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第九十六話 芸は身を助ける

昨日は発熱により更新出来ませんでした

 そして時間は進み翌朝。いつものように友子と合流し学校へ。

 下駄箱を見た私は、自分の下駄箱に手をかけた友子の腕を掴み引き寄せました。


「誰かが開けたわね」


 扉に仕掛けた紙片が落ちています。誰か開けた証拠で、私だけではなく友子の下駄箱にも細工を為された可能性があります。


 私は鞄から2台の機械を取り出し、両方の機械を順に私と友子の下駄箱に当てました。


「金属反応と爆薬反応は無さそうね」


「遊、なにそれ?」


 不思議そうに機械を覗き込む友子。少し珍しい機械なので、友子が知らないのも無理はないでしょう。


「これ?金属探知機と爆薬探知機よ」


 答えながら機械を鞄に詰め込み、代わりに小型カメラと端末を出しました。下駄箱をわずかに開けて、カメラを中に入れます。映し出された上履きには、粉末が山盛りで載せられていました。


「何かの粉ね、何かしら」


「これは・・・七味唐辛子ね。迂闊に開けたら飛び散ってくしゃみの嵐だったわ」


 カメラを取り出し、友子の下駄箱もチェックしました。こちらは異常が無かった為、カメラを鞄にしまいます。


「画鋲を入れるとか水浸しというのはよくあるけど、七味唐辛子は斬新ね」


 彼女らも、何か新機軸を取り入れたかったのでしょう。オリジナリティは大切です。


 鞄から上履きを出して履き、教室へ向かいます。あの下駄箱、そのままにしたら明日のイタズラを仕込みに来た犯人が唐辛子を浴びるのでしょうか。


「でも遊、前に私の鞄に呆れてたけど遊の鞄の中も面白いわね」


 確かに、金属探知機や爆発物探知機を持って登校する女子高生はちょっと珍しいかもしれません。


「前に作ったのを持ってきたのよ。手作りだけど、白瀬火薬からC4まで、中々の範囲の火薬を検知できるわよ。性能はSWATで実証済みだから心配ないわ」


 お母さんの知り合いが、評価試験に協力してくれました。安心と実績には自信があります。


「・・・どんなコネでSWATなんて」


 それは企業秘密ということで。なんて話しているうちに教室へつきました。昨日同様に無視されましたが、足を出す生徒は居ませんでした。無駄だと学習してくれたようです。


「これはテンプレね」


「黒一色ってのは芸が無いわね。カラーペンを使う位の芸が欲しかったわ」


 足の代わりということではないのでしょうけど、私の机には黒いペンで一杯に落書きがされていました。周囲ではクスクスと笑い声が上がります。


 友子が睨むけど、お構い無しです。私は慌てずに鞄から大きな黒い布を取り出しました。何が始まるのかと注目される中、無言で表と裏を友子に見せます。


「遊、何をするの?」


 私の行動を図りかねた友子が質問しましたが、答えずに布を机に掛けます。


「ワン・ツー・スリー!」


 掛け声と同時に布を取ると、机の落書きは綺麗さっぱり無くなっていました。左手に布を持ち、右手を胸の前にやって優雅に礼をします。


 教室中から拍手が響きました。無視する事を忘れる程に驚いたようです。


「遊、超能力持ってたの?」


「そんな訳ないでしょ。先生来るわよ」


 興奮した友子をあしらい、鞄を机に掛けて席に座ります。友子は渋々席につきました。


 ちなみに先ほどの芸当、布に仕込んだ高性能洗剤で汚れを落としただけです。布を引いたときにさりげなく机を拭きました。

 悟られないように素早くするのにちょっと練習がいりますが、慣れれば誰でもできると思います。


 HRは何事もなく終わり、悔しそうなクラスメートの視線を浴びながら授業を受けました。いじめが不発に終わり、私の手品に思わず拍手してしまったのがかなり悔しいみたい。


 直に手を出される事はなく、物に当たろうにも本人が居ては出来ず、平穏に一日が過ぎて家に帰りました。

 家に帰った私は、台本を読みながらうつらうつらと寝かけてしまいました。しかし、騒がしい足音で無理矢理覚醒させられます。


「お姉ちゃん、ラジオ聞いた?!」


 ノックもせずに飛び込んできた由紀。慌てて台本を座布団の下に隠して事なきを得ました。


「由紀、帰る早々どうしたの?」


 聞いてから思い出しました。いじめを受けてる発言をしたラジオは今日放送です。それが原因なのでしょう。


「ユウリさんがイジメ受けてるって!許せないわよね!」


 予想通りラジオが原因でしたが、番組は更新されてさほど間がない筈です。まだ部活中の筈の由紀は、どうやって聞いたのでしょう?


「由紀、落ち着いて。この時間は部活の最中ではなかった?」


 落ち着かせるためにも質問してみます。由紀は顔を真っ赤にしたまま答えました。


「部活どころじゃないわよ。皆あれを聞いて、部活なんてやってられないって大騒ぎで中止になったわ!」


 皆大騒ぎということは、部活の最中にラジオを聞いていたのでしょうか。


「由紀、部活の練習中にラジオ流してるの?」


「まさか、そんな事するわけないわよ!」


 きっぱりと否定されました。それでは辻褄が合わないのですが、どういう事なのでしょう。


「練習中断して聞いてるわよ。ユウリさんの番組を片手間に聞くなんてとんでもないわ!」


 練習よりも、ラジオが優先のようです。顧問の先生に文句を言われないのでしょうか。


「そんな事して、顧問の先生に怒られない?」


「大丈夫、先生も聞いてるから。私の布教の成果よ!」


 誇らしげに威張る由紀。リスナーを増やしてくれるのは有りがたいのですが、布教って・・・


 何だかそこに突っ込むのは危ない気がします。全力でスルーすることにしましょう。


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