表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
416/444

第三百九十六話 逃避行

 お姉さんは携帯式のレコーダーを取り出しました。マスコミ関係者のようです。


 あの雑誌の例もあるので迂闊な取材は受けれません。ユウリなら「取材は事務所を通して」と避けられるのですが、遊ではその手は使えません。ここはやはり三十六計走為上、即ち逃げるが勝ちです。


「あっ、ちょっと待って!」


 待てと言われて待つ人はいません。猛ダッシュで反対側へ走り出します。路地を曲がりに曲がってお姉さんを撒く事に成功しました。かなり遠回りになりましたが、何とか駅に到着です。


 こちらから名乗っていないのに私が北本遊だとあのお姉さんは知っていました。遊の顔はマスコミ関係者に割れていると判断した方が良さそうです。


 予定では直接桶川プロに行く事になっていましたが、状況の変化に鑑み一旦家に帰る事にします。


「こっちも張られてるわねぇ」


 うちの両親は有名人なので、当然家の所在も知られています。そんな場所に取材が来ないはずあるでしょうか?家でユウリになって軽く変装をと思っていましたが、私が甘かったようです。


 家もダメで事務所も多分マスコミが張り付いているでしょう。となると、私が着替える事が出来る場所はあと一つしかありません。


 時間がかかりそうで気が乗らないのですが、後がありません。頼みの綱のお店に電話して、これから行くことと着替えの準備をお願いしました。


 通りでタクシーを捕まえて目的の場所を告げます。到着までに桶川さんに電話をして、マスコミが張っているので家と事務所に近付けない事を伝えました。


「それじゃ私も今から向かうわ」


「お願いします」


 連絡を終えると同時に目当てのお店、深谷服飾店に到着しました。タクシーを降り、念のため周囲にマスコミが居ない事を確認してからお店に入ります。


「遊ちゃん、大変な目にあったわね!」


「ふ、深谷さん、苦しい!」


 入るなりきつく抱きしめられました。窒息して意識を失う前にツボを突いて麻痺させ腕から脱出します。「誰にも突ける人体の急所」で学んだ事が役に立ちました。


 著者の秀さんは昔の人だそうです。なんでもかんざし職人だったとか。


「あら町子、ハシビロコウの真似?」


 到着した桶川さんが動かない深谷さんを見ての第一声がこれでした。深谷さんが動かない理由を説明します。


「抱きつかれて窒息しそうだったので、ツボを突いて麻痺してもらいました。今解除します」


 解穴のツボを突いて効果を解除します。動ける事に気付いた深谷さんは手足を動かして異常が無い事を確かめていました。


「全然動けなかった・・・遊ちゃん、怖い子!」


 長寿漫画のネタはいいです。用件に入りましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 自宅も学校もマスコミにやってこられるのは厄介ですよねえ。 マスコミは次の数字が取れるネタを見つけるまでは延々と追いかけてくる 事がありますからねえ。 どうでもいいネタですら延々と。 […
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ