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第三百二十四話 頑張った結果

 その後ストーリーに絡むシーンの撮影に移行しました。そこに高度な演技が必要な事もなく、特に問題もなくサクサクと進んでいきました。


 合間に挑まれた組手も全勝し、見取り稽古のようになったようで、皆さんの必殺技も習得出来ました。同じ技で相殺した時の驚愕で隙だらけになり、簡単にKO出来たのです。


 何故そんなに簡単にマスター出来る!と問い詰められましたが、武術の基本をいくつか押さえておけば応用で出来るのです。


 特に気功関係の必殺技は全部似てたいたので一つ覚えれば後は応用です。手足を伸ばすのも気で痛み消して関節延ばしたら出来ました。体内電流の操作と火を吹くのはマスターに苦労しましたが無事習得。


 そんなこんなである意味収穫の多かった撮影も終了し、スタッフ・キャスト全員で打ち上げと相成りました。


「いや~、ユウリちゃんが居なかったらこの映画は出来なかったよ!」


 早くも酔ったのかやたらと上機嫌な監督さんにこれでもかと持ち上げられ。


「「「「修行して必ず勝つ!」」」」


 共演した武道家連中からライバル宣言され。


「ユウリさん、また困った時はお願いします!」


 スタッフ一同に頭を下げられて私の初主演の映画はクランクアップしました。打ち上げも終わり、事務所に戻って漸く一休みです。


「やっと終わったわ、こんな仕事もう御免よ」


「普通はこんな事にはならないから心配いらないわよ。と言うか、こんな条件の撮影成立しないわ」


 桶川さんの言う通りで、女優さんに本職の格闘家に勝てという企画は無茶すぎて普通なら企画を通す段階で弾かれてしまいます。


「桶川さん、頼られるのは良いですけど使われるのは嫌ですよ。これっきりにして下さいな」


「芸能界も落ち着いてきたから、暫くは大丈夫よ」


 暫くは、という言葉に引っかかりを覚えてしまいます。しかし、未来の事なんて誰にも分からないのだから断言なんて出来ません。


「でも、今回の騒ぎであちこちにコネが出来たから仕事はかなり増やせるわ!」


「出来れば本職の声優でお願いします」


 返答せずに顔を背ける桶川さん。私の本職は女優ではなく声優です。そこの所忘れていないですよね?


「まあ、善処はします」


 とは言うものの、早々新しいアニメなんて早々作られません。そして若い女性声優やその志望者は多いという現実を見れば簡単に新しい声優の仕事など取れないのです。


 後日、封切りされた映画の動員数は悪くはありませんでした。しかし実写と謳ったにも拘わらず特撮だと非難を浴びてしまい、制作サイドが実写であると言っても信じて貰えませんでした。


 それにショックを受けた監督さんは二度とメガホンを握る事はなく、興行成績は良好だったにも拘わらずこの映画の続編は制作される事はなかったのでした。

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