第三百三十五話 アメリカへ
そんな理由で機上の人となった私と朝霞さんは、別々のボーイング747に乗ってオアフ島を目指しています。
「問題、潜水艦を初めて実戦に投入したのはアメリカである」
声色を変えて、ユウリだとバレないようにして問題を出しています。別の機では朝霞さんが同じように出題しているはずです。
この1000問○×クイズの総合成績が悪い方はハワイで給油して日本にとんぼ返りします。ちなみに、この段階では司会者が誰か公表されてません。日本の予選では局のアナウンサーさんが司会しました。私と朝霞さんはアメリカで初めて正体を明かします。
「問題、アメリカの国旗の縞模様は14本である」
3秒の間隔を空けて問題を読んでいきます。1時間以上も短い間隔で問題を出し続けるのは結構な苦行でした。いつもの収録では間にトークとか入るので、矢継ぎ早に出題することはまず無いのです。
「・・・以上で出題は終了です。お疲れ様でした」
アナウンスと同時にへばる挑戦者の皆さん。お疲れ様でした。次に疲れるのは採点するスタッフさん達です。こういう苦労は番組作る側にならないとわかりません。
テストの結果、僅差で私の乗る機の方が上回りました。そのため朝霞さんが乗った機の人達は給油の後日本にとんぼ返りとなります。
その間に朝霞さんはこっちの機に乗り換えました。向こうで一緒に司会するので共に帰られたら困ります。そのまま飛行機でアメリカ本土に渡り、ラスベガスに到着しました。ホテルに泊まって今日からクイズ開始となったのです。
そして、アメリカでの初クイズが飛行機から飛び降りた私達の出すクイズに正解すれば勝ち抜ける早押しクイズです。制限時間は私達が着地するまで。地上では私達に気付いて歓声があがっていますが、容赦なく問題に入ります。
「問題。アインシュタイン博士が残した言葉。第三次世界大戦で使われる武器はわからない。では、第四次世界大戦で使わ」
出題の途中で早押しボタンが押されました。解答を促すと自信満々な声で答えてくれました。
「石器です!」
「正解。一抜けです!」
まだ若い女性解答者が抜けていきました。同じ女性として応援したくなりますが、私情は挟みません。次々と出題していき、地上が近付いてきました。もうすぐこのクイズも終わりになります。
「問題。キリスト教の3大宗派、カトリックとプロ」
ここで早押しボタンが押され、中年の男性が大声で答えました。恐らくこの問題が最後となるでしょう。
「東方正教会!」
「正解!ここで終了!」
着地し、勢いを殺すため少し走りました。私も朝霞さんも怪我もなく無事に着地し、アメリカでの初クイズは恙無く終了したのです。




