですか? えっと、そう言ってもらえると嬉しい・・・です。』
すると、コンコンと扉がノックされる音がした。ノックされた後、マーサがお湯の入った桶を持って来た。
『ここにお湯を置いておきますね。』
マーサはニッコリしながら急いで部屋から出ていった。マーサの笑顔はしっかりやれよ、と言っているように思えた。あとで色々と聞かれるかも知れないな。
『ご主人様、背中を拭きますので服を脱いでもらって良いですか?』
服を脱いでアイリーンに背中を拭いてもらう。背中を拭くと言っていたアイリーンだが、後ろから俺の前も拭いてくれた。アイリーンの胸が俺の背中に当たる。胸の感触が気持ち良かった。
「じゃ、じゃあ、つ、次はアイリーンの番だよな?」
『え? 奴隷には必要無いかと?』
「いや、俺はアイリーンのことを奴隷として扱うつもりは無いから。」
『ご主人様、ありがとうございます。そうしたら、すみませんが服を脱がしてもらえますか?』
「え、いいの?」
『はい。お願いします。』
アイリーンは左手が無いから自分では脱ぎにくいのだろう。アイリーンの指示に従って服を脱がしていく。凄く緊張して手が震える。そしてアイリーンの裸が目の前にある。思わず、じっと見つめてしまった。
『ご主人様、少し恥ずかしいので前からではなく後ろからからお願いします。』
アイリーンの服を全部脱がして拭こうとしたら後ろから拭けとの指示だった。
「あ、ごめん、そりゃそうだよね。」
後ろからアイリーンの背中を拭いていく。残念ながら前は拭かせてもらえなかった。
お湯の残りで髪を洗い、寝る準備が出来たが、アイリーンが
『ご主人様、先程も言いましたけど、私は床でも大丈夫ですよ。』
「いや、それじゃあ、わざわざ二人部屋を借りた意味が無いでしょ? 変なことはしないから、ちゃんとベッドで寝よう。」
『……はい。分かりました。ご一緒します。』
アイリーンって良い匂いがするな、と思っていたらアイリーンから
『ご主人様、私はあくまでも戦闘奴隷であって性奴隷じゃありませんからね?』
と釘を刺された。ただし、奴隷商からは、性奴隷じゃなくても、本人の了承が得られれば問題ありませんよ、と聞いている。
………………そんな日が本当に来るのか?




