第三百六十六話 宇宙戦闘機
全員がブリーフィングルームに戻り、荷物を置いた場所に並びます。この後勝敗が発表されるようで、全員が係員の女性に注目しています。
「今回の戦いでは、ヘッドクオーターは破壊されませんでした。しかし、ポイント判定により、青チームの勝利となります。皆様、装備を戻して退場してください」
劣勢に見えましたが、何とか勝てたようです。勝利に湧く青チームに対し、赤チームの面々は悔しそうです。私達はジャケットと銃を置いて出口から出ました。
「次は私達も攻撃に行きたいなぁ」
「そうね、後でまたやりに来ましょう」
貰ったチケットが1日フリーパスなので何回でも挑戦出来るのです。施設の終了時間まで目一杯楽しまさせてもらいましょう。
「次は宇宙戦争しようか?」
次はではなく、次もだと突っ込みを入れたくなります。ここに来てから戦ってばかりなのですから。剣での射撃と光線銃での白兵戦を戦いました。次は何で戦うのでしょう。
私はここのイベントを知らないので、由紀の判断に従いついて行きます。目当てのアトラクションらしい大きなテントに出来た行列に並びます。列はすぐにはけて、先程のイベントのような待機場所に案内されました。すぐにモニターがつき説明が始まります。
「我が人類は敗北寸前である。この状況を覆すため、諸君には重戦闘機『竜騎士』に乗り込み敵要塞を撃破して欲しい。人類の運命はこの1戦にかかっている。健闘を祈る!」
画面に映った司令官らしき軍人さんから作戦を指示されました。戦闘機1機で要塞撃破しろという無茶振りをされたのです。
さて、ここで問題です。一度に参加するプレイヤーは50人。でも、出撃する戦闘機は1機しかありません。どうしてでしょう?
その答えは・・・1機の戦闘機の背中に、円形に50の砲座があるからでした。
「50の砲座があるって、戦闘機のカテゴリーに入るのかしら?」
「お姉ちゃん、それは言わないお約束よ」
地球上の話ではないし、考えるだけ無駄かもしれません。なんて話しながらも係員さんの誘導で砲座に座ります。
円形に配置された座席の前には同じく円形になったスクリーンが設置されています。シートベルトを着けて目の前の把手を動かすと、スクリーンのターゲットが動きました。これで照準を着けて撃つようです。
「搭乗員の配置を完了。重戦闘機『竜騎士』、発進準備!」
アナウンスと共にモニターに格納庫内部らしい映像が映ります。あちこちから感嘆の声が漏れました。
「お姉ちゃん、こっちが正面みたいだよ!」
私達の前には大型ハッチがゆっくりと動く映像が表示されています。ハッチが完全に開くと、控えめに響いていたエンジン音が高くなりました。
「メインゲートオープン、『竜騎士』発進!」
座席が前に傾き、加速されたような圧迫感を感じます。それと同時に映像が流れ、本当にハッチから発進したように思えました。




