第三百三十七話 敗者復活戦
「問題。大神ゼウスの父にして、時間を司る神の名は?」
走り込んで来た解答者が次々に答えていきます。最初に駆け込んで来た女の子は最初に勝ち抜けました。
「さあ、残す復活枠はあと一つ。誰が勝ち抜ける権利をもぎ取るのでしょうか?」
「問題。アライグマが媒介する病気で、別名恐水病ともい」
問題の途中でボタンが押されました。回答権を得た人は2問正解しているので、正解ならば敗者復活戦は終わります。
「狂犬病!」
「正解。別名恐水病とも言われる病気は?が全文で狂犬病が正解でした」
当てた男性がガッツポーズして喜びます。もう一人の2問正解者もボタンは押していたのですが、僅かに遅かったのが勝敗を分けました。
「押された時間の差は極僅か。それが運命を決めました。復活した4人のみなさん、おめでとう!」
朝霞さんの復活宣言に、勝ち抜いた4人は抱き合って喜びました。負けた人達は拍手を送っています。
「明日も長距離移動します、皆さんお休みなさい」
勝った人は次の戦場へ。負けた人は日本への旅路が待っています。まだ初日ですが心身共に過酷な負担をかけるクイズだと思い知らされます。
「さて、僕らも寝ようか。スタッフさん達には申し訳ないけど、もう一頑張りお願いします」
私と朝霞さんは出題が終われば休めますが、スタッフさんはこのセットの後片付けがあるのでまだ休めません。本当にご苦労様です。
翌朝、敗者の皆さんはそのまま空港から帰国していきました。勝者と私たちはバスに分乗して東へと移動をします。飛行機を使わずにバスを使うのは、途中でクイズを行うからです。荒野の中でバスを止め、クイズが開始されます。
「さて、皆さんにはこのくじを引いてもらい、4人1組となってもらいます」
朝霞さんの出したくじで4人のグループが5つ作られました。このグループは次のクイズでの運命共同体となります。
「あなたたちには、あれに乗って貰います!」
私が荒野を指差すと、5台のトラックがこちらに向かって走ってきます。そのシルエットは、日本ではまずお目にかかれない代物でした。
「トラック?」
「でも、縮尺がおかしいような・・・」
走ってくるトラックはまだかなりの距離があるにも関わらず普通のトラックサイズに見えます。それ程の大きさなのです。
「皆さんは、このモンスタートラックに乗って早押しクイズをしてもらいます」
「正解すると加速します。次の目的地に着いた時点で後ろの2台に乗る人達が敗退です」
ここまで説明して解答者の皆はトラックの台数が1台多い事に気づいたようで、ざわめきが広がりました。
「気付きましたね。このクイズには、敗者復活戦に勝ち抜いた4人を含めて戦ってもらいます!」
朝霞さんの宣言と同時に、世界最大級のトラックであるコマツ930Eから4人が手を振りました。




