0127:公爵家の屋敷に行く
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『ご主人様、おはようございます。』
どうやら今日は少し寝坊をしてしまったようで、俺が1番遅く起きたようだった。
『あれ? 旦那様が1番遅いって珍しいね。』
『でもレイさんが1番頑張っていたから仕方無いですよね。』
まぁ今日はギルドに行ったら休暇にする予定だから多少は遅い方が良いはずだ。中途半端に早くギルドに行くと依頼を探している冒険者達で混んでいる最中だからね。より良い依頼を獲得するために殺気立っているんだよな。
「今日はギルドに寄ったら休暇にする予定だけど、何処か行きたいところはある?」
『レイくん、この間行ったパフェのお店に行きたい!』
『『エリー、ナイス!』』
どうやら全員一致らしいね。皆、甘い物好きだね。
「分かったよ。じゃあ、ギルドに寄ったらパフェを食べに行こうか。」
『『やった~!! 早く行きますよ!!』』
ということで、朝食後にギルドへ向かった。アイリーン達に急かされながら。
『『早く! 早く!』』
ギルドに到着すると受付嬢が大声を上げて俺達を呼んだ。
『レイさん、レイさん。早くこっちに来て!』
昼前なので、あまり冒険者は多くないが恥ずかしいから大声で呼ぶのは勘弁して欲しいんだけど・・・
「あの、どうしましたか?」
『昨日、レイさん達から持ち込まれた武器防具なんですが、やはり行方不明になっていた冒険者達のものと判明しました。』
「………そうなんですか。残念ですね。」
『レイさんって優しいんですね。でも冒険者達は全て自己責任で行動していますから。』
「まぁ、それはそうなんですけどね。」
頭では理解しているつもりではあるが、慣れるまで時間が掛かりそうだ。
『それで、レイさん達が持ち帰ってきた武器防具ですが、レイさん達の物にすることも出来ますし遺族に返すことも出来ます。もしも、遺族に返す場合はギルドから多少の報酬が出ますが、どちらにしますか?』
受付嬢が少し真面目な顔をして俺に聞いてきた。元々遺族に返すつもりでいたので、今もその気持ちは変わらない。
「もちろん、遺族に返してあげて下さい。元々そのつもりでしたので。」
受付嬢の顔がにこやかな表情に戻った。
『分かりました。ありがとうございます。ご遺族の方々に代わってお礼を言いますね。ではギルドの方で責任持って遺族の方々に武器防具をお返ししておきますね。』
時には冒険者の遺族の相手もしないといけないのか。ギルドって結構大変なんだな。
『続きまして、指名依頼の達成報酬をお渡ししますね。中身の確認をお願いします。』
受付カウンターに布袋が置かれた。結構重そうな感じだ。確か、1人大金貨5枚だから全部で35枚のはずだ。
布袋の中身を確認すると大金貨が50枚入っている。何故か大金貨が15枚も増えている。
「当初の約束よりも大分多いようですけど何ででしょうか?」
『そうですよね。理由が分からないと気持ち悪いですよね。1つ目はレイさん達が持ち帰ってきた武器防具の中にエドワード公爵家の三男であるアレンシュ様の武器防具があったんですよ。それを返してくれたお礼に大金貨10枚が追加されました。』
なるほど。貴族でも三男くらいだと家督を継げる可能性も無いから冒険者にでもなるのかな。
『2つ目は、14階層に出現したアラクネを退治して頂いた特別報酬が大金貨5枚です。』
なるほどね。思わぬところで臨時収入が手に入ったな。
「分かりました。では有り難く報酬を受けとりますね。」
『あ、それとエドワード公爵が一度、レイさん達に直接お礼を言いたいと言ってきていますけど、どうしますか?』
どうしますか? と言われても貴族と会うのは面倒臭そうなので勘弁して欲しいな。でも拒否権ってあるのか?
「それって断ることは出来るんですか?」
『もちろん、断ることは出来ますがその後の結果は保証出来ませんよ。』
受付嬢はニッコリしながらキツいこと言ってきた。
「それって拒否権が無いって言ってるのと同じですよね?」
『あははは。まぁ、そうですよね。でもエドワード公爵はかなり気さくな方ですから大丈夫ですよ。』
本当なのかな? 今一信用出来ないんだけどな。でも、断ると後々面倒なことになるかも知れないしな。仕方が無い、嫌だけど行くしかないな。
「………分かりました。じゃあ明日でも大丈夫ですか?」
『えっと、本当は今日が良いんですけど、何か大事な用意でもあるんですか?』
「あ~、アイリーン達とパフェを食べに行こうかと・・・」
『・・・』
「………駄目ですかね?」
『………普通は貴族の依頼を優先するものかと思いますけど?』
受付嬢からもジト目をされるようになってしまった。これは断れないな。
「ゴメン。仕方無いから貴族のほうを優先しなくちゃいけないようだから、パフェは明日でも良い?」
『『パフェ2つで手を打ちますよ。』』
「………分かったけど太っても知らないよ。」
『『大丈夫です。パフェは別腹ですから。』』
そんなわけは無いだろう。まぁ冒険でカロリーはかなり消費するはずだし大丈夫だろうね。
受付嬢がパフェという言葉に反応した。
『ひょっとしたら、王都でも人気という噂のお店のパフェですか?』
『そうですよ。この間、レイさん達と食べに行ったんですよ。凄く美味しかったんですよ。』
『え~、いいなぁ。凄い行列が出来ているんですよね? 中々時間が取れなくて、まだ食べたことが無いんですよ。美味しかったんですかぁ・・・羨ましい・・・』
女性陣達のパフェ話で30分くらい経過してしまった。何故パフェだけでそんなに会話出来るのか理解出来ないな。
そろそろパフェ話を止めないとエドワード公爵のところに行けなくなるな。
「あの~、そろそろエドワード公爵のところに行きませんか?」
『あ、忘れてました。旦那様、さっさと公爵のところに行きましょうか。』
受付嬢からエドワード公爵の屋敷の場所を聞いてギルドを出た。久しぶりに貴族街に向かうことになった。
アイリーン達を引き連れて歩きでエドワード公爵の屋敷を目指している。今日は元々休暇の予定なので全員普段着だ。受付嬢にはそのままで大丈夫ですよ、とは言われたが。普段着ではあるが武器だけは携帯している。
貴族街の入口に到着すると、当然のように警備兵から立ち止まるように言われた。
『ここから先は貴族街になっているが、どなたに用事があるのかな?』
子供と女だけの集団だけに警備兵の言葉が柔らかいな。武器は持っているんだけどね。
「冒険者ギルドからエドワード公爵家に行くように言われて来ました。冒険者のレイと言います。」
『おぉ、君がレイか。話は伺っているよ。』
警備兵が笑顔で入口を通してくれた。以前来たときとは雲泥の差だな。
貴族街の一番奥にある一際大きな屋敷がエドワード公爵家の屋敷のようだ。さすがダンジョン都市を治めているだけのことはあるな。
公爵の屋敷前にも警備兵がいる。それもかなりの数だ。ぱっと見たところで10人はいる。
『きっと、あの門の奥にはもっと沢山の警備兵がいるんでしょうね、レイさん。』
気配探知を使うと門の中には30人くらいの気配が感じられる。当然屋敷の中にも警備兵はいるだろう。
「かなり厳重な警備だね。やっぱり領主様ともなると違うね。」
とりあえず、ここまで来たのだから、エドワード公爵に会うしかない。一番優しそうなおっちゃんに声を掛けた。
「スミマセン。エドワード公爵様から呼ばれて来た、冒険者のレイと言います。」
警備兵のおっちゃんが
『おぉ、お前さんがレイか。話しには聞いてるぞ。ちょっと上役に確認してくるから少し待っててくれ。』
おっちゃんが確認のために奥に行って、数分後に戻ってきた。
『確認出来たぞ。案内するから付いて来てくれ。』
おっちゃんに案内され、公爵家の屋敷内に入って行く。ヤバい、少し緊張してきた・・・




