第三百六十一話 テーマパーク
「・・・はあ、果てました」
「いつもの仕事に取材攻勢まで入ったものねぇ」
机に突っ伏しバテてる私に桶川さんが苦笑いしていますあの花火の夜から1ヶ月経ちました。休んだ翌日から取材が続き、漸く一段落。今日まで休みなしの忙しさでした。
「明日は久々の休みだけど、どうするの?」
「明日は由紀に付き合おうと思っています。例の件で心配かけてしまいましたからね」
秋葉原巡りとかにならなければ良いのですが。休みの日にまで仕事関連のグッズを見るとか勘弁して欲しいところです。
「こういう物があるのだけど、どうかしら?」
机に出された2枚のチケット。それは三つ子玉川にある期間限定のテーマパークの1日フリーパスでした。
「これ、貰って良いんですか?」
「知り合いに大量に貰ったのよ。使ってくれると嬉しいわ」
こういう細かい気遣いには、本当に感謝です。こういう細かい気遣いをしてくれる桶川さんだからこそ、多少キツイ日程を組まれてもこなしてしまうのです。
「ありがとうございます。明日2人で行ってきます」
ありがたく好意を頂戴し、家に帰りました。リビングに居た由紀にそっとチケットを差し出します。
「わっ、これってミラクルエッグの招待券!」
「桶川さんに頂いたの。明日行ってみない?」
券を見た由紀は、明日行くことに大賛成でした。有名なゲーム会社が運営しているらしく、若い世代の間で話題になっているそうです。
服は動きやすいのが良いとの由紀のアドバイスに従い、スカートではなくズボンを選択。上着は元々ヒラヒラの服は持ってないので問題ありません。
新宿まで出て私鉄に乗り換えます。県境を流れる川に面する三つ子玉川駅でで降りました。駅からテーマパークまでは歩きで移動。そんなに離れてないみたいです。
「お姉ちゃん、今日の合言葉は『見敵必殺』よ!」
「随分物騒ね、戦争でもやりに行くの?」
自分が貰ったチケットですが、私はここにどんなアトラクションがあるか知りません。普通、テーマパークでそんな言葉が出ることは無いと思うのですが。
「ここは、あのゲーム会社の『ナント』が運営してるのよ。ゲームにちなんだアトラクションもあるの!」
由紀はしっかりと予習してきたみたいで、異様に燃えています。有名な大ヒットゲームのアトラクションもあるそうです。
「あっ、見えてきたわ。あそこね!」
前方に期間限定とは見えないしっかりとした建物群が見えてきました。開園時間に合わせて来たのですが、既にかなりの人が入場ゲートに集まっています。入場門で招待券を渡し、代わりに1日フリーパスを貰いました。
「ふふふ、撃ちまくるわよ!」
「由紀、目が怖いわ」
目が血走った由紀に引きずられ、最初のアトラクションに向かいます。どんなアトラクションが待っているのでしょうか。




