表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
401/444

第三百八十一話 お手伝い

「お父さん、そろそろお仕事の時間よ?」


「はあ、締め切り近いから仕方ないか」


 お母さんに呼ばれ、ソファーから起き上がり仕事部屋に向かうお父さん。次いで私と由紀も呼ばれました。言われていたお手伝いの事かと思われます。


「遊と由紀はこっちね。2人でお父さんのイメージを膨らますのよ」


 お母さんに誘われた私達の行く先は仕事部屋の隣の部屋でした。何だか嫌な予感がするのですが、否やと言う訳にもいきません。


 そして20分後


「お姉ちゃん、諦めなって」


「この姿はちょっと・・・」


「家族しか居ないのだから観念しなさい」


 お母さんと由紀に引っ張られて仕事部屋へ入ります。私の小さな抵抗は何の実も結ぶ事はありませんでした。


「おっ、みんな似合ってるな!」


「今度はどんな作品書いてるのよ・・・」


 お母さんと由紀、私はお父さんの小説のキャラクターに扮してます。その格好にはツッコミどころしかありません。


 お母さんはメイド服を着たネコミミに尻尾装備の猫獣人。由紀はレディーススーツにネコミミ尻尾装備。猫獣人のビジネスウーマンでしょうか。私は尖った耳にビジネススーツです。エルフのビジネスウーマンかな?


 これらのキャラが出る小説なんて想像もつきません。現代ものなのかファンタジーなのかはっきりしません。ちなみにお父さんは普通のビジネススーツ姿です。あれも登場人物の仮装のはずですが、どう見てもビジネス街野サラリーマンです。


「主人公が異世界でお金を作る話なんだけどね。本当は遊と由紀の役柄は9才の秘書さんなんだ。」


「そんな小さな子にモデル頼む訳にはいかないのよねぇ」


 お父さん、お母さん、それ以前に9才の子に秘書は務まらないと思います。というツッコミは創作の物語にはイミガナイので飲み込みます。


「お父さん、話は頼んだわよ。遊と由紀は指定したポーズをお願いね!」


 その後、夕方までお父さんは机の前にかかりきりとなりました。私達はお母さんに言われたポーズをとります。


「お姉ちゃん、姿勢を保つのって苦しいのね・・・」


「同じ姿勢でいるのは見た目よりも辛いのよ。だからモデルの報酬は高額になるの」


 写真ならまだしも、写生のモデルは長時間同じ姿勢を求められ動く事は出来ません。手足をどこかに固定出来るポーズならばまだ楽なのですが、空中で止めるポーズはかなり負担がかかります。


「お姉ちゃん、余裕ね・・・」


「声優やってれば写真撮影なんていくらでもやるわよ」


 取材による撮影でもう慣れました。不本意ですけど。


 モデル役も終わり普通の服に着替えます。外を見ると、変わらず見渡す限りの銀世界が広がっていました。


「交通は完全に麻痺してるみたいよ」


 ニュースでは除雪が進まない新宿駅前が映っていました。積雪に弱いのは都心の弱点ですが、対策はされていないようです。


「困ったわね、今日予約したケーキ買えるかしら?」


 お母さん、心配する所そこですか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] お母さんはメイド服を着たネコミミに尻尾装備の猫獣人。 由紀ちゃんがレディーススーツにネコミミ尻尾装備。猫獣人のビジネスウーマン。 遊ちゃんがエルフのビジネスウーマンかぁ。 イメージが膨らむ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ