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第三百四十二話 思わぬ決着

 人形はユラユラ揺れながらもアームに運ばれていきます。もう少しで取り出し口に来るという時、揺れが大きくなった人形がポロリと落ちました。


「入れ、入ってくれ!」


 入れば決勝進出、駄目ならまた答え直しとなります。落ちた人形は、無情にも上半身を取り出し口に入れながら落ちて来ませんでした。


「これは残念ですが、アウトです」


「次の人はチャンスですね」


 ギリギリ落ちていないって状態なので、少し足を持ち上げてあげればゲットできそうです。つまり、次に正解した人は圧倒的に有利になるのです。


「では問題です」


 解答者全員に緊張が高まりました。身をのりだし、一言一句聞き逃さないという気迫を感じます。


「木材を真っ直ぐ切るために使われる道具で、墨を」


 先程答えた男性がボタンを押しました。ここで正解する事が出来れば、決勝戦進出にリーチがかかります。


「墨壺!」


「・・・正解です『墨を含んだ糸で直線の印を付ける道具を何というでしょう』が問題でした!」


 答えた男性は両手を上げて喜びを顕にします。自分が作ったチャンスを取られなかったのが余程嬉しいのでそょう。

 クレーンが僅かに移動した後、アームが揺れながら落ちていきます。ほんの僅か足が持ち上がると、人形はコロンと落ちていきました。


 これで残された決勝戦への席はあと1つとなりました。ヌイグルミをゲットした人がリバティー島への切符もゲットするのです。また数回、クレーンゲームに挑戦するも失敗が続きます。


「問題、日本で初めて自動改札を作った会社は?」


「オム○ン!」


 自信満々に答える女性解答者さん。改札機器のメーカーなんて知る由もないと思うのですが、彼女は知っていたのでしょう。


「正解です」


「医療機器の会社が意外だったから覚えてたのよ!」


 確かに医療機器で有名なメーカーが改札機や精算機を作っているなんて意外です。耳にすれば印象に残るでしょう。


「今度こそお願いっ!」


 祈りを受けてアームが動きます。しかし、狙い澄ましたかのように幼女の胴体に差し込まれたアームはするりと抜けてしまいました。


「また、ダメだった・・・」


 アームが人形を掴まず閉じ、上昇していたアームの動きが一瞬止まりました。再び上昇したアームには、紐が引っ掛かっていました。その先には、キュートな狐さんの人形がぶら下がっています。


 プラプラと狐さんの人形を吊り下げたままアームが戻ります。取り出し口の上で止まり、アームが開くも紐は外れませんでした。


「これって・・・」


「紐がアームに引っ掛かったら店員に声かけて下さいね」


 朝霞さんが手慣れた手付きで鍵を取り出すと、ガラス戸を開けてアームに引っ掛かる人形を手渡します。


「決勝進出、おめでとう!」

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