第三百六十七話 宇宙戦争
目の前に宇宙空間が広がります。後方に流れていく星々に紛れて小さな光点が接近してきました。
「敵編隊接近、各砲座は応戦せよ!」
小さい光点だった物が次第に大きくなって戦闘機の形となります。私達は次々と現れる敵に照準を合わせてビームを乱射していきました。
「敵編隊の排除に成功、要塞に突っ込むぞ!」
敵が出なくなると同時にアナウンスが流れ、遠くに見えていた要塞が徐々に大きくなります。しかし要塞からの迎撃は激しく、中々次のステージの進めません。
「チッ、今回はヘボが多いな。ダメかもしれん」
隣の砲座に座る男性が呟きました。私は何を言っているのか分からず敵を撃ちながらも首を捻ります。
「お姉ちゃん、そこのコンソールにあるメーターが竜騎士のエネルギーなの。ダメージを受けると減っていって、ゼロになると撃墜になるわ」
「いくらここが善戦しても、他がダメならクリア出来ないのさ。しかしあんたらいい腕してるねぇ。もうCランクかよ」
由紀の説明を聞いたのか、男性が捕捉説明してくました。しかしCランクとは何でしょう?
「コンソールに個人の成績も表示されるのよ。撃墜数に応じて個人ランクが上がるだけど、お姉ちゃんはもうCランクね」
全体での成績とは別に個人の成績もちゃんと評価されるようです。自分の腕前が分かる形で評価されるというのはやり甲斐がありますね。
「敵防衛隊接近!迎撃せよ!」
敵を全滅させて一段落と思いきや、また敵が大量に現れました。見敵必殺の精神で全機撃ち落としてあげましょう。
襲い来る敵をひたすら撃ちます。由紀と左に座る男性は片端から敵を撃っていますが、その他の人達の命中率が低いように思えます。
「おっと、もうレッドゾーンか。残念ながら今回はクリアは無理そうだな」
男性の叫びにパネルを見れば、エネルギーはかなり少なくなっていて表示が赤になっていました。
「これより敵要塞に突入する、総員耐ショック姿勢!」
いつのまに空いたのか、要塞に大きな破孔が出来ていてそこに向かって突っ込んでいきます。どうやらこの戦いも終盤に差し掛かったようです。
「あのシャッターを破れば中枢だ、ファイヤー!」
行く手を阻んでいた銀色のシャッターが、閃光と同時に吹き飛びました。全方位のスクリーンでは綺麗なクリスタルが自転しながら自機の周囲を周っています。
「周囲に展開しているのが制御クリスタルだ!これを全て破壊しろ!」
ドーナッツ型の中枢部の周りをクリスタルのような機械が50ほど周回しています。レーザーを撃ち込んでいると段々赤くなっていき、しまいには爆発して消えていきました。
「流れてくる数が多い!」
「消しきれないわ!」
私と由紀、隣の男性でかなりの弾を集中しましたが、3人が奮闘したところで全て破壊できるほど簡単ではありませんでした。
その後、スクリーンが暗転し要塞の外観が映し出ました。




