第三百三十九話 Runner
夕方になり、道沿いの街についた私達はホテルへとチェックインしました。翌朝には次のクイズが始まります。解答者の皆はもちろん、私達も気が抜けません。
翌朝、広い荒野にバスで乗り付けます。私は朝霞さんや解答者の人達と離れた場所で待機しています。やがて本日のクイズがやって来ました。
「皆さんおはようございます。今日のクイズは、あれになります!」
朝霞さんが空を指すと、一機の飛行機が降下を始めました。全金属製複座単葉の単発レシプロ機です。
「あれはSBD-5、ドーントレス!」
解答者の1人が叫びました。あんな小さいシルエットでよく判別出来る物だと感心してしまいます。
「緩いな。でも、米軍の急降下は日本の緩降下位だったらしいからあんなものか・・・」
機種を叫んだ解答者さんが呟きました。やけに詳しいので軍事系に強いのでしょう。降下してきた爆撃機は爆弾倉を開くと、大量の紙を落として行きました。
「今回はばら蒔きクイズ!紙には『朝霞』か『ユウリ』と書かれています。『朝霞』ならこちらに、『ユウリ』なら反対にあるユウリちゃんの回答席で回答してください。手に取った紙は変更禁止です。3問正解で勝ち抜け、先に進めるのは10人です。では、スタート!」
開始の声で一斉に駆け出す回答者さん達。これは体力を使うクイズです。皆は手前に落ちた紙から拾っていきます。4人が踵を返し朝霞さんの方に戻って行きましたが、残った人達はこちらに駆けてきました。
私の方への出題だったようです。お気の毒様。朝霞さんの方に行った方の最初の人が出題されています。喜んでいるので正解したのでしょう。
私の方へもトップバッターの人が着きました。息を切らしながら紙を差し出します。
「全力疾走お疲れ様・・・」
労を労いながら紙の封を開けて中身を読みます。早押しではないので、問題を最後まで聞いてから答える方がゆうりとなります。
「問題、キリンとシマウマ、首の骨が多いのはどっち?」
「両方同じ!」
「正解!」
ガッツポーズしすぐに駆け出す解答者さん。2択のようで実は違うという引っかけ問題でしたが、惑わされずに冷静に正解していきました。平常な状態ならばすぐに解りそうな問題ですが、走って息切れしてる状態なので正常に判断するのは難しくなっています。
次に走ってきたのも男性でした。このクイズは体力に劣る女性には不利となります。ですが、「知力・体力・時の運」をうたってるクイズなので頑張ってもらいましょう。
渡された紙を開きます。本当に意地の悪いクイズだと痛感しました。だから面白いと言われればそれまでですが、これは回答者さんに同情してしまいます。
「ごめんなさい!」
私は悪くないのですが、思わず謝ってしまいました。開かれた紙には、赤地に白抜きで大きく「ハズレ」の文字が書いてあったのです。
このクイズ、放送時には爆風スラ○プさんのあの曲がBGMになるに違いありません。




