第三百九十八話 避難場所
「それはそうと、土呂刑事はどうしたの?監視役のはずなのでは?」
土呂刑事ですか?確か一緒に家を出て、友子と合流した時に影から監視すると少し離れました。授業中学内に入る訳にはいかないので近くで待機となっていたはず。
あら、学校出る時に塀を越えて、マスコミのお姉さんに遭遇して振り切って・・・
「すっかり忘れてました。まあ、今日は朝霞さんと絡む仕事は無かったから大丈夫ですよ」
そこが救いでした。もしも朝霞さんと会う機会を潰したとなったら、どれだけ恨まれる事になるやら。
「ユウリちゃん、顔が青いわよ?」
「ちょっと嫌な空想を・・・」
大丈夫、私はシマリスの友達がいるラッコではありません。ポジティブに行きましょう!
気を取り直してお母さんに電話します。一応年頃の女の子なので無断外泊はせずに事情を話して許可を取ります。
「お母さん、まだマスコミいるかしら?」
「一山いくらで売りに出せる程いるわよ」
ああ、予想して通りです。帰らなくて正解みたいです。予想してはいましたが帰れないので、外泊の許可を取りましょう。
「家に帰ると張り付かれてしまうから、ユウリのまま桶川プロに泊まり込むわ」
「それが最良ね、桶川社長によろしくね」
これで外泊許可は取れました。学校は明日休むと校長先生に電話で言いましょう。学校に行けばマスコミに捕まるでしょうから、家に帰らない意味が無くなります。
「外泊の許可は取れました。ほとぼりが冷めるまで帰れません」
「事務所に仮眠スペースはあるけど、連泊するならちゃんとしたホテルをとるわ」
近くに手頃なホテルがあるそうです。そこに電話で予約を入れて泊まることになりました。そこは看板も出ておらず、一見普通のオフィスビルにしか見えません。
「ここ、ですか?」
「そうよ、ここはいわくありな客が泊まるホテルなのよ」
スモークで中が見えなくなってる自動ドアを通ると、喫茶店のような内装でした。入ってきた私達を見てスーツを着たダンディなおじさまが近寄ります。
「予約をした桶川よ」
「お待ちしておりまさた。一名様ですね、こちらが鍵となります」
777と刻印された鍵を受け取り店の奥にあったエレベーターへ乗り込みます。訝しげな私に桶川さんが説明してくれました。
「ここはお忍びの芸能人や有名人、缶詰にされる作家専用のホテルよ。会員と紹介された者以外は利用出来ないし、マスコミは絶対に来ないわ」
一般人には知られない、裏の世界御用達のホテルらしいです。当然、誰かとすれ違うような事があっても互いに口外無用です。
それを破ればここを利用する会員からの激しい報復に晒されるのだとか。会員はあらゆるジャンルに居るので、報復されれば社会的に生き残る事は出来ないそうです。




