0101:今日も伐採作業
朝になった。今日は追加の丸太を取りに行く予定だ。まずはアイリーン達を起こすか。
「ほら、起きて仕事に行くぞ~。」
『『あ~、おはようございます・・・』』
とりあえず、締まりの無い顔をなんとかさせて、馬車から出て朝食を食べに行く。なんか、皆と一緒に食べるのが普通になってきたな。
昨日と同様に、ガンツ達が朝食の準備をしている。そして、その周囲を木こり達が集まり始めている。暫くすると、ガンツの準備完了の合図で一斉に木こり達が鍋に群がる。テレビでやっていた動物園の餌あげのシーンを思い出させる光景だな・・・
俺達も朝食をもらい、食べているとガテンがやって来た。
『お前さん達には、一昨日と同じように2手に別れて丸太伐採組と護衛組になって欲しいんだが大丈夫か?』
「もちろん、問題無いですよ。」
『なら、朝飯を食べたら、すぐに森に向かうからな。今回もよろしく頼むぞ。』
朝食後、早速、木こり30人、冒険者12人達と一緒に森に向かった。途中でモンスターと遭遇することもなく森に到着した。
「この辺はモンスターが少ないのかな?」
『森の奥のほうに行くとモンスターがそれなりに出てくるらしいぞ。』
ガテンが言うには、この森はかなり広いらしく、森の奥に行けば行くほど色々なモンスターがいるらしい。開拓村は街道の中衛地点だけでなく、この森のモンスターを討伐する冒険者達のための拠点にもしたいらしい。
『そういう訳でな、開拓村がちゃんと出来たら冒険者ギルドの支部も出来る予定らしいぞ。』
「なるほど。それなら開拓村が出来たら遊びに来たついでに森でモンスター討伐をするのも良いかも知れないね。」
『さてと、無駄話はここまでた。レイとジャンヌの二人はどんどん木を伐り倒してくれ。』
そう言われ、俺とジャンヌはそれぞれの武器で木を伐りまくり始めた。俺とジャンヌが木を伐り倒して、木こり達が枝を払うのがそれぞれの役目だ。そして俺が枝を払った木をアイテムボックスにしまっていく。
今日一緒に来た木こり達は一昨日とは別のメンバーなので、俺とジャンヌが武器で木を一刀両断するのを見るのは初めてだ。
『すげぇな。聞いてはいたが、この目で見ると違うな。』
『本当に武器で一刀両断出来るんだな・・・』
『しかも、次々と木を伐りまくってるよ。』
『あの二人、おかしいだろう?』
木こり達が驚きの声をあげている。そこへガテンが木こり達に声をかけた。
『お前ら、驚くのは分かるが自分達の仕事を進めろよな。』
木を伐りまくっているとレジーナから
『主様、森の奥から感じたことが無いモンスターの気配がする。』
このレジーナの言葉に、木こり達も作業の手を止めた。護衛の冒険者達もそれぞれ武器を手に持ち身構えた。
俺の気配探知スキルでもモンスターの気配を感じるがモンスターの姿が見えない。森の奥をじっと見ていると、森が動いている。鑑定してみると
〈鑑定〉
トレント x5
スキル:隠密
トレント x1
スキル:毒攻撃、解毒
「トレントだ。あの黒いトレント1匹には気を付けて。毒攻撃持ちだから。」
しまった。モンスター博士のサーラがいない。トレントがどのくらい強いのか分からないな。
『誰か、トレントのモンスターランクを知っている人はいますか?』
『すまんが、分からんな。』
『俺達も知らないな。』
どうやら、誰も分からないらしいな。仕方がない。
『………レイ様、トレントは火に弱いんじゃないですか?』
「確かに、木の姿だしね。試してみるか。」
トレント達の動きは鈍いのでファイヤボールがちょうど良さそうだ。ファイヤボールの準備をしていると
『え? お前さん、まさか火魔法まで使えるのか?』
どうやら、ギルドの個人情報には回復スキルが使えることまでしか書いてなかったようで、ガテンがビックリしている。
「まぁ、多少は使える程度ですけどね。」
と言って、野球のボールくらいまで圧縮したファイヤボールを毒攻撃持ちのトレントに向かって放った。
ドンッ
という重低音と共にファイヤボールはトレントの身体を突き抜け、ファイヤボールはさらに森の奥へで炸裂した。
ドドーンッ
ファイヤボールの炸裂した音がした後、数本の木が倒れる音も続いて聞こえてきた。
「え、なんで?」
まさか、ファイヤボールが突き抜けるとは思ってもいなかった。
『すげぇな、あり得ないな・・・』
『なんなの、あの威力は・・・』
『多少ってレベルじゃないだろう?』
『やり過ぎだろう・・・』
皆がボケっとしている間にジャンヌが残りのトレントを倒していた。
とりあえず、火事にならなかったようで一安心した後に、ガテンから怒られた。
『モンスターを倒すためとはいえ、あのファイヤボールは止めてくれ! 火事になっていたら大変なことになっていたぞ!』
「………はい。そうですよね。すみませんでした。」
ガテンに怒られた後、木の伐採作業に復帰し、黙々と木を伐り続けた。そして新しいスキルも獲得できた。
獲得した新しいスキルは
【毒攻撃】
【解毒】
【隠密】 x5
となる。隠密は役に立ちそうだが、毒攻撃は役に立つかどうかは不明だ。
木の伐採作業に没頭した結果、700本の木を伐採した。1本の木から丸太は5本作れるから丸太は3500本になった。
「これで、柵に必要な分は集まったかな?」
『あぁ、おそらく十分なはずだ。今日はこれくらいにして戻るか。』
小屋まで、戻ってきたら見回りをしていた冒険者が近寄ってきて
『なぁ、森のほうから爆発音が聞こえてきたんだけど、そっちは大丈夫だったのか?』
どうやらファイヤボールが炸裂した音が、ここまで聞こえたらしい。
『あぁ、その音のことなら、こっちの坊主に聞いてくれ。』
ガテンから説明を丸投げされた。そりゃ、俺のせいなんだけどさ。とりあえず、俺のファイヤボールが炸裂した音であることを説明した。圧縮する工夫のことは内緒だけど。
『マジか? ファイヤボールが炸裂したって、普通はあんな音は出ないだろ?』
『いやいや、そんなファイヤボールなんて存在しないだろ? 普通は。』
『どんだけ距離が離れていると思っているんだ?』
いや、本当のことなんですけど?
『というか、一緒に行ったお前達は見たんだろう? この坊主の言っていることは本当なのか?』
『あぁ、この坊主の言っていることは本当だ。あのファイヤボールは凄かったぞ。』
木こり達も冒険者達も、俺のことをじっと見ている。ちょっと勘弁して欲しいな。
『ほら、お前ら。レイが困ってるだろう。詮索するのはその辺にしておいて、さっさと夕飯を食べに行ってこい。』
ガンツから救いの手が出てきた。木こり達も冒険者達も
『まぁ、確かに。そんなに詮索するのもなんだしな。』
という事で、深く追及されることも無く助かった。
『ほら、レイ達も早く夕飯を食ってこいよ。』
ガンツも意外に良い奴だな。ちょっと見直したよ。感激だね。
ガンツに礼を言って、夕食を食べに行こうとしたところでガンツからの一言。
『姉御さん達が待っているからな。待っているってことをちゃんと伝えたからな。』
「は? 何を言っているの?」
『姉御さん達が待っているって言ったんだよ。ちゃんと伝えたぞ。』
「いや、聞いてない、聞こえていない・・・」
『………お前、聞こえているだろう。早く行かないと、姉御さん達にはレイが逃げたって言うからな。』
「くっ、汚いなぁ。」
先ほどはガンツを見直したが完全に俺の間違いだった。俺の感激を返せと言いたい。
『ほら、早く行ってこい。あまり待たせると、どうなっても知らんぞ。』
「くそっ、覚えていろよ。」
すると、姉御さんズの1人が通りかかった。
『おや、レイじゃないか。早くあっちに行くよ。』
こうなったら、ガンツも道連れにと思い
「あ、そう言えば、ガンツさんも一緒に行きたいって言ってますよ。」
『あ、レイ! てめぇ・・・』
『あ、ガンツを? あ~、ダメダメ。こんな、へなちょこは。』
『え? へなちょこ・・・』
『へなちょこだろ? へなちょこじゃなければ、へたれだな。』
『へ、へたれ・・・』
あ、ガンツが涙目だ。ちょっと悪いことをしたかな?
『ほら、レイ。さっさと行くよ。』
ガンツが項垂れているな。そして、今日も拷問の時間があるのか。仕事頑張ったはずなんだけどなぁ。
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