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第八話 初アフレコ

 ガラスの向こうでスタッフが合図をすると、正面のモニターに映像が出ます。アフレコの始まりです。

 始まりはモノローグ。リンの回想からです。転生したリンが、状況を整理して転生した事を自覚します。


 その後、メイドさんのマーサさんや兄のルーベルトとの絡みで一話目の収録は終了しました。


「はい、オッケーです!」


「お疲れ様!上手かったわよ!」


 一緒に声を宛てた声優さんたちが誉めてくれました。セリフを読んだだけなのに、疲労感がすごいです。自覚はありませんでしたが、かなり緊張していたようです。


「お疲れ様。とても初めてとは思えなかったわ」


 待ち構えていた桶川さんが、満面の笑顔で迎えてくれました。


「思ったよりも緊張しました。絵があってこれじゃ、口だけだったらもっと大変じゃないかしら」


 セリフの録音(アフレコ)の時は、画面のアニメを見ながら声を入れます。しかし、製作の都合で絵が間に合わない場合もあるのです。

 その場合は口だけの絵を映し、それにセリフを宛てていくのですが、それだとタイミングも掴みにくい上にキャラの表情も出ていないので感情を込めにくいと妹が説明してくれた事がありました。


 少しの休憩を挟み、二話目の収録。この時点でのロザリオは幼女なので、舌足らずな言い回しに少し苦労しました。だけど、何とかNGを出さずにやりきる事が出来ました。


「お疲れ様でした!」


「お疲れ様でした!打ち上げやろ、ユウリちゃんのデビューを祝って」


「よっしゃ!行こうか!」


 え?私の為に打ち上げですか?豪華声優陣とプライベートで宴会なんて、重度のアニメ好きな妹や親友にバレたら命がないかもしれません。


「ユウリちゃんも来るよね?いや、来なさい!」


「え?ちょっと、桶川さ~ん!」


 有無を言わさず近くの居酒屋さんに連行されました。これって、今日二度目の誘拐?

 結局、私を含めた声優が全員と、一部を除いたスタッフさんが集まりました。来なかったスタッフさんは、監督さんと一緒にスタジオで仕事です。

 仕上がりをチェックし、問題点が無いかの確認をするそうです。そのプロ意識に敬意を表しますけど、巻き込まれたスタッフさんの怨念が凄かったのですが大丈夫でしょうか?


 まあ、それを私が心配してもどうしようもないので、今は打ち上げに専念することにしましょう。

 まだ高校生にもなってない私は、当然の事ながら飲み会なんて初めての参加です。飲み会におけるルールやマナーなんて知りません。


 しかし、参加する以上は知らないではすみません。いざとなったら事情を話して教えを乞うのが正解でしょう。最後の手段として、桶川さんに助けてもらうという手だてもあります。

 私を引きずり込んだのは桶川さんなのだから、責任はちゃんと取って貰いましょう。


 私を取り囲んだ一団は、どこにでもありそうな大手居酒屋チェーン店の暖簾をくぐるのでした。

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