第四百十七話 久々の登校
一時その影響で芸能界もゴタゴタしましたが、素早い桶川プロの対応によりすぐに落ち着きを取り戻しました。そんなこんなで世間も落ち着き、報道陣も家から撤退したので帰る事となり久々に学校にも登校します。
私はホテルから直接登校して放課後に家へ帰るので両親とは別行動となります。由紀は海外遠征中なので既に別行動となっています。
久々に登校した教室には、HR30分前だというのに全員が登校していました。クラスメートは皆興奮しているように見えます。
「いい、遊が来たら全員で『お帰りなさい』って迎えるわよ!」
「「「「「イエス、マム!」」」」」
友子の音頭に、クラスの全員が声を揃えて答えます。10分経ち、20分が過ぎ。全員がドアを注視しています。
「遊、来ないわね。今日じゃなく明日だったかしら?」
「今日で合ってるわよ」
私の再登校日を間違えたかと不安がる友子に、間違えていないと太鼓判を押します。
「遊が言うなら間違いないわね。でも、来るの遅いわね」
友子さん、自分の発言の矛盾に気付いていないようです。そうこうしているうちに予鈴が鳴り先生が来ました。
「HR始めるぞ。久々に全員が揃ったな」
長く休んでいた事は申し訳なく思いますが、ああしなければ学校がマスコミに囲まれて授業に支障を来していたでしょう。なので不可抗力なのです。
「先生、北本さんがまだです!」
「おいおい、何を言っている?北本ならちゃんと着席しているぞ?」
クラスの全員がこちらを凝視しました。私の気配遮断もかなり熟達してきたみたいです。
「遊、いつから居たのよ!」
「皆が来る前からよ。校長先生への挨拶もあったし、野次馬対策に早めに来たのよ」
友子の呟きにもちゃんと答えました。それを認識出来なかったのは友子の責任なので、私を責められても困ります。
「本当かよ、気付かなかった」
「ずっと待ってた私達って・・・」
気配察知を鍛えていれば気付いた筈です。しかしこのクラスには気配察知を鍛えていた人はいなかったようです。
「とりあえずHRやるぞ。話はその後だ」
簡単に連絡事項を先生が話すHRをすぐに終わらせ、私は先生含めた全員に囲まれました。
「まずは心配かけてごめんなさい。友子から話は聞いたかしら?」
「おおよそは聞いたわ。私達は出来るだけ遊を特別扱いしないし、協力するつもりよ」
「里美、ありがとう」
友子から電話で聞いていましたが、直接聞くのはまた違った感慨があるのです。
「ほらほら、1時間目始まるぞ。特別扱いはしない、だろ」
先生が手を叩いて皆に注意を促しましごく普通の女子高生の生活が、また始まります。




