第三百六十九話 キルリアン写真
お好み焼きは・・・料理としては美味しかったと断言出来る味でした。ただ、普通にお好み焼きを期待した私としてはがっかりしたと言わざるを得ません。ちゃんと幟を見ていなかったのが悪いと言われたらそれまでなのですが。
「ふう、お腹一杯。すぐに動くのは辛いわね。・・・そうだ、写真撮ろう!」
「写真?プリクラならここで撮らなくても・・・」
観光地にはご当地フレームがあるみたいな話は聞いた事がありますが、ここにもそういったご当地プリクラが設置されているのでしょうか。
「プリクラじゃないわよ、面白い写真を撮れるの!」
由紀に引っ張って連れていかれた写真館。その幟には知識としては知っていましたが普通なら聞くこともない言葉が書かれていました。
「キルリアン写真・・・そんな物が撮れるって凄いわねぇ」
「流石お姉ちゃん、キルリアン写真を知ってるんだね!」
生き物が持つ生命力。オーラとも言われる不思議エネルギーを写すのがキルリアン写真だと言われています。
普通に木の葉を写すと葉っぱの周囲が光った写真になり、その葉っぱの先端を千切り写真を撮ると無くなった葉っぱの形に光が残った写真となります。
欠損しても、暫くは生体エネルギーは残存するそうで、それを写すのがキルリアン写真というものです。
「はいっ、写しますよ」
まずは由紀から撮影します。キルリアン写真といっても普通の写真撮影と全く変わりません。係のお姉さんがごく普通にシャッターを押して撮影は終わりました。
「次はお姉ちゃんね。お姉ちゃんなら何か面白い物が写りそう!」
期待している由紀には悪いのですが、由紀と変わらないと思います。でも、折角だから気を集中して写ってみようと努力しました。
「はいっ、チーズ!」
5分ほど待って出来上がった写真を受け取ろうとしたのですが、係のお姉さんが何とも言えない顔をしています。
「お客様、念のため弁解しますが機材は故障していませんでしたからね」
何故か店員さんに言い訳されました。貰った写真を見てみると、画面はほぼ真っ白で薄いシルエットで人がいるのが微かにわかる程度の写真でした。
「お姉ちゃん、何をやったの?普通はこうよ?」
由紀が写った写真を見せてもらうと、普通に写った由紀の周囲が微かに発光していました。普通はこのように写る物で、光の強さや厚みに多少の個人差が出る違いが出るらしいです。
「ちょっと気合いを入れてみただけだよ?」
この間の映画撮影で気功を使った格闘家の技をコピー出来たので、少しオーラが強くなっている可能性はありますが誤差の範囲に収まっているでしょう。
「お姉ちゃん、一体何処に向かってるの?そのうち『強い強敵に会いに行く』って旅に出そうで怖いわ」
「由紀は私を何だと思ってるのかな?」
私はごく普通の女子高生です。そんな戦闘狂のような行動は取りませんし出来ません。




