0012:奴隷を購入しました
ギルドでもらった招待状を奴隷商のオッサンに渡した。オッサンはふむふむと言いながら紹介状を読んでいる。
「すみません。奴隷に関して何も知識が無いので出来れば、最初から教えて頂けると嬉しいのですが。」
『……分かりました。今日は他にお客もいませんので時間はありますから、何でもお聞きください。』
「ありがとうございます。ちなみに奴隷ってどんな人達何でしょうか?」
『まず奴隷には、借金奴隷、犯罪奴隷、特殊奴隷がいます。借金奴隷は借金が返済出来ずに奴隷になった者です。次に犯罪奴隷は犯罪を犯した者が奴隷になります。最後に特殊奴隷は戦争で負けた者がなる奴隷です。』
「戦争で負けて?」
『はい、戦争で負けた国の貴族や、その貴族の一族の娘とかが奴隷として売られます。』
「あぁ、なるほど。(厳しい世界だな)」
『次に、奴隷の種類ですが、一般奴隷、戦闘奴隷、性奴隷がいます。一般奴隷は家事全般、作業全般をする奴隷です。戦闘奴隷はその名の通り戦闘作業をする奴隷です。性奴隷はご存知の通りの奴隷です。』
おぉ、やっぱり性奴隷もいたか。正直、興味はある。年頃の男子だし。だが今の俺には性奴隷を買う余力なんて無い。
『最後に、奴隷を購入した主人には奴隷の衣食住を提供する義務があります。これを破ると奴隷は没収されます。あと奴隷の税金も主人持ちになります。』
それは当然だよな。特に問題は無い。
『お客様は冒険者であられるので、戦闘奴隷をお求めですかな?』
「はい。確かに冒険者なので、買うなら戦闘奴隷になると思います。ちなみに戦闘奴隷って、いくらくらいが相場になるんでしょうか?」
『正直、ピンキリですよ。五体満足で強い奴隷なら大金貨での購入ですな。あとは役割に応じても値段が変わりますね。ちなみに前衛のほうが高くなります。』
うお、大金貨ということは1000万単位ということか。とてもじゃないけど買えないな。諦めて帰ろうかと思った瞬間にオッサンが
『ただし、五体に欠損がある場合は、値段が大きく落ちます。それこそ大銀貨1枚で購入出来る奴隷もいます。よろしければ見てみますか?』
既にこちらの予算は読まれているようだ。おそらく会話の中での俺の表情から読み取ったんだろう。しかも絶妙なタイミングで俺を呼び止めたな。諦めかけた瞬間に購入出来るかもと期待させる。上手いな。
「そうですね。是非とも拝見させて欲しいです。あと、出来れば女性限定で前衛をお願いしたいです。」
とりあえず見るだけ見ておきたい。見るだけならタダだしね。それに今後の参考になるかも知れないしな。ただ、女性限定は譲れない。これは大事なことだ。野郎を仲間にするつもりは無い。
『分かりました。では、こちらへどうぞ。』
案内された部屋で数分待っていると、オッサンが奴隷を3人連れてきた。
オッサンが1人ずつ説明していく。
『1人目はヒューマンで16歳です。ご覧の通り右足がありません。しかし義足がありますので戦闘は可能です。大銀貨1枚となります。』
う~ん、義足かぁ。いざという時、走れなさそうなのは厳しいな。しかも義足の質も悪そうだな。
『2人目はハーフエルフで42歳です。ご覧の通り左手が肘から下がありません。ただ彼女は大盾を使いますので盾役なら問題無いです。大銀貨2枚となります。』
ハーフエルフかぁ。結構綺麗だな。有りかも知れないな。ファンタジーのエルフの耳とは違って特に耳が長いということも無く耳の先が少し尖っているだけだ。
『3人目は狼人属で21歳です。彼女は右目が負傷しておりますが戦闘能力は高いですよ。大銀貨8枚となります。』
こちらもファンタジー定番の獣耳娘だ。ただ片目が見えなくて本当に戦闘出来るのか?距離感が狂いそうだが。見た目はこっちも綺麗だ。
『どうでしょうか? お気に召す奴隷はおりましたでしょうか?』
「そうですね、2人目のハーフエルフの女性が気になりました。もし可能なら2人で話をさせてもらっても良いでしょうか?」
『もちろん、構いませんよ。では、この部屋をそのままお使い下さい。10分後にまた来ます。』
そう言ってオッサンはハーフエルフの女性だけを残し、他の奴隷達を連れて部屋を出た。
「あ、あの、初めまして。冒険者のレイと言います。名前を聞いてもいいですか?」
『……アイリーン、です。』
なんか、あまり友好的な雰囲気は無いな。なるほど、これが彼女が大銀貨2枚の理由かもな。この容姿と役割を考えると左手が無いくらいはそこまでのハンデじゃないはずだ。
「アイリーンさん、良かったら俺の奴隷になってくれないか? もちろん俺の奴隷になるということは一緒に戦闘をしてもらうことになるけどね。」
『………何故、そんなことを聞くの? 欲しければ買えばいいだけなのに。』
「偽善かも知れないけど、無理矢理というのは望んでいないからだね。」
『………1つ聞いていい? 何で私を選んだの?』
「正直、金が無いから購入出来る範囲の中でアイリーンさんが一番良かったから、ということになるかな。あとは盾使いなのも選んだ理由です。嫌なら諦めるよ。」
『………確かに、私は盾を使うけど、見ての通り左手が無いから攻撃が出来ないけど、それでもいいの?』
「もちろん。それでいいです。俺が攻撃しているときに守りをしてくれる人が欲しいんで。」
『……………分かった。あなたの奴隷でいい。』
なんと、俺の奴隷になってくれるとのことだ。ちょっとだけ嬉しいな。




