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第三百二十話 解決策

 ふむふむ、と納得したように頷くスタッフの皆さん。理解して頂いたようで何よりです。


「実力者同士の闘いは見応えがありますが、それがわかるのは一定の力や知識がある人だけです。大多数の人にはわかりませんし、見た目の迫力も落ちます」


「そうか、ユウリちゃんは相手の技を最大限魅せる受け方をしていたからケインの攻撃は迫力があった。しかし、ケインはユウリちゃんの攻撃を殺していたから迫力がない。そのギャップが違和感だったのか!」


 完全に理解し、まとめに移る監督さん。百点満点の回答です。そこで私は選択肢を提示することにしました。


「その通りです。それで、どうしますか?4つの選択肢がありますけど。1つはこのまま撮影する。2つは私も技を殺して受ける」


 1の選択は1番苦労がありません。しかし、格闘シーンにバリバリの違和感がある映画になります。はっきり言って失敗作になるのは避けられません。

 2も楽ですが、売りとなる格闘シーンが玄人にしかウケないという映画になり、これまた失敗作との評価を受けるでしょう。


「それは容認できないな。失敗作になるとわかっていて続行は出来ない」


 選択肢を聞いて即断する監督さん。誰だって自らの判断ミスで映画を失敗にするという選択はしたくないに決まっています。


「3つ目は、相手役を専門のスタントさんに頼む。4つ目は、カインさん達に『魅せる格闘』をマスターしてもらう」


「本職の格闘家によるアクションを売りにするのだから、キャストは今更変えられん。4番だ!」


 監督さんは即座に決断しました。それを選ぶとは思ってたいましたが、一応考えつく全ての選択肢を提示して選んで貰いました。


「では、アクションの専門家に来て貰って指導をお願いしましょう。その辺はうちの社長がコネを持ってると思います」


 時代劇やアクションの撮影にはその道の専門家が必要不可欠です。俳優を多数抱える芸能プロダクションの社長である桶川さんならば大丈夫なはずです。


「いやいや、それは困る。部外者を入れてはこの失態が外部に漏れてしまうではないか!」


 あまりにも身勝手な言い分に、額に青筋が浮かぶのを止められませんでした。女優さんならば本心を隠して笑顔を作るのだと思いますが、私は声優なので演技は素人ですから。


「では、誰がそれを教えると言うのですか!」


「「「「ユウリ先生、ご指導御願いします!」」」」


 スタッフ及び出演者一同に揃って土下座されました。スタッフはともかく、格闘家の皆さんにプライドはないのでしょうか?


「格闘をこなすだけでなく、魅せる戦いまで行うユウリ先生が格上なのは明白!」


「真剣にやりあっても勝てんであろう。ならば師事することに何のためらいもなし!」


 ここまで丸投げされて、投げ出したいと思ってしまった私を誰が責められるでしょうか。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 有能な人は有能であるが故に次々と仕事が増えてしまうという、 有能な人は仕事が増え続ける法則が発動しちゃいましたね。 ここは身内のお母さんを呼んで手分けをするって手もありますが、 お母さんも…
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