第三百話 山無観光
「ちょっと!どんなチートを使ったのよ!プログラム改竄でもしたの!」
「私はゲームキャラじゃないわよ!」
いきなり叫びだした京華さん。実在の人物をゲームキャラと混同しないで下さい。
「ゲームやアニメのチートキャラよりもチートよね」
「うん。流石に遊を小説のキャラにしたら読者からチート過ぎるって反感買うな」
「我ながら恐ろしい娘を育ててしまったわ・・・」
由紀?お父さん?お母さん?私は二次元のキャラ以上のバグキャラですかっ!ここが裁判所ならば大きな声で「異議ありっ!」と叫んでいたところです。
「凄い逸材ねぇ」
「そんな人と比べないで、お願いだから!」
その後も家族によって続けられるチートネタ暴露大会。個人情報の漏洩は良くないと思います。そんな私の思いをよそに、京華さんの願い通り話題は切り替わりました。
その後時間も遅くなったので風呂に入って就寝します。明日はこの鬱憤を晴らすために買い物しまくると決めました。
と言っても服やアクセサリーには興味はありませんし、仙女様の像を買う気もしません。食べ物はあのラインナップなので慎んで遠慮申し上げます。あれ?買いたい物が全然ありません!
まあ、明日はきっと何かある。明日の事は明日の私に任せてしまいましょう。
「お父さん、今日は観光したい!」
翌朝朝食時にそう言い出した由紀のリクエストで山無観光が決定しました。
初めに行ったのは富士の裾野をぐるっと周り、陸上自衛隊の演習場てす。由紀がどうしても見たいと主張したので実現しました。
「お姉ちゃん、ほら、戦車がいるよ!ティーゲルかな、パットンかな!」
「それは外国の戦車よ。あれは99式ね」
隊列を組み走行する戦車を見た由紀がはしゃぎます。ここは自衛隊の施設なので、ドイツ陸軍の車両は居ないと思います。
「いつも戦車がいる訳じゃないんだが、運が良かったな」
「あっ、また来た!今度はカラフルだよ!」
再度現れた戦車に、由紀が再び声をあげました。指差す方向を見ると、次の戦車団が走ってきていました。
「本当にカラフルねぇ、黄色にピンク、スカイブルーとか」
「ちょっ、タ○ヤのプラモデルではないのよ。そんな戦車がいる訳・・・あったわね」
そんなカラーリングの戦車はある訳がないと窘めようとしたのですが、実際に目の前に走ってきた為口をつぐまざるを得ませんでした。
「あの戦車、一体どんな思惑があってあんな色にしたのかしらね」
「お母さんもわからないわ」
「お父さんもわからないからな」
実戦経験のある両親にわからないなら、私にはわかるはずがありません。自衛隊の皆さん、そんな戦車で大丈夫?




