おまけ
「さあ、説明してもらいましょうか?」
「な、何の事かなぁ?」
テニスの大会に出場する為に海外へ遠征に出ていた少女、北本由紀は久し振りに登校した学校でクラスメートに囲まれてしまった。
「まさか白を切れるとは思っていないわよね?由紀のお姉さん、北本遊さんがユウリさんだっていう話よ!」
「あははは、あの裁判の結末、皆んな知って」
「「「「むしろ何故知らないと思うのか!」」」」
発言の途中でクラスメートからの総ツッコミを受ける由紀。日本中の注目を集めた裁判である。知らない人間の方が少ないのではなかろうか。
「お姉ちゃんから口止めされていたけど、それは間違いないわ。これ証拠ね」
由紀が取り出したスマホのホーム画像はユウリ姿の姉と写したツーショットのなっていた。今までは正体を隠すため大っぴらに出来なかったが、公表した今ならば堂々と晒す古都が出来る。
「ユウリさんと一つ屋根の下で暮らすとか・・・」
「ちょっ、ユウリさんの抱きつくなんてうらや・・・けしからん行いを!」
由紀がスライドさせて表示した画像ではユウリ姿の遊と由紀が仲睦まじげに触れ合っていた。あまり露出したがらないユウリのプライベート映像。ユウリのファンであるクラスメート達が欲しがるのは当然の事であった。
「由紀、そのデータ私にも頂戴!」
「俺にもくれ!」
「当然私にもくれるわよね?」
我も我もと口にするクラスメートで教室内は収集の付かない騒ぎとなってしまった。
「ちょっと待って、もうすぐ先生が来るからその話は後で」
「そんな事言わないで、もう少しだけ!」
「ダメだって。先生に怒られ・・・え?」
先生がもうすぐ来るという由紀の発言は間違えていた。何故ならば先生は既に教室に来ていて、最後の懇願を行ったのが担任の先生その人だったのだ。
そして由紀がユウリの写真を大量に保有しているという情報は瞬く間に校内に広がり、由紀は写真をねだる生徒や先生との鬼ごっこに興じる琴となるのであった。




