第三百七十話 再戦
「それは置いといて、次はどうしよう?」
由紀はあからさまに話題を変えてきました。まあ、そう拘る話題でもないので乗っておきましょう。
「さっき勝てなかった『ギャラクシー3』か、『フューチャーウォーズ』をもう1回かな?」
ギャラクシー3が重戦闘機のアトラクションで、フューチャーウォーズが銃での撃ち合いのアトラクションです。どちらも再挑戦したかったので提案しました。
「ここからだとフューチャーウォーズ方が近いわ。そっちに行きましょう」
現在位置から近いフューチャーウォーズに再挑戦することになりました。十人以上が並んでいたので最後尾に並びます。
「あの、すいません」
由紀と列に並んでいると、後ろに並んだ女の子2人連れから声をかけられました。一人はポニーテールの活発そうな子で、もう一人は肩までの髪に眼鏡をかけた大人しそうな子でした。
「間違えていたらすいません、テニスの北本由紀さんですよね?」
「はい、そうですけど」
由紀が答えた瞬間、ポニーテールの子が歓声をあげました。どうやら由紀の事を知っているようです。
「やっぱり!私もテニスやってて、北本さんに憧れているんです。握手お願いします!」
「は、はい・・・」
まだ学生だし世間からの注目は低いのですが、由紀は中学テニスのトッププレイヤーでその筋では有名人です。こういう事も時々起こります。由紀は毎回戸惑っていますが、いい加減慣れなけれぱなりません。
待ち時間中、2人はテニス談義で盛り上がっていました。私と相手の連れの人はおいてけ堀状態です。由紀が楽しそうなので構わないのですが。
中に入り、前回と同じ説明を受けました。前回同様装備を装着して、いざ戦場へ向かいます。
「私達がバックアップします、由紀さんは前進してください!」
知り合った2人は由紀と共に強襲することとなりました。私は一人単独行動を取る事になりそうです。
「行くわよ!」
「「「ジェットス○リームアタック!」」」
3人縦に並んで突入して行きましたが、あれでバックアップとか出来るのでしょうか。でもまあ、敵の目を引き付けるでしょうから私は地味に潜入するとしましょう。
『お姉ちゃん、潜入ミッションには段ボールが必需品よ!』
はっ、由紀の声が聞こえたような気がします。幻聴でしょうか。出来るだけ気配を殺し、接敵しないよう注意します。どうしても避けれない敵だけ物陰から狙撃しましょう。
「うわっ、何処から撃たれたんだ?」
狙撃した相手がキョロキョロしていますが、私は既に移動しています。撃ったら即移動は基本です。無事に敵の本拠地近くまで潜入出来ました。しかし、居残ってる人がいてこれ以上は侵入出来そうにありません。少し様子を窺いましょう。




